唯一伸び悩んだ中国市場
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】新たな紋章とビジョンを掲げるプジョー【各モデルを写真で見る】 全218枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
2020年1月まで姉妹ブランドであるシトロエンを率いていたリンダ・ジャクソンが、プジョーの新CEOに就任し、成功に向けて大きく動き出した。
ジャクソンは英AUTOCAR編集部の独占取材に応じ、プジョーがハイエンドでありながら親しみやすいブランドになるにはどうすればよいか、中国での業績を改善しなければならない理由、そして将来の製品に期待することを明らかにした。
――プジョーでの最初の2か月はいかがでしたか?
「わたしがプジョーを引き継ぐことになったのは、市場シェアが拡大し、イメージと認知度が高まり、ラインナップも充実しているという、プジョーがすでに好調なタイミングでした。しかし、やるべきことは常にあります。わたしが本当にやりたいのは、欧州での勢いを維持しながら、国際的にもさらに成長させることです」
「2020年には、6つの地域のうち5つの地域で成長しましたが、唯一成長しなかったのは中国でした。しかし、わたし達にはまだ国際的に大きなチャンスがあります。例えば、人気の高いSUVだけでなく、南米や中東、アフリカ向けのピックアップトラックのランドトレックのように、海外市場向けに特別に開発されたモデルもあります」
「中国については、言い訳できません。中国では、まだ必要なレベルに達していないので、モデルを再構築しています。例えば、508L(セダン)や4008(SUV)など、中国市場のために特別に用意したモデルを発売する予定です」
――プジョーがステラインティス傘下の他のブランドと違ってやるべきことは何でしょうか?
「現在行っていることと何か違うことをする必要はありません。ポジショニングだけでなく、車種も含めて、アプローチの面ではすでに非常に明確な違いがあります。例えば、プジョー3008とシトロエンC5エアクロスを例にとると、同じプラットフォームを使っていますすが、アプローチはまったく異なります」
「ポジショニングは異なりますが、うまくいっています。オペルのお客様とプジョーのお客様を比較しても、同じものを求めているわけではありません。プジョーを購入する人は、シトロエンやオペルとは異なるデザインが好きで、車内には有名なiコクピットもあります」
ハイエンドのジェネラリストを目指す
――BMWやアウディなどの高級車ブランドと並んで、プジョーを検討してもらいたいと思いますか?
「わたしは、プジョーに『ハイエンドのジェネラリスト』であってほしいと思っています。なぜなら、それは多くの人々にとって手の届くものだからです。もちろん、わたし達は価値を創造し、以前よりも高級化していますが、そこに至るまでに10年の歳月を費やしており、その恩恵はわたし達だけでなくお客様にも及んでいます」
「上位モデルの構成比を見ると、少なくとも3分の1はありますから、お客様はおおむねそちらを選んでいます。しかし、208は道行く一般の人にも手が届くモデルであり、これはプジョーにとって非常に重要なことなのです」
――プジョーの新しいロゴは、ブランドの伝統に基づいています。レトロなクルマを作りたくなることはありますか?
「シトロエンにいたときも皆に聞かれましたが、答えはプジョーでもまったく同じです。素晴らしい経験をしたものを再現しようとすることには、いつも少し注意を払っています。わたし達の歴史は重要であり、過去に起こったことは未来へのインスピレーションとなります。そのため、過去からある種のインスピレーションを得ることはできますが、過去に戻ってレトロモデルを作ることで、自身の才能を示せるわけではありません。それは革新性を示すものではないと思います」
「プジョーは非常に独創的で革新的な企業ですから、今後は非常にモダンなコンセプトを示していきたいと思っています」
環境に配慮したソリューション
――PSE(プジョー・スポーツ・エンジニアード)から何を得たいですか?
「もちろん販売のチャンスもありますが、重要な役割があります。1つは、わたし達が行っているスポーツ・プログラムからの橋渡しであり、もう1つは、プジョー・スポーツが未来のテクノロジーのために多くの実験を行っているということです」
「そして3つ目に、パフォーマンスを維持しながら環境を守ることができるということを示します。クルマを運転するのは楽しいものでなければならない、という強いメッセージが込められています。わたしはクルマを運転するのが好きです。508 PSEをル・マンで走らせたことがありますが、とても楽しかったですよ」
――新しい108は作らないのですか?
プジョーとシトロエンは欧州のAセグメントから撤退する。108はトヨタ・アイゴ、シトロエンC1とプラットフォームを共有する小型車だ。
「今、わたし達は内省モードに入っています。単に108というモデルだけではなく、小型車やモビリティについてどうするかを検討しているのです。多くの都心部ではICE車が禁止されるので、ICEではないソリューションを見つけなければなりませんが、それはあのサイズなのか?もっと小さいのか?まだわかりません」
「いろいろな会社と連携していますが、本当に時間をかけるべきことは何なのかを考えなければならないと思います。セグメントは、昔のAセグメントのような単純なものではなく、『都市環境のための次のソリューションは何か』を考えなければいけません。そして、その答えはまだ出ていません」
新型308の高性能モデルは出ない?
プジョーは、新型308にマイルド・ハイブリッドとEV仕様を導入する予定だが、製品責任者のジェローム・ミシェロンによると、最上位のホットなPSEモデルを発表する可能性は低いとのことだ。
彼は「市場は急速に進化しており、お客様に多くの選択肢を提供したいと思っていますが、わたし達は正しい答えを求めているのです」とAUTOCARに語っている。「新型308にはガソリンとディーゼルを搭載しますが、マイルド・ハイブリッドを投入することも決定しており、EVについても計画しています」
「既存のEMP2(e-308用プラットフォーム)に頼ることになるでしょうが、ステラティスでは、電動化を実現するための手法がいくつか用意されています」
e-308は、小型のe-208が採用している136psのセットアップを採用すると思われる。50kWhのバッテリーを搭載して240km以上の航続距離を実現し、最大100kWの充電が可能だ。
ミシェロンは、SUV向けに設計されたeVMPプラットフォームを用いて、より高性能なEVを2023年に発売することを示唆している。
しかし、308の300ps以上のPHEV仕様が、ホットな508と並んでPSEラインに加わる可能性は、予測される需要の低さと排出ガス規制のために、現在では考えられないという。
ミシェロンは次のように述べている。
「まだ検討中ですが、市場は大幅に縮小しています。PSEモデルについてはいくつかの選択肢を検討していますが、現在、非常にパワフルなエンジンを搭載するほどのボリュームは見込めませんし、CO2規制や制限を考えると、それがパフォーマンスカーの基盤として適切かどうかはわかりません」
「また、ハイブリッド車の課題や車両重量の問題もありますので、308 PSEを市場に投入することについて、現在はそれほど自信がありません」
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