トヨタ・ガズー・レーシング(TGR)WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀、ならびに3期生の後藤正太郎と松下拓未が、10月3~5日に開催されたERCヨーロッパ・ラリー選手権第8戦『クロアチア・ラリー』に出場した。
この難易度の高いターマックイベントで、山本は総合11位フィニッシュ。松下はERC3クラス9位で完走したが、同クラスにエントリーした後藤は最終日にリタイアを喫している。
トヨタ育成の4名がWRCフィンランドに出場。2期生山本、WRC2初のステージ優勝に加え自己最高5位完走
■ラリージャパンに向けた準備を整える
今季2025年のERC最終戦として開催されたクロアチア・ラリーは、2021年から2024年までWRC世界ラリー選手権の一戦として開催されており、2026年にはWRCのカレンダーへ復帰が決定しているターマック(舗装路)イベントだ。
同ラリーは、コーナーのイン側をショートカットする“インカット”が可能な箇所が多い。そのため砂利や泥が路面に広がりやすく、グリップレベルの変化が絶えない。さらに雨によるグリップ低下も起こることから、ドライバーには路面の変化を読む能力と迅速な対応力が求められることとなる。
2期生の山本は、初出場となった2024年大会に続いて今回が2度目の参戦。今季のプログラムはシーズン途中でグラベル(未舗装路)イベントが続いたため、山本にとっては今年4月以来のターマックラリーとなった。個人的な理由から直近の2戦を欠場していたジェームズ・フルトンとのペアも復活し、今年最後のWRC2参戦となる『ラリージャパン』に向けた準備という要素も含んだ大会参加だ。
そんな山本は土曜日に総合9番手まで順位を上げたものの、この日最後のSS6でタイヤにダメージを負い、交換作業のため2分のタイムロス。これにより総合14番手まで順位を下げることに。しかし日曜日はふたたび速いペースで走行を重ね、降雨による難コンディションを乗り越えて総合11位でラリーを走り切った。
一方、3期生の後藤と松下にとってトリッキーなコンディションのターマックラリーは初めての経験となり、多くの課題と向き合うイベントとなった。
松下はSS1でクラス3番手タイムを叩き出す走り出しを見せるが、続くSS2で痛恨のコースアウト。サスペンションにダメージを負ってデイリタイアとなってしまう。日曜日に再出走を果たした松下/ペッカ・ケランダー組はクラス4番手タイムを2回記録し、ERC3クラス9位での完走となった。
後藤はSS6ではクラスベストタイムを記録するなど、土曜日に好走を見せクラス3番手につけた。だが、日曜のオープニングステージとなったSS7でコーナーを深くインカットした際にサスペンションを破損し、リタイアを余儀なくされてしまった。
3人のラリーを、インストラクターのユホ・ハンニネンは次のように振り返っている。
「山本にとって今回のラリーの主な目的は、WRCでは久々の出場となるターマックイベント、ラリージャパンに向けて準備を行うことだったので、このラリーのためにタイヤ選択を最適化するのではなく、日本で履くことができるタイヤを使うことに重点を置いたんだ」
「彼にとって難しい予選セッションとなり、スタート順位は最適ではなかった。しかし、土曜日の午後には明らかに良い走りを見せていた。日曜日の難しいコンディションにもうまく対応し、良い走りを続けていた」
「後藤と松下にとってはこれまで経験してきたなかでもっとも難しいコンディションのターマックとなり、目から鱗が落ちるような経験だったと思う。両者とも今シーズンは非常に良い進歩とペースを見せてきたが、今回のようなラリーは将来に向けて、彼らと取り組むべき点をより一層明らかにする助けとなるだろう」
ここまで成長を見せてきたWRCチャレンジプログラムも、2025年シーズンは11月6日~9日にかけて行われるWRC第13戦ラリージャパンが最後の戦いとなる。2期生の山本が、2024年に引き続きGRヤリス・ラリー2でホームイベントに挑む。
■ドライバーコメント全文
山本雄紀(トヨタGRヤリス・ラリー2/総合11位)
「ラリー・イスラス・カナリアス以来となる、久々のターマックラリーで、しかもまったく異なる路面とコンディションで走ることができて良かったです。感覚をすぐに取り戻すことは簡単ではありませんでしたが、着実かつクレバーなアプローチで戦うことができたと思います」
「昨年のラリー・クロアチアと比べると、スタート時のペースは悪くなく、土曜日を通して常に向上していました。そして、SS6でもパンクをするまでスプリットタイムは良好でした。日曜日のようなコンディションは初めてで容易ではありませんでしたが、とくにタイヤに関して貴重な知見を得ることができました」
「危ない場面も何度かありましたが、完走し全走行距離を消化できたのは良かったです。ラリージャパンに向けて良い準備ができたので、日本で良いパフォーマンスを発揮できることを期待しています」
後藤正太郎(ルノー・クリオ・ラリー3/リタイア)
「このラリーはまったくの初体験だったので、可能な限り多くの経験を積むことが目標でした。初日の土曜日は計画どおり順調に進みました」
「序盤は安定したペースではあるものの、トップとの差は大きかったですが、終盤にかけてペースを上げることができました。そして、他の多くの選手が問題に見舞われるなか、自分はトラブルと無縁でした」
「それは非常に良かったのですが、日曜日は雨の影響で完全に別のラリーになりましたた。前日と同じプランで走ろうと試みたのですが、あるコーナーでインをカットし過ぎて側溝から抜け出すことができなくなり、クルマにダメージを負ってしまいました。少し不運でしたがこれも学びの一部です」
「全体的に、今年は本当に楽しい一年でした。何度かミスをしましたが良いときもあり、初年度よりもさらに多くのことを学ぶことができました」
松下拓未(ルノー・クリオ・ラリー3/ERC3クラス9位)
「これまで経験したことがないようなコンディションでの、新たな体験でした」
「初日はSS1で良いスタートを切りましたが、残念ながらSS2でリタイアとなってしまいました。そのコーナーはペースノートに記していなかった大量のグラベルに覆われていて、グラベルが出ていた他の場所よりも砂が多く滑りやすかったので、速度を落とすためにもう少し調整すべきでした」
「2日目は本当に過酷でトリッキーなコンディションでしたが、それでも楽しむことができました。多くのことを学び、経験を得られたので満足しています」
「総合的に見て、今年は満足のいく年だったと思います。四輪駆動車での初挑戦だったにもかかわらず、いくつかのラリーではクラス上位の選手たちと互角に戦うことができたので、非常に良い一年でしたし、多くの学びを得ることができました」
[オートスポーツweb 2025年10月08日]
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