キック・ザウバー/アウディの新チーフオペレーティングオフィサーを務めるマッティア・ビノットは、彼が今もフェラーリF1のトップにいたなら、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を起用することはなかっただろうと語った。
ビノットは、元フェラーリCEOのセルジオ・マルキオンネが急逝する前に選んだ最後のチーム代表だったが、スクーデリアのリーダーとして在任していた4シーズンに期待されたタイトルを獲得することができず、2023年の初めに現代表のフレデリック・バスールに取って代わられた。
「ミック・シューマッハーはザウバー/アウディの候補のひとり」ビノットが交渉を認める
そんな同氏がイタリアの日刊紙『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』のロングインタビューに答え、ドライバーたちの状況について興味深い見解を示した。
来季2025年から2シーズンにわたってハミルトンを起用するというバスールの決定に同意するかと問われたビノットは、ドライバーの決断は理解できるが、チームの選択には同意できないと述べた。「私だったらハミルトンを雇っただろうか? 答えはノーだ」
「だが、ハミルトンがフェラーリに行くことを決めたのは素晴らしいことだと思うし、彼の決断には賛成だ」
ビノットがまだフェラーリのグランプリチームの責任者であった場合に、F1史上もっとも成功したドライバーを雇う可能性を否定した理由は少々意外なものだった。彼は、自身がスクーデリアの指揮を執っていた間、「フェラーリは他のドライバーに目を向けていた」と説明した。そして「もし、ルクレールが真に才能の持つ者であれば、ある意味で対象となるのは彼のはずだ」と付け加えた。
ジョン・エルカーン(フェラーリ会長)がビノットを解雇し、バスールを後任に指名した主な理由のひとつに、ルクレールと当時チーム代表だったビノットが2022年のイギリスGP以降、口を利いていなかったためだということを指摘しておくことは重要だ。
シルバーストンでのレース終了時、ルクレールは当該グランプリは自分が勝つはずだったと信じていたが、タイヤ戦略によってチームメイトのカルロス・サインツに初優勝のチャンスが与えられることになった。ルクレールはパルクフェルメから出てきた際、公の場でビノットと非常に白熱したやり取りをし、それ以降ルクレールはチーム代表とふたたび話をすることを拒否した。
ビノットが現在考えていると思われるのと同様に、ルクレールがフェラーリの将来の成功に不可欠な要素であると信じていたエルカーン会長は、モナコ人ドライバーの側に立ち、予定より1年早くビノットとの契約を解除した。そして、ルクレールとつねに良好な関係を築いてきたバスールを代わりに起用したのだ。
さて、ビノットは自分が本当に信じていることを語っているのだろうか。バスールの能力にまだ納得していない一部のイタリア人解説者たちのように、ハミルトンの加入がルクレールを不安定にすると考えているのではないだろうか。
それとも、ルクレールがそれほどまでに重要であり、彼を喜ばせるためにスクーデリアがチーム代表を変えたのなら、F1史上最大のビッグネームを起用することは以前の姿勢と矛盾していると単に述べているのか。
またビノットは、バスールによるチーム運営について、この21カ月の間に彼がマラネロの体制に施したすべての変更について重要視しておらず、「フレッド(フレデリック・バスール)は継続性という看板の下でプロジェクトを続けることができたが、構造化された機能的な組織に革命を起こしたわけではない。彼もまた自分自身の選択をしたのだ」と主張した。
それでも、平静を装ったビノットは次のように締めくくった。「フェラーリが勝てば私はうれしい。なぜなら私はチームを知っているし、それをあるレベルにまで引き上げるためにどれだけの努力が払われたかを知っているためだ」
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みんなのコメント
素晴らしいエンジン、車を作っても作戦の失敗ばかりだったよね