クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は「信号のない横断歩道において、歩行者が渡ろうとしている際に一時停止しないクルマがいる」件について考察する。
文/清水草一、写真/フォッケウルフ
横断歩道で止まる「貴族」と止まらない「野蛮人」の割合は45対55【清水草一の道路ニュース】
■かつて「止まらなかった」人たちの実情
数年前まで、ドライバーが最も摘発に注意すべき交通違反は、スピード超過や進路変更(イエローラインオーバー)だった……のではないだろうか。
スピード超過の取り締まりは、安全性とはほぼ無関係に、主に捕まえやすそうな場所で行われており、進路変更禁止も、陸橋上など、つい違反してしまいがちなポイントで集中的に行われていた。
結果、どちらの取り締まりも、事情を知らない他所者やうっかり者だけが捕まることになり、「取り締まりのための取り締まり」になりがちだった。
しかし近年は、雲行きが大きく変わっている。スピード超過や進路変更禁止の取り締まりがなくなったわけではないが、現在、ドライバーが最も摘発に注意しているのは、「信号機のない横断歩道での横断歩行者妨害(違反点数2点、反則金は普通車で9000円)」ではないか。数年前までほとんど取り締まられていなかったので、変化が顕著だ。
たとえ幅が短かくても信号のない横断歩道では歩行者を注視して走行しなくてはならない
最近まで、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていても、一時停止するクルマはごくわずかだった。個人的にも、横断歩道では歩行者を優先する義務があることは知っていたものの、ほとんどのクルマが素通りしているため、止まると逆に事故を招きかねないという思いがあり、あえて止まっていなかった。
私は40年以上前、自動車教習所の講習で、このような話を教官から聞いた。
当該教官が助手席に乗った教習車が、信号のない横断歩道で歩行者を優先して一時停止し、教官が「お先にどうぞ」と手振りをした。
おばあさんがお辞儀をして横断歩道を渡り始めたところ、反対車線から来たクルマにはねられて亡くなったというのである。教官は「まるで、あの世へどうぞと手招きしてしまったようでした」と語った。
以来、横断歩道で止まると、かえって人を死に追いやるかもしれないと思うようになった。止まると思っていないところで止まれば、後続車に追突されるリスクもある。
「住宅街の信号のない横断歩道で歩行者を見て停止したら、ジャガーがホーンを鳴らしながら猛スピードで追い越して行った」という、とんでもない話もある。
歩行者側も、クルマが止まってくれるとは思っておらず、止まると戸惑いを見せたり、逆に「先に行け!」という手振りをされることもあった。「みんなが止まらないから怖くない」だけではなく、「みんなが止まらないから止まると危ない」のが実情だったのだ。
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