6気筒フラット6に「原点回帰」。これは事件だ!
絶対的なスピード性能以上に、甘美なフィーリングを堪能したい――そうした思いを抱くポルシェ・ファンに対する最高のプレゼントが、718ケイマンGTS4.0だ。駆動方式はもちろんミッドシップ。
ポルシェ911カレラS/カレラ4Sに待望の7速マニュアルトランスミッションが新設定
いままでのGTSグレードが2.5リッターターボ(365ps/420Nm・MT)を搭載するのに対し、新型は4リッターの自然吸気ユニット( 400ps/420Nm)を積む。最高出力アップ以上に重要と判断するポイントは、気筒数が4から6へといわば「原点回帰”」した点だろう。
燃費効率の向上(具体的にはCO2排出量の低減)を主な理由として排気量削減と4気筒化に踏み切った2.5リッターターボだったが、フィーリングの変化をポジティブに受け取らなかったマーケットがあったことは事実。とくに、世界最大のスボーツカー市場のアメリカでは、販売台数を大幅に低下させる要因となっていた。
6気筒モデルの「復活」には、そうしたマーケット事情が反映されている。
トップスピード293km/n ! フットワーク自在、まさに理想形
エンジン回転数の上昇にともなってサウンドが澄みわたり、アクセル操作に対するレスポンスを高めていく様子は最高。
「やはり自然吸気6気筒は素晴らしい」とほれぼれした。
現状ではトランスミッションが6速MTに限られ、走りのシーンによってはアクセル全開時のパンチ力が、4気筒GTSに及ばない領域もある。
とはいえ官能度の高さは、6気筒が圧倒的に上回っている。「ポルシェのスポーツカー好き」が、どちらのエンジンに軍配を挙げるかは、明らかだろう。
パフォーマンスは秀逸。トップスピードは293km/hに達し、0→100km/h加速は4.5秒でクリアする。
フットワークも理想的だ。 4リッターの強心臓を搭載しても、ケイマンが元来備えている絶妙なバランス感覚はそのまま維持されている。
フラット感に富んだ乗り味や、ミッドシップ・レイアウトならではの俊敏なハンドリング感覚。それでいながら、雨の中でも不安なくアクセルを踏み込んで行く気になれる高い安定感など、何ひとつつ失っていない。
GTS4.0は、GT4グレードほどハードコアではないものの「たまにサーキットで走りを楽しむ」というユーザーにとって、快適性と実用性、そしてスポーツ性のバランスは、何とも絶妙と思えた。
メーカーが「年内をめどに開発中」と説明する 2ペダルの「PDK」仕様がラインアップに追加されれば、GTS4.0はシリーズ随一の人気バージョンとなることは確実だろう。
最良のケイマンである。
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フラット6 NAは、今後、中古市場で注目されそうですね。