3S-GE搭載で実用性も備えたオールラウンダー!
ソフトトップは操作がラクな電動開閉式
「90年代を代表する隠れた名作」贅を尽くしたセリカコンバーチブルの魔力【ManiaxCars】
ST202Cセリカコンバーチブルの発売は、6代目200系セリカが登場した1年後の1994年9月。ベースは160系や180系のコンバーチブルと同じく北米仕様の2ドアノッチバッククーペで、オープンボディ化もアメリカASC社によるものだ。
エンジンは2.0L直4の3S-GE型。4800rpmで最大19.5kgmを誇るトルクこそ変わらないが、最高出力は5速MT車が180ps/7000rpm、4速AT車は170ps/6600rpmと、ミッションに応じてパワー特性が適正化されている。また、1997年12月のマイチェンを機にVVT-i仕様の3S-GE型を搭載。スペックは200ps/21.0kgmに向上した。
オープンエアを楽しむだけなら、同じセリカのSS-Iに搭載される3S-FE型(140ps/19.0kgm)でもコト足りただろうに、あえてスポーツユニットを載せてきたところにトヨタの心意気を感じる。
室内を見ていく。200系セリカで運転席&助手席エアバッグが標準装備となるのはコンバーチブルのみ。運転席エアバッグ装着車はステアリングホイールが4本スポークタイプとなる。センターコンソールのウッド調パネルはGT-FOURを含めてディーラーオプションとして設定されていたものだ。
メーターはスピードメーターを中心として右側に水温計と燃料計、左側に9000rpmフルスケールのタコメーターが並ぶ。
ソフトトップを開ける操作は2アクション。前端2ヵ所を固定している手動式ロックを外し、シガーライター脇に設けられた開閉スイッチを操作するだけ。ちなみに180系までは油圧でソフトトップの開閉を行なっていたが、200系では電動モーター式に変更されている。
前席は全モデル共通のスポーツタイプ。張り出したショルダー&サイドサポート、ニーサポートが身体をホールドしてくれるだけでなく、低い着座位置によってスポーティカーらしいドライビングポジションとなっている。後席は背もたれが立ち気味で、座面を大きくえぐることでクローズド時のヘッドスペースを確保。
また、ソフトトップの3分割レールが外側に拡がりながら折りたたまれるアウターフォールド機構を採用したことで省スペース化。後席の幅は180系に対して260mmも拡大されている。
オープン時にソフトトップを覆う、柔軟性に優れた樹脂製のトノカバーも用意されていた。後ろ面と側面をボディとソフトトップのすき間に押し込み、前方左右2ヵ所のホックを留めるだけ。これならだれでも簡単に装着できるはず。
ソフトトップの収納スペースによって奥行きこそ限られるが、幅も深さも実用的なトランクルーム。トランクリッドのヒンジはアウター式で、トランクルーム側への無駄なハミダシを解消している。ちなみに、コンバーチブルの後席背もたれは固定式のためトランクスルー機能はナシ。
テールランプを含めてリヤ周りはカレンと共通。というか、それが北米仕様セリカ2ドアクーペ本来の姿で、フロント周りのデザインを変えたのがカレン…というのが正解。
ソフトトップを閉めた状態でも、スタイリングにまとまりを感じられるセリカコンバーチブル。リヤウインドウは熱線入りのガラス製とされ、優れた耐候性やクリアな視界を実現している。標準装着されるホイールはSS-IIIと共通の切削光沢タイプ。リム幅7Jで205/55R15サイズのタイヤが組み合わされる。
そして試乗タイム。パワーフィールは必要にして十分。車重はクーペSS-IIやSS-IIIより120~130kg重い1350kgに達するコンバーチブルだけに、3S-FE型でなく3S-GE型を搭載して正解だったと思う。それも4速AT車だからなおさらだ。ちなみに、タイプXの5速MT車だと車重は1300kg。大人ひとり分ほど軽ければ、走りに与える影響も大きいに違いない。
気になるボディ剛性は、各部に効果的な補強が施されてることで、法定速度+αで走ってる限りとくに不満はない。もちろん、峠を本気で攻めたりサーキットを走ったりすれば印象は大きく変わるだろうが、そういう人は始めからセリカコンバーチブルなど選ばないし、走りたければロードスターやS2000あたりに落ち着くはずだ。
手軽にオープンエアを楽しめて、予想してた以上に走りも軽快。しかも、4シーターで十分な容量を持ったトランクスペースも完備。オープンカーとして非常にバランスの取れたセリカコンバーチブルは、魅力に溢れた1台だ。
■SPECIFICATIONS
車両型式:ST202C
全長×全幅×全高:4505×1750×1325mm
ホイールベース:2535mm
トレッド(F/R):1510/1490mm
車両重量:1350kg
エンジン型式:3S-GE
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
排気量:1998cc 圧縮比:10.3:1
最高出力:170ps/6600rpm
最大トルク:19.5kgm/4800rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR205/55R15
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
日産の某コンバーチブルは幌を開けた姿は良いが閉めると途端にカッコ悪くなる。
オプションさんは馬力がぁ!!とか最高速がぁ!!
のイメージだなぁ。