乗り出し価格が400万円を超えることも珍しくないトヨタのハリアーとRAV4ですが、どちらも2021年の新車販売台数ランキングでは上位にランクインしています。SUV人気をリードするこの両車を比較し、それぞれの特徴を見てみましょう。
●「SUV」の歴史をつくったハリアーとRAV4
「SUV」という言葉すら一般的ではなかった1997年に初代ハリアーは登場しました。高級乗用車の基本性能に、機動性・機能性を融合したというハリアーは、どちらかと言えば「泥臭い」イメージの強かったSUV像をくつがえす「高級SUV」として誕生しました。
それまでにない新しいジャンルのクルマではありましたが、発売当初からハリアーは爆発的な売れ行きを記録し、後に多くのメーカーが高級SUVを投入するなど、まさにパイオニア的存在となりました。
その後、兄弟車であるレクサス・RXの日本導入などを理由に、ラインナップから消滅する危機に見舞われたハリアーですが、それを惜しむユーザーの声を聞いたトヨタの販売店が署名運動をおこない、その結果、RXとは異なる完全新型車として復活したというエピソードがあるなど、ファンの多いモデルです。
一方のRAV4も、SUVブームを切り拓いた重要なモデルです。ハリアーより少し早い1994年に初代が登場したRAV4は、クロカン車のようなタフな見た目ながらも、5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディを持っていました。
現在販売されているSUVのほとんどは、セダンなどの乗用車のプラットフォームをベースとしたクロスオーバーSUVと呼ばれるものです。クロスオーバーSUVは、ランドクルーザーに代表されるクロカン車のような本格的な悪路走破性能はないものの、乗用車と同等の快適性や燃費性能を実現でき、さらにコストも抑えられるという特徴があります。RAV4は、そんなクロスオーバーSUVの元祖とも言えるモデルです。
男性はもちろん、女性からの支持も得たRAV4は発売当初から順調な売れ行きを見せました。その後は、海外へも展開されたことでボディサイズは大きくなりましたが、アメリカを中心に、世界中で根強い人気を誇るベストセラーカーとなっています。
●共通点の多い2台、ボディサイズや燃費性能、安全装備はほぼ同一
現在販売されているのはハリアーが2020年6月に販売された4代目、RAV4が2019年に発売された5代目となっています。どちらも「GA-K」と呼ばれるプラットフォームを用いていることから、兄弟車と呼ばれることも多く、両車の共通点は少なくありません。
例えば、ボディサイズを見ると、ハリアーが全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mmであるのに対し、RAV4も全長4600mm×全幅1855mm×全高1685mmと、全長以外はほぼ同じサイズ感であることがわかります。ホイールベースについては、どちらも2690mmです。
また、搭載されるパワートレインは、どちらも2Lのガソリンエンジンと2.5Lのハイブリッドの2種類となっており、カタログ燃費(WLTCモード)もハリアーが14.7km/L~22.3km/L、RAV4が15.2km/L~21.4km/Lと、ほぼ同水準となっています。
先進安全装備についても、基本的にはほぼ同一です。どちらもプリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロール、オートマチックハイビームなどを備えた「Toyota Safety Sense」が標準搭載されています。
つまり、クルマとしての基本的な部分について言えば、どちらもほとんど同じスペックを持っていると言えます。
●大きな違いは内外装のデザインや4WDシステムにあり!
一方で、内外装のデザインを見ると、両車の違いは明確です。外装のデザインでは、ハリアーが滑らかで曲線的なシルエットが特徴のクーペスタイルを持っているのに対し、RAV4は本格的なクロカン車のようなスクエアかつ無骨なデザインとなっています。
内装についても、ハリアーのインテリアが、馬の鞍をモチーフにしたというエレガントなデザインを強調している一方で、RAV4は悪路での操作性も考えられた機能性の高いデザインとなっています。
内外装のデザインの違いを見てもわかるとおり、ハリアーは高級感や上質感を追求した「都市型SUV」を、RAV4はタフでアクティブな「アウトドアSUV」をコンセプトにしていると言えます。
こうしたコンセプトの違いは、グレード構成にも現れています。どちらも2WD仕様と4WD仕様が用意されていますが、RAV4の主要グレードのほとんどは4WD仕様のみの設定となっており、2WD仕様は一部のグレードのみしか選べません。さらに、ガソリン車の上級グレードである「G “Z package”」と「Adventure」には、世界初の4WDシステムである「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が採用されており、RAV4の悪路走破性能の高さがうかがえます。
一方のハリアーは、ガソリン車もハイブリッド車も含めた、すべてのグレードで2WD仕様と4WD仕様がラインナップされています。
これらの違いを見ると、ハリアーの4WD仕様は、あくまで北海道や東北地方などの積雪地域に住む人をターゲットとしたものであるのに対し、RAV4の4WD仕様は、砂利道や河原などの悪路の走行を想定されたものであることがわかります。
具体的には、キャンプや釣り、ウィンタースポーツなどを趣味としている人には、高い悪路総性能を持つRAV4の実力が活きそうです。
ハリアーの場合、RAV4のようなアクティブなイメージというよりは、家族や友人たちと過ごす快適な空間を演出することを目指しているようです。例えば、ハリアーのみに採用されている装備である「調光パノラマルーフ」は、障子越しに差し込むような柔らかな光で上質な車内空間をつくりだし、また、新開発のサスペンションは高級セダンのような乗り心地を生み出します。
そのため、ハリアーにマッチしているのは、上質なものを好む大人の紳士・淑女といったイメージなのかもしれません。
●機能や価格ではなく、キャラクターで選ぶことが大事
これまで、クルマを選ぶ際の検討材料となるのは、機能や価格がほとんどでした。もちろん、これらは非常に重要な要素であることは間違いありませんが、ハリアーとRAV4を比較する際には、「キャラクター」について考えることが必要です。
たしかに、ハリアーとRAV4を詳しく見ていけば、細かな違いを見つけることは難しくありません。しかし、この2台に関して言えば、そうした細かな違いよりも、両車が持つキャラクターの違いのほうが、オーナーに与える影響は大きいかもしれません。
極端に言えば、現在販売されているクルマのほとんどは、非常に高い性能と品質を持っています。日常的な利用では、クルマが持つパフォーマンスの半分も使えないと言っても過言ではありません。
そうした中で、決め手となるのはクルマが持つキャラクターです。ほとんど同じスペックを持つハリアーとRAV4ですが、そのキャラクターはまったくと言っていいほど異なります。試乗したり見積もりをとったりして比較検討する中で、どちらが自分のキャラクターにマッチしているかを考えてみると、自分にあった1台が見つかることでしょう。
文:ピーコックブルー
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みんなのコメント
あと、中級・下位グレードの耳たぶミラーもダサい。
中級・下位グレードはハリアーのコンセプトから外れているので、無くしていいと思います。
トヨタ車はコストダウンのためか、チープさを感じる部品が多く、目につきやすいです。
他社の同価格帯の車と比べると内装に大きな差を感じます。
否定コメントしてる方々はミラクルな感性の持ち主なんでしょうね。