レッドブル、突然の雨に見舞われたオランダGPで戦略ミスせず「運とリスクマネジメントのおかげ」

　F1オランダGPは2度のにわか雨に見舞われ、特にラスト10周で訪れた雨はターン1の路面を激しく濡らし、アルファロメオの周冠宇がクラッシュしたことにより赤旗が掲示された。

　このレースで勝利し、9連勝を果たしたマックス・フェルスタッペン（レッドブル）は、ポールポジションからレースをスタート。スタート直後に訪れた雨と、それに伴うタイヤ交換でポジションを落としたもののの、早々にトップを奪還し首位を快走していた。

　そして62周目に雨が土砂降りとなってきたタイミングで、フェルスタッペンはまだインターミディエイトタイヤを使用することに完全には納得していなかったという。

　彼のレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼは、路面コンディションが急速に悪化する中、「ピットインするにはいいタイミングだ」と促していた。

　結局その後、フェルスタッペンはピットに入るのだが、安全のためピットインを指示したのはホーナーだったのだという。

「天候がどうなるのか、ちょっとわからなかったんだ。（雨が降っているのは）数ヵ所なのか、すぐに抜けてしまうのか？」

「最終的には、GP（ランビアーゼ）に向かって『彼を（ピットに）入れろ！』と叫んでいたよ」

　メルセデスやマクラーレン、ウイリアムズなどが戦略を間違えた中でレッドブルが戦略を成功させることができたのは、運とリスクマネジメントのおかげだとホーナーは言う。

「そのふたつの組み合わせだと思う。うまくいかないかもしれないことはたくさんあったんだ」

「レース序盤、マシンが競争から脱落したり、その逆に競争に加わったりした決断を目の当たりにした。でも今回、我々は8回のピットストップを行ない、チェコ（セルジオ・ペレス）が5秒前に知らせてくれたピットストップを除いて、チームはすべてのピットストップを成功させた。だから、信じられないようなチーム・パフォーマンスだった」

　レースのスタート直後に雨が降った際、7番手スタートだったペレスは即座にピットインを選択し、結果的にペレスがレースリーダーに浮上した。

　ホーナーはフェルスタッペンのピットインが遅れたことについて、次のように語った。

「最初のマシンはトップを走っていたので、ギリギリのところでその判断を下すのはとても難しい」

「セルジオがピットインを決断し、それが功を奏した。彼は上位でインターミディエイトタイヤを履いた最初の1台だった。マックスは次のラップの終わりに入った」

「雨が残るのか、降るのか降らないのかが議論されていたが、彼がトラフィックの間を走り抜ける姿はとてもセンセーショナルだった」

　フェルスタッペンは9周、ペレスは11周走ってインターミディエイトタイヤをソフトタイヤに交換した。このピットストップの際にフェルスタッペンがペレスをアンダーカットする形となり、首位を取り戻した。

　ホーナーはこの決断について、フェルスタッペンはフェルナンド・アロンソ（アストンマーチン）などからのアンダーカットを受けやすかったからだと説明した。

「チェコは後続車とのギャップを引き離す目標を持っていたが、マックスのペースは速く3周で7秒を奪うほどだった時もあった。彼は非常に速く接近していたんだ」

「そして（スリックタイヤへと履き替える）クロスオーバーポイントに到達した。彼の後ろにいたアロンソなどがピットに入り、その引き金を引いたんだ」

「（アレクサンダー）アルボンの走りから、サーキットが活気づいたのが分かった。もしチェコを先にピットインさせていたら、マックスは2台ほどにアンダーカットされていただろう」

「だからマックスを先にピットインさせた。チェコをアンダーカットすることになるというリスクはあったが、チームとしてトップと2番手を獲得することができたんだ」