ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツから2023年のWEC世界耐久選手権に参戦するアンドレ・ロッテラーは、数年ぶりにトップレベルのプロトタイプカー競技に参戦するためWECのパドックに戻った際の感覚について、「まるで自分がよそ者のよう」に感じたと表現した。
2012年にアウディでWEC LMP1の初代チャンピオンに輝いたロッテラーは2023年、LMDh規定のもと新造されたポルシェ963の6号車を、ケビン・エストーレ、ローレンス・ファントールとシェアする。
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41歳のロッテラーはアウディからポルシェ、レベリオン・レーシングを渡り歩き、現行WECのスタート以来、常に存在感を示してきた。アウディ時代の2011、2012、2014年には、いずれもマルセル・ファスラー/ブノワ・トレルイエとのトリオでル・マン24時間レースも制している。
ロッテラーの最後のWEC参戦はレベリオンから出場した2018/19シーズン最終戦のル・マンであり、その後はフォーミュラEでの活動に専念してきた。今回は約4年ぶりにWECのレースに戻ることになる。
「WECに戻るのはとてもエキサイティングだ」とロッテラーは語った。
「ここは僕の“出身地”だけど、ポルシェは2017年でプログラムを終えたからね」
「当時僕はより多くの(WECの)レース出場を望んでいたことは間違いないけど、その後のフォーミュラEも楽しんでいたんだ。それはトップクラスのモータースポーツであり、競争は非常に熾烈だ」
「今、ポルシェとともにWECに戻ることができて、とても光栄に思っているし、モチベーションも上がっている。新しい時代、新しいクルマだしね」
「LMP1の時とはまったく違うけど、これだけ多くのメーカーがグリッドに並ぶのは素晴らしいことだし、競争はきっと興味深いものになるだろう」
ロッテラーは数年ぶりとなるWECのパドックに慣れる必要があったことを認め、最初は「ちょっとよそ者」のような気分だったという。
「WECに戻ったという感覚を実感するのは、とても興味深いことだ」とロッテラー。
「まず自分がそれを実感し、感覚を掴まなければならない。長年ホームだったこのパドックに、どういうわけかまた戻って来られたというのが、本当に信じられないんだ」
「だから戻って来てこのパドックの環境を見渡すと、最初はちょっとよそ者のように感じた」
「でも、そのうちに以前の記憶がよみがえってきて、ここが僕のホームだと思えるようになった。いいパドックだし、知ってる人もたくさんいるんだ」
■LMP1時代とは「違うゲーム」になる
今年彼と組むエストーレとファントールは、ポルシェのLMGTEプロのプログラムからステップアップしたフランス人とベルギー人であり、ロッテラーとは異なるキャリアを持つ。
一方、ロッテラーはかつてスーパーGTで活躍して以来、GTマシンでレースを戦ったことはほとんどない。
6号車に乗る3人のドライバーの経験値はまちまちだが、ロッテラーは各ドライバーがそれぞれ固有の知識を持ち寄っている、と話す。
「トラフィック・マネジメントという点でも、彼らの意見を聞けるのはいいことだ。これまで、それが大問題になることはなかったけどね」とロッテラー。
「彼らはRSR(GT)プログラムの一員で、今はLMDhプログラムに参加しているから、彼らは僕よりもポルシェのエンジニアたちと作業をしてきている。僕らは皆、全体のレベルを上げるために、それぞれの断片を持ち寄っているんだ」
ロッテラーはトップレベルのプロトタイプ競技の経験を持つ唯一のドライバーだが、ハイパーカー時代のレースのニュアンスが、LMP1とは大きく異なることを認めている。
「今回は違うゲームなんだ」とロッテラーは言う。
「これらのクルマによる、新しいゲームだ。LMP1の時は(モーターからのパワー放出時は)1000馬力を発生する4輪駆動となり、コーナーから力強く加速していった。いまとはまったく違うものだった」
「いまはスピードのデルタが少ないので、オーバーテイクが少し難しくなるだろう」
「すべてはこれから発見されることだが、僕らは全員、耐久レースの経験豊富なドライバーであり、何をすべきかは分かっている」
「チームのすべてのドライバーは、異なる分野で非常に経験豊富であり、それはIMSA側でも、クルー全体に利益をもたらすと思う」
「もちろんパドック全体を見ても、皆が強力だ。これらのプログラムには少し若くて少し新しいドライバーもいることは確かだけど、彼らはとても才能があるからメーカーによって非常に慎重に選ばれたというわけだ」
「だから僕らは、全力を尽くすつもりだ。お互いの才能と経験が強くなることを願っているし、僕らはもう少し持てるものを示さなければいけないね」
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