公道でも楽しめる軽量スポーツカー
比類のない繊細なハンドリング、フィードバック、レスポンス、そしてカタログ値から想像されるよりも桁外れに高いパフォーマンス……。サーキットで最高に愉しませてくれるのはこういうクルマだ。
【画像】日本では超希少車! 英国人が選ぶライトウェイト・スポーツカー【アリエル、モーガン、スパルタンなどを写真でじっくり見る】 全74枚
ハンドルを握って心から楽しみたいなら、質量を最小限に抑え、メカニカルな性能を最大限に引き出し、快適性という概念を置き去りにしなければならない。今回は、サーキットをとことん楽しめる実力を持ちながら、公道走行が認められている市販車を10台厳選して紹介したい。
基本的な条件として、車重1000kg以下で、人を惹きつけ、楽しませることに特化したクルマをピックアップした。多機能のインフォテインメント・システムや高級本革シート、エアコンなどには興味はないし、正直に言えば窓ガラスやルーフの有無も関係ない。
なお、スペック等は英国仕様に準じる。販売地域も英国で、一部、完売してしまった限定車もある。あらかじめご了承いただきたい。
1. アリエル・アトム4R
英国のアリエルが生んだ過激な1台。素人目には、第4世代となる現行型アトムは初代アトムによく似ている。つまり、子供用ジャングルジムとシングルシートを合体させた漫画のような姿だ。見事に無駄を削ぎ落とした作りや、ドライバーと楽しい時間を過ごすという焦点の当て方も似ているが、これまでで最も先進的でエキサイティングである。
4Rと呼ばれるバージョンではさらにパワーアップ。最高出力は320psから405psに増強されたほか、リモートリザーバー付きのオーリンズ製ダンパーが強化され、サーキット用スプリングまたはロード/サーキット併用スプリングと組み合わされる。
このフェザー級の4Rは、スーパーカーを斬り伏せてしまう小さな宝石だが、ターボブーストの到来を予測しないと “噛み付かれる” ことがあり、またブレーキをロックさせないように注意する必要がある。しかし、慣性が小さいため、スリップ、スライド、ロック、ロールをほとんど感じることなく、コーナーへの飛び込みや脱出ができる。フィードバックも明快で、重いステアリングが常に路面に意識を集中させ、ミドエンジンのバランスと鋭いスロットルが幅広い選択肢とエンターテインメントを与えてくれる。アトムは完全に没頭できるマシンであり、移動のたびに爽快で楽しい疲れを残してくれる。
2. ケータハム・セブン360R
不屈のケータハム・セブンの血統を受け継ぐこのクルマがなければ、ライトウェイト・スポーツカーの市場はまったく存在しなかっただろう。初代のロータス・セブンは、コリン・チャップマン氏が自動車業界に贈った最大の贈り物とさえ言えるかもしれない。1973年にケータハム・カーズがチャップマン氏の小型軽量モデルの権利を買い取ったが、それ以来、絶えず熱狂的なドライビング・エンスージアストを愉しませ、育んできた。
1.6Lのフォード製「シグマ」エンジンを搭載した310Rが廃止された今、360Rは現行ラインナップの中で最も魅力的なスイートスポットである。最高出力180psの2.0Lを搭載する360Rは、電光石火の速さとレスポンスを誇り、吸気音と排気音が、オンロードでの底なしのパフォーマンスをさらに加速させる。
そして、小さいながらもダイレクトで没入感のあるシャシーを操れる、コミュニケーション能力に優れたステアリングがあり、昆虫のような軽快さで方向を変え、美しく調整されたコントロールによりミリメートル単位の精度でコーナーへの進入と脱出の角度を指示することができる。公道用にチューニングされた360Sもあるが、360Rのコントロール性能とリミテッド・スリップ・デフは、特に日常の使い勝手にトレードオフがないため、余分な出費をしてでも購入する価値がある(セブンは毎日使うべきだ)。
もちろん、セブンにはもっと高価で速いモデルもあるし、チャーミングでスキニーな3気筒の170もある。しかし、スリル、没入感、手頃さのバランスという点で、360Rに匹敵するものはない。
3. スパルタン
これはオーストラリア史上最高の輸出作品になるのではないだろうか。ニック&ピーター・パップ兄弟が一心不乱に開発したスパルタンは、アリエル・アトムやラディカルと同じ領域を狙う、公道走行可能なサーキットマシンだ。
60年代のカンナムレーサーからヒントを得たカーボンファイバー製ボディの下に、特注のスペースフレームシャシーとダブルウィッシュボーン・サスペンションを備え、ホンダ製K24型2.0L 4気筒ターボをミドシップに搭載している。重量わずか700kg のコンパクトなパッケージでありながら、460psという驚異的なパワーを発揮し、センセーショナルなパフォーマンスを実現している(0-100km/h加速2.3秒)。
英国編集部はこれまでサーキットでしか試乗していないが、稀有な能力を持つフライ級マシンであることは十分に理解できた。直感的でバランスの取れた親しみやすいハンドリングにより、コーナーでクルマをちょうどいい位置に置くことができる。ステアリングは昼間のテレビ番組の司会者のようにおしゃべりで、迅速かつ安定した走りを維持するためのエアロアシストもある。
12万6000ポンド(約2350万円)とかなり高額だが、1ポンドあたりのアドレナリン分泌量がこれほど多いクルマはほとんどない。
4. モーガン・スーパー3
個性的なマシンの例に漏れず、三輪車のモーガン・スーパー3も矛盾を抱えた存在だ。ヴィンテージカーのような古風なスタイリングのその奥に、モーガンが生み出した先進的で魅力的なクルマを発見できるだろう。重要なのは、運転が楽しいということだ。噴火する火山から逃げるように運転する必要はない。
軽くて頑丈なアルミニウム製シャシーに、F1スタイルのプルロッド機構のスプリングとダンパーを備えたダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションを採用。先代のVツインエンジンは廃止され、フォード・フィエスタSTの1.5L 3気筒の自然吸気バージョンが搭載される。マツダMX-5(日本名:ロードスター)のトランスミッションを介し、1本の後輪を駆動する。
スーパー3のドライビングは他では味わえない体験であり、そのオープンコックピットと小さな風防は、クルマというよりむしろ複葉機を操縦しているような感覚を与えてくれる。ツイスティな英国のBロードを限界の範囲内で走ると、過ぎ去った懐かしい時代の光景、音、匂いにあっという間に包み込まれる。
走りの実力は本物だ。135セクションの細いフロントタイヤによるフロントエンドのグリップ限界に留意すれば、ハードにハッスルすることができ、スロットルでのステアリング操作は楽しく正確でプログレッシブだ。レブハッピーな3気筒が0-97km/h加速を7.2秒で駆け抜ける歌声もまた良い。
毎日使うクルマではないし、ベースモデルで4万ポンド(約745万円)以上と決して安くはないが、耳鳴りが止まり、顔についた虫を全部取った後も、ずっと笑顔を残してくれるだろう。
5. アリエル・ノマド
高級感や洗練性のDNAのかけらもないクルマが、なぜ試乗記で高評価を獲得できるのか? その答えはもちろん、他のどんなクルマよりも間違いなく大きな楽しみを提供してくれること、そして一部のマーケットに無視できないほど新鮮な風を連れてきてくれることである。2014年に登場したデューンバギーのようなアリエル・ノマドは、まさにそんなクルマだった。
公道でもサーキットでも、そして緩い地面でも、ノマドはその技術力と圧倒的なパフォーマンスにおいてセンセーショナルだ。非常にロングトラベルのボディコントロールに由来する乗り心地の良さもあり、また他ではなかなか見られないほど作りが美しい。
同等の金額で、純粋なドライビングプレジャーを最優先するなら、このクルマに勝るものはない。
6. ウェルズ・ヴェルティージュ
モータースポーツの歴史には、華々しくスタートしたものの、すぐに跡形もなく沈んでしまった英国の新興スポーツカーブランドが散見される。しかし、ウェルズとその快活なヴェルティージュにそのような運命が降りかかる可能性は低い。
記録破りの加速や肝をつぶすようなコーナリングフォースではなく、手に馴染むパフォーマンスと爽快なハンドリングを目指して設計された小型軽量のミドエンジン車であり、運転する喜びを感じさせてくれる。チューニングされたフォード製2.0Lデュラテックエンジンから211psを発揮し、わずか850kgの車重でハラハラさせることなく素早い加速を見せる。
ヴェルティージュで特に優れているのはハンドリングで、意思疎通のできるステアリング(非アシスト)と、しなやかなサスペンション・セットアップによって、路面に合わせて呼吸するように走ることができる。質量が少ないため、しなやかに、端正に路面を流れ、懐かしのロータス・エリーゼを思い起こさせる。
こぶりなサイズ感にもかかわらず、十分な快適装備と2人分のスペースを持ち、さらに洗練性と快適性が驚くほど高い。毎日楽しく過ごせるし、ドライブ旅行でも楽しめる。ウェルズは年間25台程度の生産を計画しており、価格は4万ポンド(約740万円)から5万ポンド(約930万円)の間なので、買い手を見つけるのにそれほど苦労はしないだろう。
7. BACモノR
同乗者はいらない。「ピュア」という言葉に新たな意味をもたらすドライビング・ポジションで、まるでフォーミュラ・レースのグリッドをそのまま走るかのようなフィーリングを与えてくれるBACモノRのようなクルマが、公道走行可能なクルマとして手に入るのだ。
BACの代表であるブリッグス兄弟は、先代モデルに似ているとしながらも、90%が新しくなり、車重も555kgとさらに軽量化したと語っている。それでも設計思想は同じで、チューブラー・スペースフレームの「セーフティセル」をカーボンファイバー製(グラフェン強化)パネルで覆い、各車輪にダブルウィッシュボーン式サスペンションを備える。ミドマウントのフォード製2.5Lエンジンと6速シーケンシャル・トランスミッション、後輪駆動方式はそのままで、質量の低下と347psの出力により、1トンあたり約612psというとんでもない出力重量比を実現している。
本稿執筆時点でモノRには試乗できていないが、標準のモノよりさらに強烈な走りをすることは想像に難くない。超精密サスペンションのおかげで路面の凹凸に邪魔されることなく、驚異的なスピードで、しかも経済的に走破するモノの能力には心から魅了される。この上なく強烈な体験だ。とはいえ、それなりのお値段はするもので、モノRはオプション装着前で20万ポンド(約3700万円)近くする。また、30台限定で、すでに売れ切れてしまっているという。
8. ダラーラ・ストラダーレ
本物志向なら、イタリアのダラーラほど “モータースポーツ的” なブランドはないだろう。ダラーラのシャシーに関する専門知識は、フォーミュラ1、インディカー、フォーミュラE、その他多くのレースシリーズで見ることができるが、ストラダーレにも公道走行可能な市販車という形で凝縮されている。
このストラダーレは、最高出力400psのフォード製(またもや)2.3Lエコブーストエンジンを搭載し、6速マニュアル・トランスミッションを介して後輪を駆動するフロントガラスのないバルケッタだ。乾燥重量は855kg。最大ダウンフォースは、巨大なリアウイングを装着した状態で810kg。
実際に走らせてみると、これは猛烈にシリアスなマシンで、非アシストのステアリングと矢のように実直なシャシーを備えていることがわかる。特にサーキットでは、ダウンフォースによって定義された熱狂のドライビングを見せる。願わくば、ブレーキはもっと良く、エンジンももっと刺激的であるべきだが、それでもストラダーレは素晴らしい。
9. MKインディRX-5
表面的には、インディRX-5は型にはまったケータハムの模造品のように見える。しかし、「RX-5」という名が示すように、2台目マツダMX-5(日本名:ロードスター)をドナー車両として使用しており、手頃な価格で信頼性の高いドライブを楽しむことができる。
インディRX-5は、ドナー車両さえあれば8500ポンド(約160万円)で自分で作ることもできるが、英国のMKスポーツカーズ社では1万9000ポンド(約350万円)以下で作ってくれる。シンプルではあるが、品質は素晴らしく、徹底的にこだわって設計されている。走りも同様で、クイックなステアリング、低い質量、丁寧に調整されたサスペンションにより、まるでテレパシーで操っているかのようにコーナーを駆け抜けていく。
最高出力約130ps、車重600kgと、コーナーだけでなく直線でもほとんどのホットハッチをなぎ倒すのに十分なパワーを備えている。物足りないようであれば、220psを発揮するターボユニットを約4500ポンド(約85万円)で追加できる。笑いを誘う楽しさを手に入れるなら、MKほど的を射たものはない。
10. マツダMX-5 1.5
一見すると、大量生産されたマツダMX-5(日本名:ロードスター)はこのリストの中では浮いているように見えるが、車両重量はわずか1032kgで、今回理想としている1000kgに十分近い。数も豊富で、快適で運転しやすく、現代の必需品がすべて詰まっていて、3万ポンド(約560万円)以下で購入できる。考えれば考えるほど、広島のエンジニアたちの努力に畏敬の念を抱かざるを得ない。
確かに、質量を最小限に抑えたMX-5を手に入れるには、エントリーモデルの1.5Lで我慢しなければならない。上位モデルの2.0L車(海外仕様)のようなパワー、強化されたビルシュタイン製サスペンション、剛性を高めるストラットブレース、リミテッド・スリップ・デフを欠いているが、失うものは多くない。手始めに、回転の鋭いエンジンは十分に頑張って報いてくれる(キビキビしたMTを満喫する機会が増える)し、比較的ソフトなサスペンションにより、おいしい後輪駆動のバランスを実用的な速度で味わうことができる。これは紛れもなく、レス・イズ・モア(引き算の美学)を象徴するケースである。
何よりも印象的なのは、日常的に使えることで、平凡な運転体験と素晴らしい運転体験が混在していることだろう。今回取り上げた多くのモデルが晴れた日にしか出番がないのに対し、マツダは毎日の生活にほとんど妥協なくフィットする。マツダが世界で最も売れているオープンカーになったのは偶然ではない。
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みんなのコメント
この種類の車達とは余りにもかけ離れている。
サーキットのラップタイムを見ればわかる。