■独特のフォルムを持つコンパクトSUVに人気再燃の兆しか
アメリカのオークションサイト「cars&bids」に、三菱の初代「RVR」が出品され注目を集めました。
非常に高性能なモデルだといいますが、どのようなクルマだったのでしょう。
【画像】めちゃカッコいい! 三菱「“爆速”ランエボSUV」を画像で見る(30枚以上)
初年度登録から25年を経過すれば、アメリカでは原則禁止されている右ハンドル車の走行が可能となる、いわゆる「25年ルール」。
アメリカではもともと日本車の人気が高いのですが、近年では映画「ワイルドスピード」などの影響により「日本でしか買えない右ハンドルの日本車」が大人気。マツダ「RX-7」や日産「シルビア」「スカイラインGT-R」、ホンダ「インテグラ タイプR」、スバル「インプレッサWRX」など、日本製スポーツカーが続々とアメリカに流出しています。
ところが、25年ルールで輸出されるクルマの中には、トヨタ「クラウン」「センチュリー」、日産「セドリック/グロリア(Y32型)」といった日本独自の高級車や、トヨタ「ハイエース」などの商用車、さらには軽自動車や軽トラックなど、スポーツカーではない車種も見られるようになりました。
そんななか、25年ルール対象車を数多く扱うアメリカのオークションサイト「cars&bids」に、1994年製の三菱「RVRスポーツギア」が出品され、7200ドル(日本円で約112万円)で落札されました。
初代RVRは、3列・7人乗りミニバン(なお当時、日本ではミニバンという言葉は普及していませんでした)の「シャリオ(2代目)」をベースに、ホイールベース短縮や2列シート化、さらにリアドアを片側スライド化して1991年に誕生したコンパクトなワゴンです。
背が高いハッチバックとも、全長が短いミニバンともいえる独特のフォルムが特徴で、折しも当時日本で盛り上がっていた「RVブーム」の需要とも合致したことで、大ヒット作となりました。
RVとはレクリエーショナル・ビークルの略で、キャンプ・アウトドア・アクティビティなどの「レジャー」を楽しむためのクルマとして、SUV(こちらも同様に、当時の日本にSUVというジャンルはなく、4輪駆動車・クロスカントリー車などと呼ばれていました)、ステーションワゴン、ワンボックスワゴンを含めRVと称していました。
三菱の本格的なクロスカントリー車「パジェロ」、パジェロ並みの悪路走破性能を持つワンボックスワゴン「デリカスターワゴン」と違い、RVRはシティユースをメインとしたコンパクトRVをテーマとして開発されました。
車名のRVRは、「Recreation Vehicle Runner」を示していました。
5人乗りと4人乗りが設定されており、後者では後席がスライドレールで前後に移動することで、広大なレッグスペースを作り出せました。
■「ランエボ」用の高性能ターボエンジン搭載モデルも登場!
搭載されるエンジンは「ギャラン」などでおなじみの「4G63型」2リッター直列4気筒DOHCで、トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックを、駆動方式はセンターデフ式フルタイム4WDとFFを選ぶことができました。
その後「4G93型」1.8リッターエンジン搭載版を追加。登場翌年には、フロントのグリルガードやオーバーフェンダー、当時のRVでは象徴的装備だった背面スペアタイヤなどを装着した「スポーツギア」を発表。
アウトドアに似合うRVらしい外観を得て、RVRの代表グレードとなりました。今思えば、現在人気の中心である「コンパクトSUV」の先駆け的存在といっても良いかもしれません。
バリエーションの追加は続きます。
1993年、リアドアを廃し前席頭上に電動スライド式開閉ルーフを設けた「オープンギア」が登場。1994年には、かの「ランサーエボリューション」用の4G63型ターボエンジンを230ps(AT車220ps)にデチューンして載せた「X3」「スーパースポーツギア」「スーパーオープンギア」が誕生しています。
さらにその後、250psにパワーアップしてエアロパーツを身にまとった「ハイパースポーツギアR」も設定しました。
現在でこそ高性能SUVは珍しくありませんが、スーパースポーツギアやハイパースポーツギアRの200psを凌駕するスペックは、1990年代前半の2リッタークラスRVとしては異例の高出力。時代を先取りしていたモデルといっても過言ではないでしょう。
cars&bidの商品説明では、次のように書かれています。
「アメリカでも販売されていたプリマス コルトビスタよりもはるかにクール。
2リッター4気筒ターボエンジンを搭載しており、プロポーションから想像するよりも運転が楽しく、全輪駆動なのでダートロードでも快適に走行可能。MOMO製ステアリングホイールなどのクールなアイテムも」
このようにアメリカでも、その独特の存在感が見直されていることがわかります。
なおこの初代RVRは、アメリカではクライスラーから「ダッジ コルトビスタ」「プリマス コルトビスタ」「イーグル サミットワゴン」としても販売されていたことを補足しておきます。
※ ※ ※
RVRは1997年に2代目にフルモデルチェンジ。コンセプト的には初代のキャリーオーバーでしたが、初代ほどの人気は得られませんでした。
3代目は2010年に登場するも、初代・2代目のようなスライドドアは持たず、一般的なコンパクトSUVに。仕向地によっては「ASX」として売られました。
そしてRVRの系譜を継ぐ2代目「ASX」は、なんとルノー・日産・三菱アライアンスの流れから、ルノー「キャプチャー」のバッジ替えモデルとなって現在に至っています。
見るだけでレジャーに行きたい気分が高まる……そんな魅力を放つ初代RVR。
今後、ますます注目されていくかもしれません。
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みんなのコメント
同時期にシャリオにも同じエンジン載せてたし