メルセデス280 SE(W108): eBayで販売中。この美しいメルセデスSクラス、予想より安く買える。W108シリーズのメルセデスSクラスは、1960年代のクロームメッキに覆われたドリームカーだ。このようなラグジュアリーカーを、手に入れやすい金額で手に入れることはできない。本当にそうだろうか?
「W108」シリーズ(1965年から1972年まで)の「Sクラス」は、メルセデス愛好家の間では長い間、テールフィンと「W116」の影に隠れていた。それは不当なことで、このメルセデスは、今日の視点から見れば、豊富なクローム装飾にもかかわらず、バウハウスのデザインのようにシンプルであり、シュトゥットガルトのスタイリストによって描かれた最も美しい車の一つだ。
第16回 「クラシックカーフェスティバル in 桐生」を訪ねて
そんな車が現在、eBayで売りに出されている。しかも、一見して予想されるよりも安い値段で・・・。出品者は青いダイムラーの値札に15,100ユーロ(約240万円)と書いている。
出品されているメルセデスについて、広告にはこう書かれている
広告の説明は非常に短い。その文章には、売り手が自分の車がとても良い状態であることを証明し、メルセデスはオリジナルのデータカードと一緒に引き渡される、と書かれているだけである。
内装は一新され、ボンネットの下には載せ替えられたエンジンがある。160馬力の2.8リッター6気筒「M130」は、2022年に載せ替えられた。広告にはその理由については何も書かれていないが、売主ならきっと答えてくれるだろう。
2023年7月に車検が切れている。スピードメーターは25,000kmしか表示していない。これは、メーターが5桁しかないからだろう。
広告に掲載されている写真を見ると、一見したところ、とてもきれいでよく整備された車であり、目に見えるような不具合はおろか、ダメージすらない。それはとても喜ばしいことだ。
メルセデスW108について知っておくべきこと
「メルセデスW108」を点検する際には、ボディの錆のチェックが欠かせない。褐色の疫病が根付いている場合、修復は簡単に車両の価格を超えてしまう。
広範なチェックと試乗も行うべきである。これは、車のすべてが機能するかどうかを調べることができるだけではない。購入希望者は、自分がダイムラー状態にどれだけ対応できるかをチェックする機会を得ることができる。
このような車では、クルージングが最適である。これは、オートマチックギアボックスや、今日の燃料価格では非常に高価になりつつある「280 SE」の燃費を気にするだけではない。シャシーもリラックスした状態を好む。なぜか?シングルジョイントのスイングアクスルは依然としてテールフィンに由来しており、激しいブレーキングでリアエンドが急浮上する可能性があるからだ。
広告を読みながら答えられなかった車の歴史に関する疑問は、売り手に答えてもらうのが一番だろう。
結論: この夢を叶えることができる人は幸運だ。とはいえ、購入前にメルセデスを入念にチェックすることが重要だ。軽はずみな購入は経済的な負担を強いられる。
大林晃平: メルセデス・ベンツの中でも最上位のモデルはいつの時代もSクラスで、少なくとも他の自動車とは圧倒的に違う存在感と、品質と、性能を持った自動車の王様であった・・・はずだった。少なくともW140くらいまでのSクラスはそうであったように思う。それが妙に一般的な地位に降りてきたのはW220くらいからだろうか・・・。それから以降は街で見かけるSクラスの数は飛躍的に増えると同時に、威圧感は減少の一途をたどり、ほかの車に紛れて走るやや大きめのセダン、みたいな存在感になってしまっていたように思う。ここ数年、やっとその性能や存在感の大きさを取り戻してはいるものの、今回取り上げられたW108のころのSクラスとは、やはり同じ土俵で比べるべきではないだろう。
このW108が生産されていた当時、メルセデス・ベンツのセダンのラインナップは今でいうEクラス、このころの呼称ではコンパクトクラスと呼ばれるW114があったのみで、他はSLがあるだけ、という極めてシンプルで厳選されたラインナップであった。だからこそ1台にかける情熱と開発費とエネルギーはギューっと圧縮され、その息苦しいほどの濃密さと理屈っぽさこそがメルセデス・ベンツの魅力であったわけだが、とにかく普通の人が所有するような雰囲気の車ではなかった。
強いて言えば、オーナーになれる人は、お医者さんか、限られた芸能人(実はエルビス プレスリーも今回のモデルと同じW108 280SELに乗っていたことが知られている。ダークレッドのボディで、エアコンとベッカー製のオーディオユニットがついていたそうで、監獄ロックとかラブミーテンダーなどを聴いていたのであろうか。それにしてもコルベットでも、キャデラックでもなく、メルセデス・ベンツというが妙にミスマッチでおかしい🤗)。政治家といった方々で、政治家でも一番似合うのは吉田茂とか白洲次郎といった大人物のような雰囲気である。
そしてそんな当時のメルセデス・ベンツは故小林彰太郎CG名誉編集長曰く、「自動車の判断や評価に迷った時にはメルセデス・ベンツに乗る」メートル原器であり、迷いのない王道の自動車であった。あろうことか、今のメルセデス・ベンツのラインナップには、乗るたびにかえって迷ってしまうようなモデルも多いから困惑してしまうが・・・。
さて、かつての戦前戦後のメルセデス・ベンツ製グランプリカーの主任設計者であったルドルフ ウーレンハウトが開発に関わったW108(と100mmほど長い、ロングホイールベースのW109。つまり300SEL 6.3はW109である)には、中核をなす6気筒エンジンを含め、多くのエンジンバリエーションとショート&ロングのホイールベースモデルがあった。当時のメルセデス・ベンツには小数点がネーミングにつくモデルが存在するが、W108に限っても。「280SE 3.5」「280SE 4.5」「300SEL 4.5」といった、小数点ラインナップモデル(?)が存在していた。
そんな中でも最高峰がもちろん6.3と言われるモンスターSクラスで、このモデルはもちろんウーレンハウトのアイディアによるもので、6.3が市販化される以前にも、自分の車(もちろんW109のSクラスである)にこっそりと大排気量のエンジンを載せて、日常で密やかに乗り回していたそうである。
ちなみにウーレンハウト氏は若干30歳にしてグランプリカー開発の責任者となり、グランプリカーにスポーティーなボディを無理やりつけて乗っていたという伝説の人物であり、そういう天才設計者がいたからこそ、6.3のようなとんでもないSクラスが誕生したわけである。といってもウーレンハウトは冷酷で冷たい自動車開発者ではまったくなく、ドイツ人としては珍しく(?)、大変温厚で誰からも好かれた人物だったという。どんなダジャレやエロジョークを言っていたのか、聞いてみたかった。
さて今回の一台はその中核をなす280である。もちろんわかりやすい時代のネーミングだから排気量は2800CCで、直列6気筒のエンジンを持ち、写真を見る限りこの当時のSクラス特有のベロア生地ではなく、布シート(残念ながらMBテックスではない)、パワーウインドウとサンルーフを装備している。価格は意外と安く、今やこの値段ではノート オーラは買えないようなプライスタグではあるが、もちろん問題と高いハードルになってくるのは購入後の維持費であることは間違いない。
メルセデス・ベンツは「かなり古いモデルでもちゃんとパーツの供給が行われている。さすがはメルセデス・ベンツだ」とはよく聞くセリフだが、確かにパーツを購入することはできるものの、そこには「恐ろしく高い値段で」という言葉が抜けていることを忘れてはならない。
もちろん古いパーツを保管し供給するエネルギーとコストがどれだけ必要かは、ちょっと考えてみればわかるものの、ほんの小さな部品一つが目の玉が飛び出るほどの価格であることはちっとも珍しくないし、あっという間にこの車の価格くらいは維持するのに必要になってしまうだろう。
頑強さが当たり前のメルセデス・ベンツであったとしても50年以上前のクラシックカーだからそんなことは当たり前ではあるが、特別な存在で、当時超高価だった自動車を、今もきちんと整備しながら所有するのには、その頃所有していた地位の方々と同じくらいの経済力がなければ成り立たないのである。
Text: Lars Hänsch-Petersen
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みんなのコメント
ATだけど、スーパーカーを追いまわせる唯一のセダンとか言う話で。