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三菱エクリプス・クロス試乗レポート 伝家の宝刀S-AWCがライバルに差をつける

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三菱エクリプス・クロス試乗レポート 伝家の宝刀S-AWCがライバルに差をつける

ECLIPS-CROSS NEW COMPACT SUV
エクリプス クロス 極めた走りとクーペデザイン

三菱エクリプス・クロスを目にしたときに、感慨深い独特の感情に襲われた。
不祥事や販売不振によってブランドイメージが低下していた三菱にとって、エクリプス クロスは国内4年ぶりのニューモデルであり、周囲の期待を背負って誕生した。
関係者の笑顔も明るい。かつては頻繁に交流があった三菱のメンバーとも、新車がないこの数年は疎遠になっていた。試乗会のこの日は、久しぶりの再会であり、同窓会のような雰囲気に包まれていたのである。<レポート:木下隆之/Takayuki Kinoshita>

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かくして、三菱の期待を集めて誕生したエクリプス クロスは、いまもっとも売れ線の、華やかなコンパクトSUVのジャンルに組み入れられる。復活の狼煙としては、正しい選択であろう。
三菱のラインアップでいえば、RVRよりやや大きく、アウトランダーより小柄という立ち位置だ。といっても、ホイールベースは車格で上のアウトランダーと共通だから、なりはコンパクトでも、中身はミドルサイズなのである。

三菱ではエクリプス クロスを「クーペSUV」と呼んでいる。そう名乗るのは、無骨さを排除したスタイリッシュなデザインを採用したからだ。ということはこれ、トヨタCH-Rとライバルになりそうなのである。
それでも、ホイールベースがアウトランダーと共通であり、その余裕を後席のスペースに当てられているから、クーペスタイルであっても閉塞感はないし、実用的なのだ。

エンジンは、三菱新開発のダウンサイジングターボを採用している。1.5L直列4気筒ターボは、最高出力150ps/5500rpm、最大トルク240Nm/2000rpm~3500rpmを発揮。車両重量は約1.5トンだから、必要にして最低限の動力性能を確保している。山坂路を過不足なく駆け上ってくれた。

ただ、加速フィールはダウンサイジングターボの弱点が垣間見える。停止線から発進する瞬間のような、排気量に頼るようなごく低回転域では、絶対的なトルクが足りないのだ。その後にぐいぐいとくるまではジレッたい。
ただ、それを8速CVTが補っててくれているようで、低回転域のレスポンス遅れを制御するのはありがたかった。

操縦性は絶品である。伝家の宝刀S-AWCはライバルを圧倒する。4輪制御技術は三菱のお家芸である。その技術が余すことなく投入されているのだ。
前後左右の駆動トルクを的確に制御するから、旋回フィールはスムースであり軽快だ。ハンドルを切り込めばその瞬間に、コーナーの先から伸びる何かのロープに引き寄せられるように、ノーズが反応するのだ。このフィーリングは、ライバルモデルでは得難い。

特に急ぐわけでもなく、ごく日常でこの感覚に浸れるのはこの上ない喜びである。ごく平凡な交差点を曲がる瞬間であったり、高速道路のランプウエイに乗り入れる時であったり、そんな日常で気持ちいいのである。

もちろんS-AWCは、ややハイペースで飛ばしていても本領を発揮する。テールが流れそうなそぶりを示した瞬間に、何事もなかったようにクルマを安定方向に整えるのはS-AWCだからなせる技だ。
さらにいえば、ブレーキ制御までするという丁寧ぶりだ。限界ギリギリの状態で、駆動力をしぼっただけでは制御しきれないと判断されれば、負の駆動力、つまりどこかのタイヤにブレーキをかけるのである。
4輪への駆動力配分は自由自在だから、運転がうまくなったような錯覚に陥る。そして実際に、運転が上手いドライバーと同じように走れるのである。

印象的だったのは、電子制御AWDにありがちな、機械的なフィーリングではなかったことに嬉しく思った。機能は無限大であり、制御も自由自在となれば、ともすれば人間の感覚を無視した仕上げに陥る可能性もある。だがそうにはしなかったのは大正解である。

エクリプス クロス開発責任者の山内裕司氏はこういう。
「誰もが及第点を与えるような平均的なクルマは決して作りたくない」
ちなみに、室内のしつらえも充実しているし、視界確保や乗員を安楽に運ぶ細工も行き届いている。つながる技術、コネクティビティに関しても同様で、最新の仕様である。エンターテイメントにも手抜かりはないのだ。

衝突軽減ブレーキや後方検知システムや、あるいは車線逸脱警報などの予防安全も充実している。S-AWCが印象的だったためについついその他の機能に目が届かなかったが、総合的な完成度も高いのである。
僕はこのクルマ、売れると思う。

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