現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【試乗】トヨタ新型スープラはコーナリングありきのリアルスポーツ志向!

ここから本文です

【試乗】トヨタ新型スープラはコーナリングありきのリアルスポーツ志向!

掲載 更新
【試乗】トヨタ新型スープラはコーナリングありきのリアルスポーツ志向!

 乗り込む瞬間従来のトヨタ車でないことがわかる

 すでに世界各地でテスト走行風景などが目撃されスパイショットが専門誌の紙面を賑やかしているトヨタ新型スープラ。本格デビューまでのカウントダウンが始まるなか、そのプロトタイプモデルに試乗する機会が与えられた。場所は千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイだ。本格的なサーキットを使った全開走行が許された。

【試乗】トヨタ新型スープラで全開! 座った瞬間80型の記憶が瞬時に蘇るスープラらしさに感動

 用意されたスープラ・プロトタイプはボディラインが明らかにならないようにカモフラージュ用のマスキングカラーが施されている。よくスパイショットで目撃されているカラーリングそのものだ。

 開発責任者の多田哲也スポーツ車輛統括部長も姿を見せている。

 スープラは1978年の初代登場(国内ではセリカXX名)から直6エンジンとFR(フロントエンジン/後輪駆動)レイアウトを特徴としており、次期モデルもそれを踏襲している。多田さんによれば詳細はまだ述べられないが、エンジンは3リッター直6のターボエンジンを搭載し8速のトルコンATと組み合わせ電子制御デファレンシャルを介して後輪2輪を駆動しているという。

 多田さんといえばトヨタ86の開発責任者として知られ、86開発以降はこのスープラの開発に携わってきた。その過程において「スポーツカーにおいて必要なのはショートホイールベースに低い重心、ワイドなトレッドだ」という結論に達したのだそうだ。

 重心高は水平対向フラット4エンジンを搭載する86より低くすることにこだわり、結果として直6エンジンながら86に比べ8mmの重心低下を実現した。重心低下化に貢献したのはシャシーフロア下面に剛性を高めるブレースを張り巡らせたことが要因で、このブレース効果によりシャシーの捻り曲げ剛性はカーボンモノコックシャシーのレクサスLF-Aを凌いでいるというから驚きだ。

 車体下面の処理も高度に仕上げほぼフラット化。サスペンションアームにもフィンを取り付けるなど空力処理を高度に施している。公開時には「車体を鏡に載せてお客様にご覧いただきたい」とも。またタイヤ性能にも着目し、吊るしで最高性能と認められるミシュラン・パイロットスーパースポーツを選択し装着している。

 まずは現車輛の外装チェックをしてみた。車体パッケージはFRの2シーター。ロングノーズ/ショートデッキデザインでフロントボンネットフードは曲面が個性的でサイドから開く大型なもの。素材はルーフ以外はアルミ製だ。ドア開口部は小さくサイドシルが太く剛性が高そう。後部はハッチゲートを持つが形状は80スープラを彷彿させるスポイラー状の曲面で構成されている。

 ルーフ部分はスチール製のようだがダブルバブル形状が採用されていてダッジバイパーのような迫力を醸し出している。

 ドアを開けて乗り込むとインパネや室内全体はブラックカバーが掛けられデザインがわからないようにカモフラージュされている。太いサイドシルは大きくまたぎ込むように乗り込まなければならないが「トヨタの基準を無視した」と多田さんが言うようにシャシー性能を重視した結果のようだ。

 エンジンを始動する。低く野太いサウンドがパワーを予感させるが、エンジンマウントが優れているのか振動をほとんど感じない。このパワーユニットもサスペンションもじつはBMW製で、トヨタからはショートホイールベースと低重心を要求し、BMW側もそれに応じてくれたとのことで、この組み合わせは新型BMW Z4とも共有することになる。86がスバルBRZと共有していたのと同様と思えば理解しやすいだろう。

 トランスミッションは8速のトルコンAT。

 センターコンソールにあるドライブモードスイッチをSPORTに合わせ、電子制御のVSCは長押しで完全にオフできるとのことで、サーキット全開走行を鑑みVSC完全オフで走行を始めた。

 走り出して感じたのはロードホールディング感が高く、タイヤの転動に対して路面からの反力がほとんど車内に伝わらず、極めて快適かつ静かでスムースだということだ。遮音、防振のレベルと質感はまさに欧州車のレベルで従来のトヨタ車とか明らかに異なる質感の高さが感じられる。

 レーシングカートのように繊細なコントロールが求められる

 ペースを上げて行くと車輛の運動性能が徐々に明らかになってくる。ブレーキングのターンインではフロントの回頭性が高い。というより、リヤの踏ん張り感が弱く、車体に素早くヨーレートを引き起こさせている。これは極端なショートホイールベースが成す特性だ。リヤが流れ出すというよりは車体全体がスキッドアウトしている印象で、カウンターステアよりもゼロ・カウンター操舵で進行方向を維持しアクセルコントロールでスキッド量をコントロールする乗り方が求められた。それは多田氏が言う「レーシングカートの乗り味」に極めて近く、コントロールに繊細さが必要だ。

 試しにリヤを派手にスライドさせドリフト姿勢に持ち込んでみると、カウンターステアを当てドリフト姿勢をアクセルコントロールするところまではパーフェクト。だがヨーレートが収まりカウンターステアを戻すタイミングになると急激にリヤが不安定になった。これは0~100%ロックまでを電子制御で自動制御しているLSDが、スライドコントロールまではロック領域、カウンターを戻すタイミングではフリーに戻り安定性を乱していると考えられた。

 パワーステアリングのアシストが強すぎて操舵力が軽すぎる点、ブレーキペダルのストロークが大きく、ペダル剛性が頼りない点なども気になった。この辺の挙動は開発テストドライバーも認識していて、発売時までにはより扱い易く仕上げて行くとしている。

 私見を言うなら極端なショートホイールベースは、低速時のアジリティは高まるものの高速コーナーでは安定させにくい。そういう意味ではスープラは高速スタビリティよりも低速域の小気味良さを追求したと言える。

 今回のテスト試乗では自己計測でラップタイム1分15秒89を計測した。筑波サーキットでは10秒速いタイムになるのが通例だから1分5秒台が叩き出される可能性が高い。

 来年日本で登場するであろう新型BMW Z4とトヨタ・スープラ。同じパワートレインとシャシーを共有することになるこの2台がはたしてどのような最終進化を見せるのか。86/BRZの時のように2台揃えてサーキットで比較してみたら面白いだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
くるまのニュース
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
motorsport.com 日本版
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
AUTOSPORT web
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
レスポンス
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
motorsport.com 日本版
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
くるまのニュース
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
レスポンス
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
motorsport.com 日本版
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
レスポンス
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
motorsport.com 日本版
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
くるまのニュース
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
AUTOSPORT web
全長5m超えのレクサス高級「“3列シート”SUV」に反響多数! 堂々「カクカク」デザインに「憧れる」「カッコイイ」と熱視線集まる! 広々内装も魅力的な新型「TX」に「日本でも欲しい」の声も
全長5m超えのレクサス高級「“3列シート”SUV」に反響多数! 堂々「カクカク」デザインに「憧れる」「カッコイイ」と熱視線集まる! 広々内装も魅力的な新型「TX」に「日本でも欲しい」の声も
くるまのニュース
ポップで個性的なモンスター達が作り出す世界観! SHOEIが「Z-8」にNEWグラフィック「YAGYO」を追加
ポップで個性的なモンスター達が作り出す世界観! SHOEIが「Z-8」にNEWグラフィック「YAGYO」を追加
バイクのニュース
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
レスポンス
グリーンがアクセントの爽やかコスが素敵! SUPER GTのGreen Braveは2人の「埼玉GreenBraveサポーターズ」が応援します
グリーンがアクセントの爽やかコスが素敵! SUPER GTのGreen Braveは2人の「埼玉GreenBraveサポーターズ」が応援します
Auto Messe Web
【試乗】新型CR-Vの日本導入は水素燃料電池車のみ! 特殊なクルマかと思ったら実用性十分の「買いやすい」モデルだった
【試乗】新型CR-Vの日本導入は水素燃料電池車のみ! 特殊なクルマかと思ったら実用性十分の「買いやすい」モデルだった
WEB CARTOP
ベントレー マリナーの技が冴える「エクスプレッション オブ テクスチャー」。感性を刺激する「コンチネンタルGTスピード コンバーチブル」ベースの特注モデル
ベントレー マリナーの技が冴える「エクスプレッション オブ テクスチャー」。感性を刺激する「コンチネンタルGTスピード コンバーチブル」ベースの特注モデル
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

94.81488.0万円

中古車を検索
スープラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

94.81488.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村