セーフティカーが4度出る波乱の展開となった2024スーパーGT第7戦は、その“セーフティカー導入のタイミング”が勝敗の明暗を分ける結果となり、DENSO KOBELCO SARD GR Supraが優勝を果たした。その一方でセーフティカー導入が展開的に振りに働いたチームもいくつかあった。そのひとつがGT500クラスのランキング首位を快走するau TOM’S GR Supraだ。
燃料リストリクター制限が3段階目に突入した中でのレースだったが、9番グリッドから着実に順位を上げ、34周目には4番手に浮上。うまくいけば表彰台圏内でのフィニッシュも見えてきそうなレース運びをみせた。98kgのサクセスウェイトを背負っていることもあり、防戦一方の戦いに。52周目に39号車DENSOの先行を許すと、僅差でランキング首位を争うSTANLEY CIVIC TYPE R-GTとの5番手争いとなった。
【動画】2024スーパーGT第7戦オートポリス 予選&決勝ダイジェスト
36号車 auの山下健太は賢明にポジションを死守したのを見て、100号車STANLEYが60周目にピットイン。きっかけにライバル陣営も続々と2回目のピット作業を済ませていったが、36号車 au Supraはステイアウトを選択した。
しかし、この直後の62周目にModulo CIVIC TYPE R-GTが3コーナーでクラッシュしたことを受けてセーフティカー(セーフティカー)が導入された。暫定的にトップに浮上したものの、後続との差が詰まるため、36号車au Supraにとっては展開的に不利に働き、再開直後にピットストップを済ませた際には8番手まで後退。最後まで諦めずに追い上げて7位でチェッカーを受けた。
「本来なら100号車がピットに入ったタイミングで、僕たちも合わせるべきだったのですけど、思ったよりも(100号車が)早めに入ったので、僕たちが引っ張った方が最後に逆転できるかなと思いました。それで引っ張ったら、SCが入ってしまいました」
そう語るのは36号車au Supraを担当する吉武聡エンジニア。ライバルの動きに合わせるという選択肢もあったが、レース開始から1時間50分を過ぎたタイミングだったため、自分たちが考えていたプランをそのまま遂行したという。
「(ピットストップのタイミングを)引っ張るというよりは均等割(3時間レースで1時間ごと)くらいにすることをイメージしていました」と吉武エンジニア。
「それでいくと、100号車が入ったタイミングは均等割まで数周あった状態でした。仮のSCが出ていなければ、8周くらい走って均等割になったところでピットに入って、タイヤの美味しいところを使って逆転しようかなと思っていました」
セーフティカーが導入されるタイミングは予測がつかず、ある意味で不運だったと言うしかない状況のなかでも、36号車auはしっかりとポイントを獲得することができたというのはポジティブな要素だ。
それでも吉武エンジニアは「仕方がないといえば仕方がないですが……“相手に合わせる”というのがレースのセオリーでもあるので、それを守らなかったのがこの結果になったと思います。その中でも最低限の結果は出せたのかなと思います」と、苦い表情を見せていた。
結果的にランキング首位を守ることができたが、100号車 STANLEY CIVICとのポイント差は2ポイントに縮まった。
この結果に対して坪井は「セーフティカーが出るのは仕方がないことですし、そのリスクを承知の上で引っ張る作戦を採ったので、こればっかりは“運がなかった”のかなと思いますけど……ただ、争っていたのが100号車だったので、カバーしても良かったのかなと。良いパフォーマンスがあったのに、もったいない部分もあったのかなと思います」と振り返った。
次戦のもてぎはサクセスウェイトが半減されるものの燃料リストリクター制限が入る状態で迎えるため、36号車陣営にとっては引き続き楽ではない戦いが続いていく。
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