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実は「いすゞ」のツインカム! ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(1) 快適性と操縦性が真骨頂

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実は「いすゞ」のツインカム! ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(1) 快適性と操縦性が真骨頂

操縦性では史上最高の前輪駆動

ロータス・エランの精神を受け継いだ、初代マツダMX-5(ロードスター)は、世界的な称賛を発売と同時に掴んだ。その様子を、2代目エラン、M100型の開発技術者はどのように受け止めていたのだろう。

【画像】FFスポーツの可能性を証明 ロータスとキアの2代目エラン 最新エミーラとエレトレも 全142枚

2代目エランも一定の好評価を集めたものの、洗練性では劣るロードスターと比較し、「エランらしさ」が足りないという指摘も多かった。アメリカ市場が支持したのもロードスターで、2度の生産停止に追い込まれてしまった。

操縦性では史上最高の前輪駆動(FF)という、名誉ある称号も与えられた。だが数あるロータスの中で、深く愛されてきたモデルとはいえないだろう。英国編集部が揃えたエラン S1とS2、キア・エランという3台で、その真価を改めて確認してみたい。

2代目エランに前輪駆動を採用したこと自体が、間違いだったという人もいる。「テストを重ねる中で、より速かったんです」。と、最高経営責任者のマイク・キンバリー氏は、そんな疑問へ回答している。

だとしても、当時のロータスを傘下に収めていたゼネラルモーターズ(GM)は、小さなスポーツカーに適用できる、エンジンを縦置きしたドライブトレインを生産していなかった。この事実が、FFを選んだ決定的な理由になった。

GMにとって、ロータスを保有する価値は、開発コンサルタントとして機能すること。前輪駆動技術を高めることが、アメリカからの投資を正当化する手段といえた。どんなFFモデルを生み出せるのか、という問いへ答える必要があった。

エランには好適だったいすゞ製ツインカム

その結果、パワートレインを供給したのが、同じく当時はGM傘下にあった日本のいすゞ。予想外の選択といえたが、実際のところ素晴らしいユニットで、エランには好適だった。

シリンダーの形状はほぼスクエアで、16バルブのツインカムヘッドを載せ、インジェクションでガソリンを供給。唯一、最適といえなかった要因は、スチール製という重いブロックにあった。

自然吸気の場合、最高出力は129ps/7200rpmと平凡な数字だったが、ロータスによるチューニングとインタークーラー付きのIHI社製ターボで増強。初期型のエラン S1では、165psを発揮した。

ノンターボ・エンジンも選べたが、価格差は2000ポンドと小さく、購入者は129人。殆どが、ターボエンジンを選択した。

デイブ・ターナー氏が所有するガンメタリック・グレーのS1は、1991年式のSEターボ。小さなツインカム・ユニットらしいピーキーさは漂うが、3000rpmからブーストが立ち上がり、レブリミット目掛けてパワーが湧き立つという、楽しい特徴がある。

それ以前のロータス・ツインカムのように甘美なサウンドは放たないものの、インジェクションの4気筒としては音響も想像以上。耳障りなほどうるさくもない。

技術力の高さを証明するのが、パワーの展開方法。パワフルなFFモデルにありがちな、フロントタイヤの加速時のスリップや、コーナリング時に暴れるトルクステアは見事に抑え込まれている。

乗り心地と操縦性の両立がロータスの真骨頂

これを叶えたのが、コンプライアンス・ラフト(インタラクティブ・ウィッシュボーン)と呼ばれる設計のフロント・サスペンション。ロワー・ウイッシュボーンは、ラバーマウントを介してシャシーから分離された、クロスメンバーへ固定されている。

このクロスメンバーは、前後の動きを許容する一方、左右方向の動きは抑えられている。これにより、スムーズなパワー展開を可能としたのだ。

静止状態からフルスロットルで加速する場面では、ステアリングホイールの感触が変化し、フロントタイヤがむずがる様子がわかる。しかし、FRのスポーツカーで生じる影響と、大きな違いはない程度。FFの抱える課題を、M100は見事に解決している。

ドライビング体験で輝くのは、旋回時の姿勢制御。しなやかな乗り心地を考えると、感服させられる。67:33という、ノーズヘビーも感じさせない。

残りの2台も同様だが、フロントタイヤのグリップは極めて高く、操舵へ好バランスに反応。精力的にボディを牽引していく。鋭敏なコーナリングには、中毒性すら伴う。

この乗り心地と操縦性の両立こそ、ロータスの真骨頂。多くの企業が、助言を求めてグレートブリテン島の東部、へセルを訪れた理由でもある。

販売の足を引っ張った高めの価格

傷んだアスファルトも、その他大勢のスポーツカーでは不可能に思えるマナーで、滑らかに処理していく。ある程度の硬さはあるものの、不快な衝撃が伝わるのは、短めのスプリング・ストロークが限界に達する場面のみ。その時初めて、ボディも僅かに震える。

筆者が弱点を挙げるなら、少々薄味のステアリングフィール。最高のモデルのように、フロントタイヤと密なコミュニケーションは取れない。それでも、初代MX-5より優れていることは明らかだ。

これほど好印象な体験を与える、エランの足を引っ張ったのが価格。MX-5だけでなく、TVR S3などと比べても、明らかに高価だった。洗練性では圧倒したとしても。英国では5000ポンド以上の違いがあり、北米市場ではさらにその差は広がった。

1990年代初頭には、景気も悪化。ロータスの設定した目標販売数には、英国市場を除いて届かず、3年間にラインオフしたのは3855台。当初は10年間の提供をGMは計画していたものの、ロータスの売却よりひと足早く、1992年に生産停止が決まった。

「ロータスの売却に関しては、新体制に対してある程度の政治的な駆け引きがありました」。と振り返るのは、M100のスタイリングを手掛けた、デザイナーのピーター・スティーブンス氏だ。

「コストダウンさせたクーペを製作し、実現可能であることを取締役会に提案しています」。オペル・カリブラのヘッドライトとテールライトが与えられる予定だったが、結局は実現していない。

この続きは、ロータスとキアの2代目エラン 3世代比較(2)にて。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

6件
  • wkk********
    マツダが低価格でロードスター出さなければ
    もう少し延命されたかもね。
  • xtr********
    時代を経てWTCCでBMWのFRよりFF勢が圧倒的な強さをみせられたら
    評価がかわったがオープンシーターのこの見た目でFFはきつかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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