現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アストンマーティン ヴァンテージの7速MTでニュルを走る

ここから本文です

アストンマーティン ヴァンテージの7速MTでニュルを走る

掲載 更新
アストンマーティン ヴァンテージの7速MTでニュルを走る

「とっても希有なモデルがデビューしました。アストンマーチン ・ヴァンテージ のマニュアルモデルです。乗りに行きませんか?」
ある日のこと、突然のそんなメールに一瞬躊躇してしまった。アストンマーチンのニューモデルに触れる機会を逃すほど僕はマヌケではない。それでも渡独に二の足を踏んだのは、マシンの像がにわかに浮かんでこなかったからである。

ヴァンテージのマニュアルMT

トヨタ GAZOOレーシングが「GRスープラGT4」を2020年から販売開始

「マニュアルモデル?」
「そう、3ペダルのマニュアルです」
思考が廻らなかった理由は、マニュアルの意味が理解できなかったことだ。
機構だけがマニュアルの2ペタルはすでに普及している。アストンマーチンにもすでに、2ペダルマニュアルを所有している。だというのに、いまさらなぜ3ペダルのマニュアルを投入する意味があるのだろうか。効率で言えば、2ペダルに軍配が上がる。そんな疑問を抱えながらの試乗になったわけだ。

ニュルブルクリンクに隣接するアストンマーチンテストセンターでキーを受け取り、ほぼ1日のドライブを始めるにあたって、まず驚かされたのは、理想的な重量配分を成立させるためのトランスアクスル方式に搭載されるマニュアルギアボックは、7速に分割されていたことだ。1速→3速→5速→7速の奇数ギアは手後列に並びに、前列のゲートはR→2速→4速→6速へと導かれる。

もっとも左手前の1速から、もっとも右の7速までも、手首を捻る程度のストロークでこと足りる。ということはつまり、それぞれのゲートが密接していることを意味する。
そのために、素早い変速が可能だ。
クラッチペダルを蹴るタイミングを急がねばならないほどクイックでかつ軽快なワインディングドライブになった。手首をコキコキしながらのドライブはやはり楽しいのである。
フットワークは軽い。
脳天を刺激するような粗い乗り味はではなく、しっとりと路面を舐めるようなフラットライドが特徴だ。手首を捻りながらのコーナー攻略は楽しい。




ただし、ゲートが密接しているために、たびたびシフトミスをおかしている。
1速で発進しようとしても、3速スタートに陥ることも一度や二度ではなかった。
4速を狙ったつもりが6速だったという場面も少なくない。
それでも、実にフレキシブルなエンジン特性に助けられている。

搭載されるエンジンは4.0L・V型8気筒ツインターボである。最高出力510ps、最大トルク63.7kg-mに達する。極低回転域からモリモリとトルクを引き出していながら、7000rpmオーバーの高回転域まで弾ける。全域パワーバンドなのだ。
たびたび3速発進しておきながら、そのままアクセルペダルを床まで踏みつづけていると、300km/hまで軽々と到達してしまった。アウトバーンのトラックさえいなかったら、カタログに記されている314km/hもクリアしていただろう。




そう、そこで改めに頭をもたげてきた疑問はこれだ。
アイドリング3速発進から314km/hまでこなす柔軟なエンジン特性でありながら、なぜ7速マニュアルギアが必要だったのか、である。
いや、不粋な詮索はやめることにする。
ヴァンテージMTは、かつての猛獣が吼えるような獰猛なそぶりはなく、丁寧に調教されている。そんなヴァンテージに鞭を打って、ワインディングを駆け回る時の快感がこのクルマの存在意義なのだ。
アウトバーンからワインディングを巡るドライブを終えると、背中がしっとりと、心地よい汗で湿っていた。久しぶりのことである。<文:木下隆之/Takayuki Kinoshita>

アストンマーティン ヴァンテージ 関連記事
アストンマーティン 関連記事
アストンマーティン 公式サイト

こんな記事も読まれています

全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
くるまのニュース
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
バイクのニュース
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
レスポンス
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
カー・アンド・ドライバー
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
くるまのニュース
グーグルマップの“2台使い”が最適解!? GWの高速道路で大渋滞!「そのまま乗り続けるか次のICで降りるべきか」問題をどう乗り切る?
グーグルマップの“2台使い”が最適解!? GWの高速道路で大渋滞!「そのまま乗り続けるか次のICで降りるべきか」問題をどう乗り切る?
VAGUE
トヨタ新型「“SUV”ミニバン」発表! タフ顔&高級内装がカッコイイ! アンダー400万円の“充実装備”が嬉しい「GX O」印に登場
トヨタ新型「“SUV”ミニバン」発表! タフ顔&高級内装がカッコイイ! アンダー400万円の“充実装備”が嬉しい「GX O」印に登場
くるまのニュース
うおおおお!!  マツダ6の後継が中国で爆誕!?  新型セダン[EZ6]超絶カッコいいやん!!  丸テールに内装もハンパない【北京ショー】
うおおおお!!  マツダ6の後継が中国で爆誕!?  新型セダン[EZ6]超絶カッコいいやん!!  丸テールに内装もハンパない【北京ショー】
ベストカーWeb
FIAスライエム会長が批判にコメント「世論の法廷で有罪判決を受けたかのよう」会員からの支持も強調
FIAスライエム会長が批判にコメント「世論の法廷で有罪判決を受けたかのよう」会員からの支持も強調
AUTOSPORT web
レッドブル育成ハジャルが3日目最速。宮田莉朋は午後3番手/FIA F2バルセロナテスト最終日
レッドブル育成ハジャルが3日目最速。宮田莉朋は午後3番手/FIA F2バルセロナテスト最終日
AUTOSPORT web
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ベストカーWeb
スズキ「アヴェニス125」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「アヴェニス125」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
「Appleのパクリ」はもはや過去! 中国シャオミ初EV「SU7」受注7万台突破と新経済圏ブチ上げ、米中貿易摩擦も何のその?
「Appleのパクリ」はもはや過去! 中国シャオミ初EV「SU7」受注7万台突破と新経済圏ブチ上げ、米中貿易摩擦も何のその?
Merkmal
アウトドアテイスト満点な新設[HuNT]がイカす!!! ホンダの中核コンパクトSUV[ヴェゼル]が満を持してマイチェン!
アウトドアテイスト満点な新設[HuNT]がイカす!!! ホンダの中核コンパクトSUV[ヴェゼル]が満を持してマイチェン!
ベストカーWeb
THE NORTH FACEを体現した一台! トリプルネームで開発されたトヨタ ランドクルーザープラドがベースのキャンパー
THE NORTH FACEを体現した一台! トリプルネームで開発されたトヨタ ランドクルーザープラドがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
グーネット
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2240.02540.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

498.05800.0万円

中古車を検索
V8ヴァンテージ クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2240.02540.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

498.05800.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村