■海外で人気絶好調の最新ピックアップトラック
日本で本格的な自動車製造が始まった昭和初期の頃から、物流を支えていた存在がトラックです。1950年代から1960年代の高度成長期には、軽トラックや小型ピックアップトラックが個人商店や中小企業の頼れる道具として活躍しました。
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1980年代から1990年代初頭にかけては、4WDのピックアップトラックがレジャー用途で人気となり、各メーカーがピックアップトラックを販売して、全盛期を迎えます。
しかし、その後は人気の低迷からピックアップトラックの販売から撤退するメーカーが相次ぎ、現在、国内で販売されているのはトヨタ「ハイラックス」のみとなってしまいました。
一方、海外ではピックアップトラックの人気は根強く、働くクルマとしてだけでなく乗用にも使われるなど、豊富なラインナップを展開。
そこで、日本では販売していない海外向けの最新ピックアップトラックを、5車種紹介します。
●ホンダ「リッジライン」
ホンダは1965年に、高性能なDOHCエンジンを搭載したピックアップトラックの「P700」を発売しました。しかし、販売は極端に低迷し、その後は軽トラックをメインに販売するようになり、ピックアップトラックの生産から撤退します。
国内の需要はありませんでしたが、ピックアップトラックが定番人気車種となっている北米でのニーズに応えるため、2005年に初代「リッジライン」を発売。開発から生産まですべてアメリカでおこなわれた、北米専用のピックアップトラックです。
現行モデルは2016年に発売された2代目で、シャシはトラックで一般的なラダーフレームではなく、乗用車と同様のモノコックシャシを採用。キャビンは4ドアのダブルキャブのみとし、外観はスマートな印象のスタイリッシュなフォルムを実現しています。
全長5334mm×全幅1996mm×全高1798mmのボディサイズは、日本の道路事情ではかなりの大柄ですが、北米ではミドルサイズに位置するセグメントです。
また、荷台の後部床下には施錠できる収納スペースの「インベッドトランク」を備えるなど、ホンダ独自の装備を採用することで、他車との差別化を図っています。
エンジンは全グレードとも280HP(米規格)の3.5リッターV型6気筒を搭載し、トランスミッションは9速ATが組み合わされ、駆動方式は2WDと4WDを設定して不整地での走行も考慮されています。
2021年2月に発売される2021年モデルでは、外観デザインの変更と、よりワイルドなルックスを演出する「HPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベルティメント)パッケージ」が設定されると発表されました。
アメリカでの価格は3万6490ドル(日本円で約380万円)からです。
●マツダ「BT-50」
マツダも以前は日本でピックアップトラックの「プロシード」シリーズを販売していましたが、1999年には国内向けの生産を終えてしまいました。
その後、自社生産のピックアップトラックはなくなりましたが、かつて傘下に入っていたフォードからOEM供給を受け、北米やオーストラリア、アジア圏、中南米などで、マツダブランドからピックアップトラックの販売を続けていました。
現行モデルは「BT-50」で、これもフォード製のOEM車でしたが、2020年6月に9年ぶりに全面改良された新型BT-50を発表。2020年後半からオーストラリアでの販売を開始しています。
新型BT-50はいすゞ「D-MAX」のOEM車となり、外観ではマツダのデザインテーマである「魂動デザイン」を反映したフロントフェイスを採用。
ボディサイズは全長5280mm×全幅1870mm×全高1790mm(ダブルキャブ)と、小型ピックアップトラックでは標準的なサイズで、ダブルキャブ以外にもシングルキャブと、ややキャビンが大きい「フリースタイルキャブ」を設定しています。
搭載されるエンジンは3リッター直列4気筒ディーゼルのみで最高出力190馬力を発揮。トランスミッションは6速MTと6速ATを用意し、駆動方式は2WDと4WDが選択できます。
オーストラリアでのBT-50の価格は2万9060豪ドル(日本円で約230万円)からです。
●三菱「トライトン」
三菱は1960年代から商用のピックアップトラックを販売しており、1991年には本格的なクロスカントリー4WDモデルの「ストラーダ」を発売。RVブームという背景からヒットしましたが、ブームの終焉により1997年に販売を終了しています。
その後も海外で継続してピックアップトラックの販売が続けられ、2006年にはタイで生産する「トライトン/L200」が日本で販売されていましたが、2011年に再び日本市場から撤退してしまいました。
現行モデルは2014年にフルモデルチェンジして登場し、2018年のマイナーチェンジではフロントマスクのデザインが大幅に変更。三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」が採用されました。
シャシはラダーフレームで、その上にダブルキャブ、シングルキャブ、キングキャブいずれかのボディを架装する手法で製造され、頑丈かつ信頼性が重視されています。
タイ仕様では2.4リッターと2.5リッターの直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載し、スポーティなセッティングの2.4リッターエンジンは181馬力を発揮。トランスミッションは5速MTと6速MT、6速ATが組み合わされ駆動方式は2WDに加え、パートタイム式とフルタイム式の特徴を兼ね備えた「スーパーセレクト4WD」が設定され、悪路走破性も高くなっています。
タイでの価格は64万7000バーツ(日本円で約224万円)からと比較的安価で、ボディサイズは全長5300mm×全幅1815mm×全高1795mm(ダブルキャブ)と、現行モデルのハイラックスよりも小型とあって、日本でのトライトン復活を望む声もあるようです。
■トラック大国アメリカで高い人気を誇る2モデルとは
●トヨタ「タコマ」
トヨタはハイラックスシリーズが商用、レジャー用として日本でも人気でしたが、一旦は撤退し、2017年にタイ製モデルによって日本市場に復活を果たしました。
一方、これまで北米でもハイラックスを販売してきましたが、後に独自のラインナップを展開し、現行モデルのトヨタ製ピックアップトラックは、フルサイズの「タンドラ」と、ミドルサイズの「タコマ」が販売されています。
とくにタコマは「RAV4」をイメージさせるスポーティな外観が特徴で、グレードはベーシックな「SR」から装備が充実してスポーティな「TRDプロ」まで6タイプを展開。
ボディバリエーションは4人乗り2ドアのキングキャブと5人乗り4ドアのダブルキャブが設定され、サイズは全長5392mm×全幅1910mm×全高1793mm(ダブルキャブ、TRDスポーツ)と、ハイラックスよりもやや大きいサイズ感です。
エンジンは全グレードとも278HP(米規格)を発揮する3.5リッターV型6気筒を搭載。トランスミッションは6速ATのみで、駆動方式は2WDと4WDが用意されています。
価格は2万6150ドル(日本円で約272万)からと廉価グレードでも比較的高額な印象ですが、アメリカではピックアップトラックの税金や保険料が優遇されるため、若い世代からも人気があります。
●日産「タイタン」
日産のピックアップトラックというと、かつて日本でも高い人気を誇り、長い歴史のあるモデルの「ダットサントラック」と、1994年まで販売していた「サニートラック」が挙げられますが、2012年に完全に撤退してしまいました。
アメリカではダットサントラックを現地生産するほど需要があり、後に北米向けに「フロンティア」が登場。現在はミドルクラスのフロンティアと、フルサイズの「タイタン」というラインナップです。
初代タイタンは2003年に発売され、現行モデルは2015年にデビューしました。
ボディはキングキャブとダブルキャブの2タイプで、ダブルキャブのサイズは全長5793mm×全幅2050mm×全高1960mmと、フルサイズにふさわしい堂々たる体躯を誇ります。
また、エンジンも400HP(米規格)を発揮する5.6リッターV型8気筒を搭載し、最大積載量は1.1トンほど、最大けん引重量はおよそ5トンと、トラックとしての性能は一級です。
巨大なボディと同様に、とにかく押し出し感を強調したフロントフェイスは迫力満点で、威圧感は日本のミニバンの比ではありません。
価格は3万6550ドル(日本で約380万円)からで、トップグレードでは6万2310ドル(日本円で約648万円)と、もはや高級車の領域です。
※ ※ ※
1990年代初頭のRVブームでは、日本でもピックアップトラックを普段使いするユーザーが多く存在しました。
ピックアップトラックを所有するうえで注意したいのが、毎年車検(新車時は2年後)であることや、重量税や自動車税は安いですが1ナンバーならば高速料金が乗用車より高くなること、自賠責保険が高いなど、維持費についてはメリット、デメリットがある点です。
また、一番のネックになるのがサイズで、ハイラックスの場合で全長5340mm×全幅1855mm×全高1800mmと、同社の大型ミニバンである「アルファード」よりも大きく、最小回転半径もアルファードの5.6m(ハイブリッド)に対してハイラックスは6.4mあり、駐車場や狭い道ではかなり気を使いそうです。
世界的にもこのクラスがスタンダードになっていることから、日本の道路事情にマッチしたピックアップトラックの登場は、難しいというのが現状です。
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みんなのコメント
その理由を書くのがあなたの仕事でしょ。
これではただのオタク記事。