BYDのバッテリーで航続413km 見た目の個性は薄い
また新しい自動車ディーラーが、英国に増える。今回試乗したオモダは、中国のチェリーが立ち上げた新ブランド。電動コンパクトSUVの「E5」と、ガソリンエンジンで走る「5」で上陸が始まる。
【画像】高水準ではないが、低水準でもないぞ! オモダE5 競合サイズの電動SUVはコレ! 全167枚
ボディサイズは全長が4424mmで、全幅は1830mm、全高が1588mm。競合するのは、フォルクスワーゲンID.3やルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック、MG 4 EVなどだろう。
英国での価格は、ベースグレードで3万3500ポンド(約643万円)から。トップグレードでも3万5500ポンド(約682万円)となり、装備も充実しているから、机上での競争力は低くない。
駆動用バッテリーは、BYDのリン酸鉄リチウム・ユニットを採用。これは高効率なことが特徴で、額面61.4kWhに対し、60.4kWhの実用量がうたわれる。駆動用モーターは203psを発揮し、フロントアクスルを駆動。航続距離は413kmが主張される。
今回の試乗は、気温が高めの天気で高速道路が中心だったが、365kmほど走れることを確認できた。急速充電能力は、最大80kWと早くはない。10-80%の補充に、約40分必要になる。
スタイリングの印象は見る人に依存すると思うが、筆者は全然悪くないと感じた。シャープなライン構成でスタイリッシュ。欧州のトレンドにも、合致するように見える。
ただし、オモダらしい個性は薄い。トヨタやルノー、ヒョンデ、プジョーなどのデザイン要素が、散りばめられているようにも感じる。どのブランドのモデルなのか、イメージしにくいともいえる。
適度に高級感あるインテリア 少し凝りすぎ?
インテリアも悪くない。適度な高級感があり、ヒョンデやキアのユーザーが見ても、納得の水準にある。ただし、トップグレードのノーブルへ与えられた内装は、接着剤のような匂いを放っていた。
スピーカーのグリル部分はクロームメッキされ、プラスティック製パネルには細かい波のようなテクスチャが与えられている。細部まで気が配られているが、少し凝りすぎにも感じられた。
スマートフォンのワイヤレス充電パッドは、2面あり便利。充電中の加熱を防ぐ、通気口も設けられている。センターモニターの明るさを、個別のパッドで変更できるのも有用だろう。
一方、ステアリングホイールにはオーディオ用のタッチセンサーが備わるが、明るい状態でヘッドライトを点けると、バックライトが点灯しないようだった。雨天時は、手探りするしかない。
ダッシュボード中央には、12.3インチのタッチモニター。メーター用モニターと一体のパネルに収まる。まだ最終仕様ではないということだが、グラフィックは粗めで、メニューを辿りにくく、ソフトウエアは前世代のデザインに思えた。
運転支援システムの変更には、3~4回タップする必要がある。ホーム画面のアイコンは、小さくて触れにくい。フォルクスワーゲンのシステムの方が、まだ使いやすいと思うものの、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。
荷室は狭め 0-100km/h 7.6秒の不足ない動力性能
リアシートの広さは、このクラスの平均程度。身長180cmくらいの大人でも座ることはできるものの、足元や頭上の空間に余裕があるとはいえないだろう。
荷室容量は292Lと狭いが、床下の収納はカウントされていないのかも。数字としては小さなハッチバック並みだが、フロアのパネルを持ち上げると、意外と大きい空間が現れる。しかも、フルサイズのスペアタイヤも載っている。使い勝手は悪くなさそうだ。
フロントのボンネット下にも、収納が用意されている。充電ケーブルをしまうのには、少し小さいようだが。
さて、確認はこのくらいにして運転してみよう。車重1710kgに203psだから、5Eは電動ファミリーSUVとして不足ない動力性能を備える。0-100km/h加速は7.6秒だ。アクセルペダルを目一杯踏んでも、フロントタイヤが鳴くことはなかった。
全体的にスムーズで、必要に応じて充分なパワーを引き出せ、運転しやすい。交差点でステアリングを切りながら鋭く加速させても、進路が乱れるようなトルクステアもない。
回生ブレーキは、1番弱いモードが扱いやすいと感じた。効きを切り替えるには、わざわざタッチモニターを触れる必要があり、1段強くするとアクセルレスポンスに違和感が出る様子。直感的ではなく、ギクシャクした減速感になってしまう。
ブレーキペダルを踏まずに止まる、ワンペダルドライブには対応しない。周囲の交通状況に合わせて変化する、アダプティブ・モードもない。
走りに目立った不満はなし 装備充実でコスパ高し
E5のボディの位置は高めで、不快に感じるほどではないものの、カーブでは明確に左右へ傾く。高速道路や峠道をキビキビ運転するというより、ゆったり気ままに流すようなスタイルを前提にしている。
ステアリングホイールは軽く回せる。路面からの感触は薄いものの、反応は正確で予想しやすい。スポーツ・モードを選ぶと、僅かに重さが増す。
乗り心地は、市街地の低速域では細かい揺れが目立つ。高速域になれば、しっとりしてくる。履いていたタイヤはクムホで、18インチの扁平率55だった。
総合的に見て、E5の走りで不満に感じるような部分はないといえる。感心するほどの高水準ではないが、決して低水準でもない。
E5は、価格に見合った仕事をしっかりこなす電動SUVだと思う。プロトタイプではあったが、エネルギー効率は低くない。流れの速い郊外の道では適度な安心感があり、傷んだ路面を通過しても、ダンパーの設定を変更したいと感じないほど快適でもあった。
そして、コストパフォーマンスが高い。上級グレードを選べば、基本的な装備のほか、パノラミック・ガラスルーフや360度カメラなども付いてくる。英国のこのクラスには、MG 4 EVという強者がいるが、好敵手になる予感がする。
◯:秀でたコストパフォーマンス 安定した走り フルサイズのスペアタイヤ
△:荷室が狭め 扱いにくいタッチモニター 低速域での乗り心地
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)のスペック
英国価格:3万5500ポンド(約682万円/予想)
全長:4424mm
全幅:1830mm
全高:1588mm
最高速度:172km/h
0-100km/h加速:7.6秒
航続距離:413km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1710kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:60.4kWh(実容量)
急速充電能力:80kW
最高出力:203ps
最大トルク:36.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
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みんなのコメント
使い捨てフライパンと考えるには、少し高い買い物だね
外見は色々な会社からちょっとずつパクリ、中身は平凡かそれ以下なのに600万以上するゴミ、という印象を受けたが…