標準のSクラスとして初の四輪操舵
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
メルセデス・ベンツは、7代目のSクラスでラグジュアリー・サルーンの動的性能へ革命を起こす、と表明している。過去のSクラスで、最もドライバーに焦点が向けられたモデルになるようだ。発表は2020年の9月、英国での発売は2021年初めとなる。
7代目では、AMG仕様を除くSクラスとして初めて四輪操舵システムを搭載。機敏なシャシー・セッテイングが与えられる。
ちなみにアウディA8やBMW 7シリーズでは、すでに四輪操舵が採用されている。この3台で現状最もドライバー・オリエンテッドなのは、7シリーズだといえる。
ライバルモデルの場合、後輪の舵角は数度程度に留まるのに対し、Sクラスのシステムでは最大で10度も角度が変えられるという。設定には2種類が用意されるそうだが、この舵角は大型の商用車並みの数字となる。
Sクラスのチーフエンジニア、ユルゲン・ヴァイシンガーによれば、現行モデルの最小回転直径が10.2mなのに対し、7代目Sクラスでは2.0mも小さくなっているとのこと。アウディA8の場合、ダイナミック四輪操舵システムを備えていても、11.4mもある。
新しい四輪操舵システムによって、都市部での取り回しが良くなるだけでなく、高速域での安定性も大幅に向上するとヴァイシンガーは自信を見せる。
混雑する都市部でも大幅に運転しやすい
今回AUTOCARでは、量産版に近いプロトタイプへの試乗が許された。リアシートだが。そして、彼の主張が正しいことを確認できた。新しいSクラスは、はるかにボディが小さいクルマ並みの扱いやすさを得ているようだ。
現行のSクラスより、大幅に乗りやすくなるだろう。混んだ都市部や狭い駐車スペースでも、より少ないステアリング操作と切り返しで運転できる。
「まったく新しい世界です。Aクラスより最小回転直径は小さいほど。ゲームチェンジャーといえるでしょうね」。と話すヴァイシンガー。
リアタイヤの角度を司るのは、電動アクチュエーター・アーム。新開発の5リンク・リアサスペンションに統合されている。
動き自体は、通常のシステムと同様。基本的に、低速域ではフロントタイヤと逆向きに切られ、高速域では最大1.7度で、同じ向きにリアタイヤが切られる。
2種類の設定のうちのもう1つは、フロントとリヤでタイヤサイズが異るクルマ用。最大5度まで、高速域でタイヤが切られるという。
四輪駆動システム、4マティックも最新版。アクティブ・サスペンションシステム、E-ABCも新しく更新された。コーナリング中にボディを傾け、ロールを打ち消すほか、加減速時にもボディの姿勢変化を抑えてくれる。
これらの高度で複雑な機能は、新開発のエアサスペンション、エアマティックとセットで、すべてのSクラスに標準装備される。
ボディの60%はアルミニウム製
7代目Sクラスがベースとするのは、2世代目のMRAプラットフォーム。ホイールベースは3種類が設定される。また現行と同様に、メルセデス・ベンツのほか、メルセデスAMGとマイバッハ、プルマン仕様も登場予定だ。
一方で、Sクラスのクーペとカブリオレのモデルチェンジは見送られた。メルセデス・ベンツを率いるオラ・ケレニウスが推し進める、コストカット政策に勝てなかったのだろう。
標準ボディのSクラスは、ホイールベースが71mm長くなり、3106mmへ成長。ロングホイールベース版では、51mm伸び、3216mmとなった。より快適で広々とした車内を実現している。
純EV版のEQSの開発も担当するヴァイシンガーによれば、新しいSクラスのボディは、約60%がアルミニウムで構成されるという。先代より、かなり軽量に仕上がるようだ。
ドアハンドルがボディ表面と一体になるなど、空力性能も磨き込まれ、Cd値は0.22とクラスをリードするほど良い。優れた燃費にもつながる。
「伝統的に、世界最良のクルマを生み出すには、ディテールまで詰める必要があると説明されてきました。(Sクラスでは)あらゆる小さな部分にまで、デザインの向上が図られています」
Sクラスに搭載されるエンジンは、まだ発表されていない。しかし3.0Lの直列6気筒ターボと、電圧48Vのマイルドハイブリッドに4.0LのV型8気筒ツインターボが採用されることとは、ほぼ間違いない。
インテリアの新しい技術水準
マイバッハ・ブランドには、6.0LのV型12気筒ツインターボが継続搭載されるという。また英国では、2.9Lの直列6気筒ディーゼルも用意される。
プラグイン・ハイブリッドとしては、S580eが登場する。これには3.0L直6ターボ・ガソリンと、トランスミッションに組み込まれる電気モーターを結合。31.2Whのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、最大99kmの距離を電気モーターだけで走行できる見込み。
ボディのデザインは、現行モデルの進化版といった印象。より大胆なフロントグリルと、トランクリッドにまで伸びる水平基調のテールライトが特徴だろう。
車内はスイッチ類を大幅に減らし、主要な機能はモニターに集約され、デザインは一新している。メーター用のモニターと、センターコンソールには縦型12.8インチのモニターが標準装備。リアシートには最大3面のモニターを設定できる。
リアシートでの試乗だったとはいえ、メルセデス・ベンツがインテリアの新しい技術水準を築いたことは明らかだった。メーター用のモニターは、特殊なメガネを掛けずに、立体的に見える3D体験を実現している。
さらに拡張現実を採用したヘッドアップディスプレイも特徴。これはドライバーの目線10mほど先に、実際の視界に合わせたカタチで必要な情報が投影されるものとなる。
筆者自身の手で、ステアリングホイールを握れる日が楽しみだ。
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みんなのコメント
見慣れている、最小回転半径で表すと、4.1mになる。 本当か?
その時はオフにできたりと、ぬかりないのかな?