先代モデルのスズキ“アドレスV125”が2017年9月にリニューアルされ、「アドレス125」になりましたよね。『通勤快速』のキャッチフレーズを欲しいままにしてきたアドレスシリーズの最新モデルは、一体どう変わったのでしょうか? 少し前までアドレスV50(2017年モデル)のオーナーだった編集部イワセが「アドレス125」を徹底検証します!
文:岩瀬孝昌(編集部)写真:岩瀬孝昌、西野鉄兵(編集部)
ホンダ「CT125・ハンターカブ」に標準装備されているパーツを徹底解説!
アドレス125を買っておけば、きっと手放さなかったのに…
スズキの“アドレス”シリーズといえば、ボクの中でスクーターの“スタンダード”といったイメージ。
今から3年ほど前の2017年、とあるキッカケで“数ヶ月間”だけ街乗りで使うためのスクーターが必要になり、アドレスV50かアドレスV125のどちらかを買おうと迷った末、アドレスV50を増車しました。
ちょうどその年はアドレスV125が生産終了となり、この新型「アドレス125」がもうすぐ出るというタイミングでしたが、ボクがアドレスV50にした理由は2つ。
ひとつ目は、その時は少しでもコストがかからないものが欲しかったから。
ふたつ目は、その時は少しでも早くスクーターが必要になったからです。
50と125の価格差は数万円しか違いませんでしたし、原付二種モデルの方が二段階右折も不要。法定速度もクルマと同じでいいから、後々まで考えると少し待って新型アドレス125を買っておけばよかったのかなぁ…と今さらながらに思います(笑)。
改めて考えてみると不思議なことですが、数あるスクーターの中から、なぜかアドレスシリーズのどれかを買うことだけは決めていました。
それは多分、ボクの中で「スクーター=アドレス」というスタンダードなイメージがあったから。
覚えやすくて親しみやすい“アドレス”という名前は、住所の「Address」という意味じゃなくて「add(加える)」と「dress(ドレス)」を組み合わせた、遊び心のあるネーミングだそうです。
その後、アドレスV50は手放すことになってしまいましたが、この新型アドレス125を買っていたら、きっと手放さなかったでしょうね(笑)
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前モデルの“アドレスV125”と新型“アドレス125”の違いって?
そんな元アドレスユーザーのボクとしては、新型アドレス125はとても気になっていた原付二種スクーターです。
これまでの“アドレスV125”とドコが変わったの? というところが知りたくて、新型アドレス125の一週間インプレッションを志願したワケであります。
偶然にも身近な人に前モデルのアドレスV125オーナーがいまして、新型アドレス125を並べて比較することができました。
並べて見るとデザインの違いは一目瞭然。より近代的で親しみやすくリニューアルされています。
新型の車体がひと回り大きく優雅になった印象ですね。数値で見ても全体的に大きくなっているのがわかります。
旧アドレスV125→全長:1750mm ✖️ 全幅:635mm ✖️ 全高:1030mm
新アドレス125 →全長:1900mm ✖️ 全幅:685mm ✖️ 全高:1135mm
ヘッドライトも大きく明るいものになり、フロントタイヤが10インチから12インチにスケールアップしています。しかも前後ホイールともにアルミホイール化され、足周りの軽量化にも貢献しています。
10インチのコロコロと転がるような旋回性も捨てがたいですが、速い速度域でも直進安定性が高い12インチの方が125ccクラスのスクーターには合っているように思いました。
他にもフットボードのスペースとシートが少し大きくなっていたり、前後カウルともに大型化されていて、より優雅なラインのスタイルになっています。
コンパクトさが人気のひとつでもある原付二種クラスのスクーターですが、新型アドレス125はライダーの居住スペースも大きくゆったりになったおかげで、跨っただけでも快適性がアップしているのがわかります。
現行モデルのアドレスシリーズは「排気量別に選べる3種類+α」
アドレスシリーズは種類も豊富で、その沿革は長く、初代アドレス50が1987年に登場してから30年以上の歴史があります。
では「現行モデル」はどんな種類があるのか、ここでちょっとおさらいしてみましょう。
2020年4月現在のアドレスシリーズは排気量別に、50cc、110cc、125ccと3種類のラインアップがあります。
●アドレスV50
1987年に登場した初代アドレス50からモデルチェンジが繰り返され、30年以上も愛され続けている排気量50ccの原付一種スクーターです。
車両重量が74kgと軽く、税込でも20万円を大きく切る価格が魅力。ネーミングには「V」が付いていますね。
ボクはこのアドレスV50の2017年モデルに乗っていました。
●アドレス110
1998年に2ストロークモデルのアドレス110がリリースされ、2015年に4ストロークモデルとして復活した110ccの原付二種モデルです。
フロントタイヤと泥除け(フェンダー)が一緒に動くフレックスフェンダーを採用し、フロント&リア共に14インチの大径ホイールを履いているので、凹凸のある路面やちょっとした悪路でも走りやすいのが魅力です。
●アドレス125 /(フラットシート)
2017年に“アドレスV125”シリーズの後継モデルとしてリニューアルされた、新型「アドレス125」。全体的に車体が大きく優雅になり、デザインも現代的に大幅リニューアルされたにも関わらず、なんと価格が2万円以上もプライスダウン!
ラゲッジスペースの容量をアップし、シートがフラットで乗りやすい「フラットシート」仕様が別ラインアップされているのも嬉しいですね。ネーミングから「V」の名称はなくなりました。
以上の3種類がラインアップされています。
近年、その人気がさらに高まっている“原付二種クラス”に、110ccと125ccの2つをラインアップしているところがユーザーには嬉しい限りです。
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他にもスズキの原付二種クラスには、上位モデルとなる「スウィッシュ」もラインアップされていますから、選ぶのに迷ってしまいそうですけどね(笑)。
でも今回、新型アドレス125を一週間乗ってみて「これほどコスパに優れた原付二種スクーターは他に無い!」って本当に思いましたよ。
その理由は“5つ”の『低』が揃っているから!
コスパって本当はこういうこと!アドレス125は“5つ”の『低』が魅力!
“コストパフォーマンスがいい”ってよく使われる言葉ですが、価格以上の性能を造り出すのは並大抵な事ではないと思います。
しかも、それが人気カテゴリーの“原付二種クラス”ともなれば、より一層難しいことでしょう。
『通勤快速』と呼ばれているほど親しまれているアドレス125が、原付二種クラスのスタンダードであり続けているのは安さだけではない、これら5つの魅力が詰まっているからだとボクは思います。
(1)低価格
「先代モデルより2万円も安く登場するなんて!」
まずは何と言ってもリーズナブルな「低価格」設定です。125ccスクーターの価格が30万円以上する車両が一般的なのにも関わらず、新型アドレス125の車両価格は税込でも20万円代前半の22万1400円!
原付モデルのアドレスV50(17万8200円)と比べても4万円弱の差しかありません。
しかも、旧アドレスV125のスタンダードモデルよりも低価格で登場しました。
旧アドレスV125 車両価格:24万3000円(税込)
新アドレス125 車両価格:22万1400円(税込)
このご時世、物価や消費税も上がっているのに、先代モデルよりも2万円以上プライスダウンされているなんてスゴくないですか!?
(2)低燃費
「ガソリン1ℓで47.5km以上走るなんて!」
次に“低い”のは、驚きの「低燃費」です。アドレス125には新設計の「SEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)」エンジンが搭載されています。
ピストンの軽量化やローラーロッカーアームの採用など、シリンダー内のフリクションを極力少なくして、パワーを落とすことなく燃焼効率をアップさせた新設計エンジンがアドレス125の低燃費の秘訣であります。
また、低速から力強いトルクがあるエンジン特性に合わせて、駆動系となるCVTの設定も最適化し、燃費性能と加速性能を向上させているとのことなんですが…
それにしても、アドレス125はとにかくガソリンメーターが減りません(笑)。
正直なところ、ガソリンがあまりにも減らないので、燃費を早く測るために結構スロットルを開け気味に走っていたのですが、全然減りません(笑)。
ようやくトータル距離215.4km走ったところで、ガソリンメーターが赤になったので、満タンに給油してみたところ、4.53ℓ入りました。
アドレス125の燃料タンク容量は6.0ℓなので、リザーブ分も含めるとまだ1.47ℓも残っていたんですね。
この時点で燃費を「満タン法」で測ると…
215.4km ➗ 4.53ℓ = 47.5496…
なんと、ガソリン1リットルで
47.5km/ℓオーバー!!
今回のボクみたいにスロットルを開け気味にせず安定して走っていれば、もっと良くなると思います。アドレス125のカタログに乗っている燃料消費率(WMTCモード値)は51.0km/ℓなので燃費がとても良い事がわかります。
アドレス125は車両を購入してからのランニングコストも低いんです!
(3)低シート
「シートが125ccスクーターで最も低いなんて!」
アドレス125のシート高は745mmで、足つき性が良いのも魅力です。
スズキの原付二種クラス「アドレス110」のシート高は755mm、「スウィッシュ」のシート高は770mm。他メーカーの同クラス(国産現行車)のモデルと比較しても最もシートが低いモデルだと思います。
ただ、“足つき性”にはサスペンションの沈み込みやシートの幅など、数値だけではわからないところもあるので、実際に跨って見ました。
身長172cm、体重68kgのライダーが跨って見ると両足が軽く曲がってカカトまでベッタリ着きます。
スクーターは快適な乗り味を追求して、肉厚で幅広なシートが採用されているモデルが多いので足を大きめに開くことになり、意外に数値より足つき性が良くなかったりするのですが、アドレス125のシートは先端が絞られているので安心して両足が着きます。
でも、アドレス125には、もうひとつ足つき性が優れているポイントがありました。
見てください、この3枚の写真!
下ろした足が着きやすいように、フロアボード後方の両隅が湾曲しているんですね。
アドレス125の足つき性は老若男女問わず様々なユーザーが乗れるように敷居を下げてくれる「低」シートなんです。
(4)低振動
「スロットルを開けているのに振動が極小なんて!」
アドレス125は走っている時の振動も「低い」んです。
バイクの「振動」はエンジンの鼓動によるものや、ハンドルやサスペンション、タイヤや路面からくる振動など、様々な要因がありますが、不快な振動が少ないほど“快適なバイク”ということになると思います。
もちろん、“味のある振動”として「バイクはエンジンの鼓動も楽しむ乗り物でしょ!」と言うライダーも多いことでしょう。ボクもそう思います。
しかし、ちょっとした買い物や街乗り、通勤通学など、毎日のように乗るスクーターは不快な振動が少なくスムーズに走れる事に越したことはありません。
アドレス125はまさにソレ。
スロットルを開け始めると「ブォォー」という、CVT特有のエンジン音とちょっとした振動はあるものの、回転数が落ち着くと振動がピタッと止まるんです。
その後はほとんど不快な振動がなく、一般道の法定速度60km/hまでスムーズに加速していきます。
例えるなら「宙に浮いているような乗り味!」なんです。
アドレス125の快適な乗り心地はエンジンの振動が少ないだけではなく、フレームやサスペンションも貢献しているのでしょう。
特にリアサスペンションが、肩持ちスイングアーム兼CVTユニットと直結したモノコックタイプなので、不快な振動をライダーの座るシートやハンドルなどに伝わりにくいようになっていると思います。
そんな低振動で毎日乗っても疲れないアドレスシリーズが、代々『通勤快速』と呼ばれているのが良くわかります。
振動が少ないバイクほど疲れませんからね。
(5)低騒音
「帰宅が夜遅くても近所迷惑にならないなんて!」
アドレス125はとても静かなスクーターです。
エンジン音も排気音も、メカニカルノイズも全く気にならないほど「低騒音」です。
マフラーはスクーターらしい小径で軽量なダウンタイプ。ヒートガードにはシボ状の模様が入れられています。
騒音がしっかりと抑えられたマフラーで、ヘルメットを被って跨ったとき、ライダーの乗車位置からだと排気音がほとんど聞こえないほどです。
ボクは仕事柄、早朝に家を出たり、帰りが深夜になることも多いので、騒音のうるさいバイクだと近所迷惑になります。
極端な話ですが、アドレス125はエンジンをかけっぱなしにしたアイドリング状態でしばらく置いていたとしても近所迷惑にならないほど静かです。
この騒音の「低さ」は、マンション住まいのボクとしては購入条件の上位にくるほどありがたいことです。
“スタンダード”になることが、実は一番難しい
【スタンダード】とは「その分野において、広く知れ渡り親しまれていること」を意味します。
これまで当たり前のように“スタンダード”という言葉を使ってきましたが、「スタンダード=平凡」ではありません。
アドレスシリーズのように長い歴史があり、信頼性や利便性もあって、日常に根付いている乗り物でなければ“スタンダード”と呼ばれることはきっとないでしょう。
今回は、元アドレスV50オーナーだったボクが感じた「新型アドレス125」の“5つ”の『低』についてご紹介しました。
“コスパいい!”って思うのは、購入した人がそれぞれ感じるものですが、ボクはアドレス125より“低コスパ”に優れた原付二種スクーターが今のところ他に見つかりません。
あの時、新型アドレス125を購入していたら、きっと手放さなかっただろうなぁ…(笑)。
そして次回はアドレス125の「走行性能」についてご紹介したいと思います。
続編はこちら!
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