圧倒的な製造品質を誇ったブリストルとランチア
最近は耳にする機会がめっきり減った、ブリストルとランチア。ブランド力やモデル水準の高さでは、1950年代半ばにピークへ達していた。その後、下降線を描いたことは惜しまれる事実だ。
【画像】自分の「首を絞めた」コダワリ品質 アウレリア B10と405 アプリリアと400も 全106枚
その頃、両ブランドはコダワリの4ドアサルーンを開発した。エンジンは2.0L前後の6気筒。最高出力や直線速度に依存しない、細部の洗練性や上質な走行フィーリングを求める、目が肥えた少数のユーザーへ訴求するために。
ブリストルとランチアの特徴といえたのが、圧倒的な製造品質。特に1950年代のランチアは、イタリア最高の自動車メーカーとして認識されていた。由緒正しき、自国の誇りといっても良かっただろう。
確かな伝統だけでなく、革新的な技術を意欲的に取り入れてきた姿勢も、一目置かれていた理由の1つ。多少の犠牲は、顧みなかったとすらいえる。
1953年に発売されたランチア・アッピアにも、スライディングピラー式という、旧式で特殊なサスペンションは採用されていた。しかし、1950年に発売されたアウレリアは、オールアルミ製のV6エンジンを搭載。これは、量産ユニットとしては世界初だった。
リアには、先進的なセミトレーリングアーム式サスペンションを採用。現在では一般的な、ラジアルタイヤを量産車として標準装備したのも、アウレリアが初めてだった。
トランスミッションは、リアデフと一体のトランスアクスル。リアブレーキは、ドライブシャフトの内側に実装される、インボード構造が取られていた。
飛行機の傍らで作られていた400
他方、航空機メーカーから派生したブリストル・カーズは、遥かに歴史が浅い。第二次大戦前のBMWの技術を、戦後賠償の一環として取得。航空機水準の製造技術を融合し、英国流に手を加えることで、経験は殆どなくても高水準の量産車を提供していた。
ブリストル初の市販車となったのが、1947年の400。ドイツの優れた設計をベースに、革新ではなく、改善へ力がおかれていた。上空で故障するわけにはいかない飛行機のように、品質検査にも高い規格が適用されていた。
親会社のブリストル・エアロプレーン社は、戦後の労働力維持のため、自動車産業への進出を決断。しかし、既存の自動車メーカーも量産体制を整える状況にあり、充分な雇用維持は難しかった。
トランスミッションにオーバードライブが追加され、106psの新型100Bエンジンを搭載したブリストル405が登場したのは、1954年。その頃まで、グレートブリテン島南西部の製造工場では、飛行機の機体やエンジンの傍らで、クルマが作られていた。
405は、ブリストルにとって唯一の4ドアサルーンとして開発。2.0Lエンジンを搭載した自社のラインナップでは、最高の内容が目指されていた。生産ラインは、ハンドビルドに近いものといえた。
ボディパネルは、厚さ約1.0mmのアルミニウム製。キャビンはアッシュ材の木製フレームで覆われ、ルーフパネルが載せられた。
2.0Lの量産車として、最も高価なモデルの1つ
400のフロントノーズには、BMW譲りのキドニーグリルが並んでいたが、405では一新。ノースアメリカンF-86など、1950年代のジェット戦闘機の吸気口を思わせる、大きなフロントグリルが与えられた。
シャシーはボックスセクション。リアはリジッドアクスルだったが、入念な設計で最適化されていた。ステアリングラックは、正確な操舵を叶えるラック&ピニオン式。後期型では、先進的なディスクブレーキがフロントに装備された。
今回ご登場願ったシルバーの405は、1954年式。英国映画「ドクター・イン・ザ・ハウス」などの映画プロデューサーとして活躍した、ベティ・ボックス氏が初代オーナーだった1台だ。
当時の英国価格は、3188ポンド。比較的排気量の小さい2.0Lの量産車としては、最も高価なモデルの一択だったことは間違いない。
他方、アウレリアも高価ではあったが、後期型の4ドアサルーン、B12でも約2400ポンド。初期型のB10は、殆ど英国には輸入されなかった。また、英国人にとってアウレリアといえば、クーペのB20 GTの方が一般的だろう。こちらも、魅力的なモデルだ。
ランチアは1922年のラムダから、シャシーとボディが一体となったモノコック構造を先駆けて導入。技術者のヴィットリオ・ヤーノ氏が設計したアウレリアも、もちろんそれを受け継いでいた。
4ドアサルーンの特徴といえたのが、センターピラーのない大きな開口部。リアドアはリアヒンジで開閉し、乗降性を高めている。
V6エンジンで20種類が展開されたアウレリア
やや平凡にも見える、美しいスタイリングは、カロッツェリアのピニンファリーナ社との共同。細かな改良を加えつつ、1955年まで生産は続けられた。
かつてのランチアに共通するが、アウレリア初期のB10は右ハンドルが標準。B10 Sでは、左ハンドルをオプションで指定可能だった。また、V6エンジンにトランスアクスルというパッケージングで、20車種が展開されている。
1950年から1953年に提供された、アウレリア B10とB10 Sに載ったのは、1754ccのV型6気筒。バンク角は60度で、最高出力56ps、最高速度131km/hが主張された。
排気量の大きい、1991ccのV型6気筒を搭載したアウレリア B21とB21 Sが登場したのは、1951年。最高出力71psを発揮し、高いギア比と相まって、最高速度は144km/hに届いた。
1952年には、アウレリア B22とB22 Sも登場。ツインチョーク・ウェーバーキャブレターを載せ、ハイカムを2.0Lエンジンに組み、最高出力は91psへ上昇。最高速度は159psへ引き上げられた。
4ドアサルーンの後期型、2.3LエンジンのB12が登場したのは1954年。B20 GTと同じく、ブランド・マニアからはベスト・アウレリアだとみなされている。
今回ご登場願った、ブラックのアウレリアは初期型のB10。ランチアのコレクターである、ミトカ・エンゲブレッツェン氏が所有する1台だ。
この続きは、ランチア・アウレリア B10 ブリストル405(2)にて。
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感慨深い言葉です