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スープラやシビック CR-VにRAV4 なぜ今、むかしの車名が復活? メリットは

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スープラやシビック CR-VにRAV4 なぜ今、むかしの車名が復活? メリットは

もくじ

ー 市場環境の変化に応じて車種が復活
ー 業務提携など新しい展開も車種の復活を加速
ー 廃止された車種が復活するメリットは?

画像でみるトヨタ・スープラ

市場環境の変化に応じて車種が復活

最近は「車名の復活」が多い。ホンダは一度国内販売を終えたシビック、インサイト、CR-Vを復活させた。トヨタもRAV4とスープラを再開している。なぜ車種の復活が相次ぐのか。

最も大きな理由は市場の変化だ。過去を振り返ると、バブル経済期の1990年をピークに、国内の販売台数は下降を開始した。2008年にはアメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻に陥り、世界的な金融危機のリーマンショックも発生している。

この影響もあり、トヨタは2009年3月期の連結決算が赤字になった。ホンダは辛うじて黒字は守れたが、大幅な減益になっている。

この影響で、各自動車メーカーは商品開発を見直した。日産では2011年以降、新型車の国内投入が激減している。クルマの開発には短くて2年、長ければ4年以上の期間を要するから、リーマンショックの影響が2011年以降の新型車に表われてきた。

トヨタでは、2010年に発売されたヴィッツ、2011年のアクアなどが、内装の質や静粛性のレベルを下げた。この後数回にわたり改善を受けたが、今でも上質とはいい難い。車種もミニバンを中心に次々と減らされ、2016年にはRAV4が国内販売を終えた。

ホンダはシビックの国内販売を2010年、CR-Vも2016年に終了している。このほかスバルは2008年末に、WRC(世界ラリー選手権)からの撤退を表明するなど、さまざまな業務が縮小された。

ところがこの後、2010年代に入ると、業績が再び向上していく。そこで国内でも、改めて車種の充実が求められるようになった。シビックの開発者は「もっと早い時期に国内販売を復活させたかったが、諸般の事情で遅れてしまった。シビックセダンを寄居工場で生産するタイミングに合わせて、国内販売を復活させた」という。要は景気の浮沈により、車種の削減と復活が行われたわけだ。

業務提携など新しい展開も車種の復活を加速

車種の復活には、ほかにも複数の事情が絡む。まずはクルマの売れ行きに対する見方が変化した。

例えば2000年代の初頭は、今に比べると国内販売が好調だったから、1カ月の売れ行きが1000台前後の7/8代目シビックは不人気車とされた。そこで廃止されたが、この後に国内市場は一層冷え込み、特に普通車は厳しい状況に置かれた。今なら普通車が1カ月に1000台売れれば、中堅以上の売れ行きだ。販売台数に対する見方の変化も生じて、シビックなどが復活した面もある。

最近増えている業務提携も、車種の復活に影響を与える。トヨタとBMWは、2013年に協業に関する正式契約を締結しており、この成果としてBMW Z4と基本部分を共通化するスープラが商品化された。今はスポーツカーの販売規模が世界的に縮小したから、BMWとの協業がなければ、スープラを単独で商品化するのは困難だった。

売れ筋カテゴリーの変化も、車種の復活に影響を与えた。CR-VとRAV4の初代モデルは、国内市場に適したコンパクトなSUVとして人気を高めたが、フルモデルチェンジを行うたびに海外指向を強め、ボディも肥大化して国内販売を終えた。ホンダにはコンパクトSUVのヴェゼル、トヨタにはヴァンガードもあり、CR-VとRAV4は不要だと判断された。

ところがその後にSUVの人気が想像以上に高まり、ホンダではオデッセイなど上級車種からの乗り替えに対応できるSUVが求められた。そこでCR-Vを復活させている。

トヨタは近年ではLサイズSUVのハリアー、コンパクトなC-HRをそろえたが、ミドルサイズは抜けていた。しかもハリアーとC-HRは都会的な雰囲気が強く、SUVの野性味は乏しい。そこでオフロードSUVに近い機能と雰囲気を備えたミドルサイズのRAV4を復活させた。

CR-V、RAV4ともに、現行型も海外指向で、日本を意識した開発は行っていない。それでもSUVの高人気によって品ぞろえが求められ、急遽国内販売を再開した。

廃止された車種が復活するメリットは?

車種の復活は、ユーザーにメリットをもたらす。購入できる車種が増えれば、自分に最適なクルマを見つけやすくなるからだ。最近はスポーツカーの車種数が減ったから、スープラの復活は注目される。

ただし復活の前段階となる「車種の廃止」まで含めると、メーカーの都合が優先されている。自分の所有する車種が廃止されると、誰でもメーカーから見捨てられたような寂しさを味わうものだ。次期型に乗り替えようと考えていた時は、そのプランまで絶たれてしまう。

愛車が廃止されたユーザーは、まさか数年後に復活するとは思わない。手間と時間を費やして、別のメーカーのクルマも検討し、初対面のセールスマンと慣れない商談を行って購入する。その後、忘れた頃になって復活したのでは、メーカーに対する不信感も生まれるだろう。

今はクルマが100年に一度の変革期にあるといわれ、新しいチャレンジが注目を集める。そこは理解できるが、ユーザーには押し付けられならない。

親しみを感じるメーカーと販売店、何台も乗り替えてきた愛車など、ユーザーのカーライフは継続の上に成り立つからだ。メーカーが車種を廃止して新しいチャレンジをする時には、その陰で困惑している顧客がいることを認識すべきだ。

従って車種が復活した場合、その前段階となる車種の廃止は、誤った判断だったことになる。復活させるなら、廃止などせずに、継続すべきだったからだ。

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