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マン島TTで悲願の表彰台を目指す韋駄天X改。バッテリー容量増加が重量配分に影響

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マン島TTで悲願の表彰台を目指す韋駄天X改。バッテリー容量増加が重量配分に影響

 韋駄天Xの改良型である『韋駄天X改(いだてんエックスかい)』で2019年のマン島TTに挑むTEAM MIRAI(チームミライ)。チームを率いる岸本ヨシヒロ監督にマシンのこだわりポイント改良点を聞いた。

 世界最古の二輪レースであるマン島TTの電動バイククラス『TT Zeroクラス』にオリジナル電動バイク、韋駄天シリーズで挑戦しているチームミライ。使用するマシンは、インバーターとモーターが水冷と空冷のハイブリッドとなっているのが特徴だ。

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 2018年、チームミライは韋駄天シリーズの3代目となる韋駄天Xで5年ぶりに参戦するも、決勝レースはバッテリートラブルが相次ぎ、リタイアという悔しい結果に終わっている。2019年は、韋駄天シリーズの4代目となる韋駄天X改で参戦し、悲願の表彰台獲得を目指す。

 2019年型となる韋駄天X改は、主に端子レイアウトの変更やバッテリー容量の増加、タンク形状とマシンの組み方などが変更されている。

 バッテリー容量の増加に伴い、韋駄天X改はマシン重量も増加。昨年型の約130kgよりも10kg重くなっているという。この重量増加により、マシンバランスを大きく見直さなければならなかったと岸本は語る。

「バッテリー増加に伴い、(マシンの)上の重量が重くなりました。テスト走行で一番困ったのが、上が重くなったことで重量配分が変わってしまったことです」

「上に重量物があるとハンドリングが重くなってしまったりという問題があったので、そこをどう解決るするのかというところが難しかったです」

「最終的には出力特性の変化で問題に対応しました。アクセルを開けたときにうまくバイクが立ちあがり、重さを感じないような味付けにできました」

「ショートサーキットでは去年と比べてもタイムは上がっているので、乗りやすくはなっています」

 韋駄天X改は、インバーターとモーターを冷やす際、水と空気の両方を利用している。そのため、右サイドには空気を取入れるためのダクトが備えられている。ダクトから空気を取入れてモーターのコイルにあてることで冷却性能を高めているとのことだ。

「ダクトから新しい空気を入れてコイルを冷やすプラスアルファを行っています。コイルがすごく暖まるので、それを冷やす形です。水冷の面ではウォータージャケットをコイル周りに巻いて冷やしています。油冷だと直接冷やせますが、水冷だと(コイルに)直接つけたりは出来ないので、アルミをかませています」

 カウルはカーボン製となっており、形状は昨年とほぼ同じとなっているが、この形に至るまでは大きな苦労があったようだ。
「カウルは作る側と設計者側で毎年論争があります。どこまでカウルの薄さを追求するか。設計者はすごく薄くしたいのですが、作る側は200km/h以上で走るために硬くしたい」

「どこまでカウルを薄くするんだという論争を殴り合いになりそうなほどしていましたね。僕はハラハラしながらどちらも納得がいく形でやってもらうようにしていました(笑)。そういったことを積み重ねて今の形があります」

 フレーム、スイングアームはホンダNSF250Rをベースにしつつも、電動バイクに合わせるために再設計が行われている。また市販レーサーをベースとすることでコストをカットし、ベンチャーチームがレースに出るためのバイク作りを行っていると岸本は話す。

「バイクのフレームやスイングアームはホンダのNSF250Rを使っています。ただ、NSF250Rのフレームをそのまま使っているわけじゃなく、再設計をしています。フレームの一部を切断して継ぎ足し、溶接をしているので、ホールベースが伸びています」

「スイングアームも溶接したりと加工していますし、シャフトも作り直したりしています。足を置くステップも設計して作り直しているんです。実はステップを内側に埋め込んで空力を邪魔しないようにするという工夫をしているんですよ」

「サスペンションはナイトロンを使って韋駄天用に調整しています。ちなみにリヤサスペンションのリンクロッドも再設計して作っています。NSF250Rベースだとホイールベースがあわなくなるので。あらゆるところに手が入っていますね」

「NSF250Rをベースとしている理由は、コストをかけずにフレームを作るということです。製作費はまともにいくと一軒家が買えるほどのお金がかかっています。フレームだけを作ると1000万くらいかかる場合がありますが、市販されているものをベースにすれば数10万円で済みます。コストを抑えプライベーターチームがレースに出るためのバイク作りをしています」

 様々なこだわりと思いを持って作られている韋駄天X改。最後に、岸本は電動バイクへの思いを語る。

「コンポーネントがモーターとバッテリーだから単純とよく言われますが、オートバイを作るのは非常に難しくて、ノウハウが必要だったり、モーターひとつでも様々なメーカーが分業することによってなりたっています。様々な方のサポートいただいて1台のバイクを作り上げている。それに携わることでみなさんに楽しんでもらったりしています」

「僕らが電動バイクをやり始めた9年前は、電動バイクなんて見向きもされませんでした。音が小さい、オイルの匂いがしない、静かすぎておもしろくなさそうとよく言われていました。僕が最初に電動バイクを乗った時は衝撃を受けたんですよ。こんな面白い乗り物はないと」

「ただ、洗練されていない部分も多いので、そこを伸ばしたらもっと面白い乗り物になると感じましたし、これが広がれば面白いと思います」

 マン島TTにプライベーターとして挑戦するチームミライ。韋駄天X改で悲願の表彰台獲得を果たせるのか。TT Zeroクラスは6月5日の現地時間12時45分にスタートする。

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