■日産新型「Z」が世界初公開! 歴代フェアレディZの特別なモデルを振り返る
プロトタイプが発表されておよそ1年、日本時間の2021年8月18日にアメリカ日産は新型「Z」を世界初公開しました。本来はニューヨークモーターショーでのデビューを予定していましたが、再新型コロナウイルス感染拡大が続いているため中止。発表はオンラインでおこなわれました。
新型Z(米国名NISSAN Z)の内外装はほぼプロトタイプのままで、グレードは「Sport」と「Performance」の2グレードと、ファーストエディションにあたる240台限定生産の「Proto Spec」を設定。
また、新たなスペックも公開され、エンジンは全グレード共通の400hp(405馬力)を誇る3リッターV型6気筒ツインターボ「VR30DDTT型」が搭載されました。
北米での発売は2022年春、国内仕様の正式発表は2021年冬を予定しています。
フェアレディZは日本を代表するスポーツカーであり、大いに注目されています。そこで、歴代フェアレディZのなかから特別なモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●フェアレディZ432/432R
初代フェアレディZは1969年に誕生。それまで英国調の2シーターオープンカーだったフェアレディの後継車として開発され、クローズドボディのファストバッククーペに一新されました。
初代の発売当初は130馬力(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒SOHCツインキャブの「L20型」エンジンを搭載したモデルと、同年に発売された初代「スカイラインGT-R」にも搭載された、3連キャブを装着した2リッター直列6気筒DOHC4バブルの「S20型」エンジンを搭載したモデルをラインナップ。
このS20型エンジン車は「フェアレディZ432」と名付けられ、「432」の由来は4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトです。
Z432はスカイラインGT-Rと同スペックの最高出力160馬力(グロス)を誇り、主にレースベース車として開発されましたが、さらに100kg以上も軽量化したエボリューションモデルの「フェアレディZ432R」もラインナップ。
Z432RはZ432に対し、フロントウインドウ以外の窓がすべてガラスからアクリルに替えられ、FRP製ボンネットを装着。内装ではラジオ、ヒーター、時計、ハンドルロック、助手席側シートベルトなどが撤去されました。
また、下まわりのアンダーコートも施されておらず、音や熱は容赦なく室内に侵入してくるなど、公道を走ることはまったく考慮されていません。
S20型エンジンもエアクリーナーボックスが無いため、キャブレターのファンネルもむき出しの状態です。
本来、Z432Rはレースに出場することを目的としたユーザーのみに販売されたはずでしたが、登録してナンバープレートを取得したケースもあり、公道走行が可能な個体は10台ほどといわれています。
Z432/Z432Rともに日本でのみ販売され1973年には排出ガス規制強化のため生産終了したことから、歴代フェアレディZのなかでももっとも希少なモデルといえるでしょう。
●フェアレディZ 200ZR/300ZR
フェアレディZが最初の大きな転換期を迎えたのは1983年に登場した3代目(Z31型)です。外観は初代、2代目の特徴的な「ロングノーズ」を受け継ぎながらも大きくデザインを変更。より大型化したボディによって「GTカー」色を強めました。
さらに、それまでの直列6気筒エンジンから、全グレードとも新世代のV型6気筒エンジンに変更されたことも大きなトピックです。
トップグレードの「300ZX」には最高出力230馬力(グロス)を誇る新開発の3リッターV型6気筒ターボエンジンを搭載。走行性能は欧州製の高級スポーツカーに肩を並べました。
そして1985年10月には、7代目「スカイライン」用に開発された、最高出力210馬力(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒DOHCターボエンジン「RB20DET型」を搭載した「フェアレディ 200ZR」を追加ラインナップ。V型6気筒エンジンから伝統の直列6気筒に回帰し、前出のZ432以来となるDOHCエンジンが復活しました。
さらに、1986年にはビッグマイナーチェンジがおこなわれ、外観のシルエットは変わっていませんが全体的に丸みを帯びた外板へと一新し、より洗練された印象となっています。
また、3リッターエンジン車では輸出仕様と同じワイドフェンダーとなるなど、より迫力ある見た目へと変貌。
同時に、190馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCの「VG30DE型」エンジンを搭載した「300ZR」が、新たに設定されました。
300ZRはZ31型で唯一の自然吸気エンジン車であり、出力的には300ZXよりも5馬力下まわっていましたが、大排気量NAエンジンならではのシャープなアクセルレスポンスと強化されたサスペンションによって、スポーツカーとしてのポテンシャルは高く、今もZ31型ファンの間でも特別な存在となっています。
●フェアレディZ Version NISMO
2008年に発売された6代目フェアレディZ(Z34型)は、よりピュアなスポーツカーへと進化することを目的に、動力性能とハンドリング性能の向上を果たしました。
ハンドリングではフロントタイヤを基準にするとリアタイヤが100mm前方に移動されて大幅にショートホイールベース化。タイヤの接地荷重を高めることで旋回性能の向上が図られています。
また、搭載されたエンジンは「スカイラインクーペ」などで採用された、最高出力336馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒「VQ37VHR型」で、ハイレスポンス、高出力、低燃費、低排出ガスを実現。
Z34型はその後も進化し、エンジンの改良やボディ剛性の向上、サスペンションマウントブッシュの見直しなど、細かなチューニングがおこなわれました。
そして、2009年にはニスモによって開発された「フェアレディZ Version NISMO」が誕生。
搭載されたエンジンはVQ37VHR型をベースにチューニングされ、専用設計した等長フルデュアルエキゾーストシステムの採用と、ECUのプログラミング変更によって、シリーズ最強となる最高出力355馬力を発揮すます。
エンジン以外でもシャシやサスペンションが強化され、パワーステアリングのアシスト特性まで手が入れられています。
外観も前後バンパーやサイドシルプロテクター、リアスポイラーなどのエアロパーツが専用デザインとなっており、効果的なダウンフォースと空気抵抗の低減を両立。
フェアレディZ Version NISMOは、Z34型の集大成といえるモデルでした。
※ ※ ※
今回発表された新型Zですが、プロトタイプが発表された際に歴代フェアレディZのデザインエッセンスを取り入れたことが、大いに話題となりました。
具体的にはヘッドライトが初代の「S30型 240ZG」をモチーフとし、「Performance」グレードには小ぶりなリアスポイラーが装着されていますが、これも240ZGに近い形状です。
また、フロントグリルまわりは「Z33型」、テールランプは「Z32型」を彷彿とさせるデザインをLEDで再現しています。
もはやフェアレディZのデザインはアイコン化して、大きく変わることは許されないといえますが、こうした取り組みは先人たちへの敬意なのかもしれません。
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みんなのコメント
初代S30系と、4代目のバブル期Z32系のふたつがイイ
今後貴重な存在になるかもしれませんね。