三重県の鈴鹿サーキットで始まった2023全日本スーパーフォーミュラ選手権の第8戦・第9戦『第22回JAF鈴鹿グランプリ』。今回は2レース制ということで、金曜日にフリー走行が行われたが、このセッションでは逆転で3連覇を狙う野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップにつけた。
土曜日から始まるチャンピオン争い最終章に向けて、まずは一歩リードしたように見えるが、実際のところはどう考えているのか。セッション後の野尻に話を聞いた。
3連覇目指す野尻智紀が一番時計。ランキング首位の宮田2番手、ローソン4番手/SF第8・9戦金曜フリー
セッション序盤はTEAM MUGENの2台は思いのほかタイムシートの上位に来ることがなかったが、中盤あたりから徐々に順位を上げ、最後のタイムアタックでは唯一の1分38秒台となる1歩38秒895を記録。2番手の宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)に対し、0.2秒の差をつけた。
「最初は単純にまったくグリップがない状態でした。セットアップもいろいろ変えながら、ようやくグリップが出たなというアイテムが見つかったから良かったですけど、それが見つからなかったら、けっこうキツかったなという感じがしました」とセッションを振り返った野尻。
昨年も金曜日のセッションでTEAM MUGENがフリー走行で下位に沈み、野尻の2連覇に一瞬暗雲が立ち込めた。今回も、序盤は似たような雰囲気があったが、昨年の経験が活きたと言うよりは、第7戦モビリティリゾートもてぎで得られた手応えを今回の改善に活かせた様子だ
「もしかしたら今日の途中でやったようなことをやっていれば、昨年の金曜日はもう少し改善できたかもしれないですけど、わりと前回のもてぎでやって良かったものを投入したりとか、それのネガティブな部分を消して、新たに用意したものを入れたら機能してくれました」
それでも、今週末はコンディションの変化に対して的確な合わせ込みができるかが、ポイントになりそうな様子で「タイムシート上では上にいますが、まだ38秒9ですから、まだ全然なのかなと思います」と野尻。「今週はN-ONEや86/BRZレースもあるというところで、コンディションの変化がいつもとは違った形になるのではないかなと思います。そういった部分の詰めも難しいところではありますね」と、土曜に向けて慎重な姿勢を崩していない。
このフリー走行前に、恒例の“金曜会見”が行われ、チャンピオン候補の3人が登場した。接戦が予想される最終2連戦に向けて野尻は「今日のフリー走行もけっこう重要だと思っています。たとえば、今日ものすごく速かったりしたら、周りの選手にプレッシャーをかけられるだろうと思います」と語っていた。
いざフリー走行が終わると、リザルト上ではそのとおりとなったわけだが、2番手に宮田、4番手にリアム・ローソン(TEAM MUGEN)がつけている状況。これを見た野尻は「みんな上位にいるじゃないですか」と苦笑いをみせる。
「これで誰かが(下位に)沈んだりすると、プレッシャーをかけられるかなという状況にはありましたが、結局みんな上だったので『一緒だったかぁ』みたいな感じでしたね。これで何も流れが変わるわけではないですからね」と、今日のところはアドバンテージを得られたという感触はない様子だった。
「(明日の展開は)分からないですね。でも、楽しみです!」と最後は笑顔で締め括った野尻。やはり、昨年と同様に土曜日の予選が始まってみないと、チャンピオン争いの勢力図は見えてこなさそうだ。
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