2025年シーズンはARTグランプリからFIA F2に参戦する宮田莉朋。欧州でのレース挑戦を始めて、今年で2年目を迎える。
デイトナ24時間、F2、ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)、WEC(世界耐久選手権)……2024年は実に様々なカテゴリーで経験を積んだ宮田。シーズンオフの多忙な合間を縫って東京オートサロンに訪れていた彼に話を聞いた。
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「もちろん結果は残したかったですが、そう簡単にはいかないものなので。でもやり切ったシーズンかなと思います」
2024年シーズンを振り返り、そう語った宮田。前年に日本のスーパーフォーミュラとスーパーGTで最年少での“2冠”を達成し、初めてヨーロッパのレースに本格参戦した1年だったが、ELMSではランキング3位と善戦した一方で、F2ではランキング19位と苦しんだ。
F2の苦戦について宮田は「時間が足りなかった」と表現する。宮田のF2でのライバルたちは皆、欧州のF4やフォーミュラ・リージョナル、FIA F3でサーキットやピレリタイヤの経験を積んだ状態。その中に放り込まれた宮田は、わずか40分ほどしかないフリー走行で初体験のコースを習熟し、予選になって初めて履くオプションタイヤ(ソフト側のタイヤ)でのアタックでライバルと勝負しなければならなかった。
「リザルトを見ていただいても分かる通り、F2以外のカテゴリーで普通に(十分な時間の)練習走行があるレースでは勝てていますし、F2でも事前テストがあったサーキットではトップ10に入れました。ただF2に関しては、ほとんどが初めてのサーキットでした」
「限られた時間で、なおかつ(フリー走行と予選で)違うコンパウンドのタイヤで走る……というF2だけが本当に難しいです。他のドライバーはそういったことを逆算してF4の頃から(欧州で)やっていますし、F2のドライバーの中にはレースウィーク以外にプライベートテストをしている選手もいます。自分としてはやり切りましたが、時間も全然足りないですし、そこは仕方ないと割り切って取り組んでいました」
かつてないほどの苦しいシーズンに、トヨタの密着映像では「泣く日も増えた」と話していた宮田。具体的にどういった環境、どういった心境でシーズンを送っていたのかについて、彼は詳細を語ろうとはしなかったが、「F2のようなF1を目指すカテゴリーは、日本のレースとは全く違います」と説明した。
「逆にいうと、自分もまだまだ頑張らないといけないと肌で感じることができました。もちろん、時間が足りなかったりと、自分にできることが限られている部分もありますが、TGR(TOYOTA GAZOO Racing)の皆さんと一緒に解決しないといけないものが見えてくれば、明るい未来も見えてくるとずっと感じています」
「ただそれができないことに歯がゆさを感じることもありますし、自分が日本にいた頃に考えていたSFとF2の比較、そして今自分が実際に(F2で)やっていることを考えると、皆さんにもぜひ現地で見てほしいと思いました」
「F1を目指すあの世界はそれくらい違うと感じました。だからこそ、逆に僕がまた日本でレースをできる機会があれば、良い意味で自信を持ってレースができそうだなと思っています。ただ今僕はF1を目指して頑張っているので、その中でやらないといけないことはたくさんあると思います」
この一年でTGRはハースと提携したりと、F1との距離をグッと縮めてきた。TGRドライバーである宮田にとっても、夢のF1への道がさらに開けたように見える。今季のF2はローディンからARTにチームを移るが、ARTはこれまで多くのF1ドライバーを輩出してきたジュニアフォーミュラチームの名門中の名門。宮田も「ARTは(F2の前身)GP2時代からトップのチームなので、クルマの作り方やドライバーの育て方も分かっています。僕はすごくやりやすく感じています」とポジティブな所感を述べた。
宮田はF2が「今までに感じたことのない難しさ」のあるカテゴリーだとしつつも、そこで結果を残せばF1のチャンスは巡ってくるはずだと語った。
「僕はF2で戦わせていただいていますが、F2で成績を残せればチャンスが広がると思っています」
「(フランコ)コラピントや(オリバー)ベアマンなど、F2で優勝争いをしている選手がF1で成績を出していますし、今年はF2からたくさんのドライバーがF1に参戦します。そういう意味では僕もF2でちゃんと戦えればチャンスがあると思っていますし、そのチャンスをTGRの皆さんと掴みたいです」
「実際(F2は)本当に難しい壁というか、今までに感じたことのないくらいの難しさですが、2年目という部分で経験もありますし、所属チームのARTもすごくプロフェッショナルだと感じているので、彼らを信頼して一生懸命取り組みたいです」
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