化石燃料とサヨナラ! 家庭用100Vで走るAZ-1の衝撃
バッテリーの進化次第では大容量モーターでのパワーアップも可能
ローエミッション化が叫ばれる昨今、チューニングにも新しい波がやってきた。それがガソリンを使用するエンジンからモーターへと換装する、コンバートEVと呼ばれる改造だ。
ここで紹介するAZ-1はその実例。EVの可能性を追求し続ける兵庫県の“コウメイ”が、かつて試験的に製作したコンバートEV仕様だ。
まずモーターは11.9kw(最大出力30kw)タイプが与えられているが、これが非常にコンパクト。軽自動車の横置きミッションよりも小さいのだ。
そしてバッテリーには軽量&小型の市販リチウムイオン式を採用。従来の鉛バッテリーに比べて、蓄電効率が圧倒的に高くコンパクト設計のため、スペース確保も容易だ。このAZ-1では、フロントの収納スペースにリチウムインバッテリーを直列配置している。
なお、リチウムイオンバッテリーを直列で繋ぐ場合、単体での電圧管理が重要な要素となる。そのため、BMS(バッテリーマネージメントシステム)という機器でそれぞれの制御を行なっている。
また、ガソリンエンジンの吸気管のような負圧の発生システムを持たないため、負圧は独立して設置された電動ポンプで発生させている。
充電は家庭用100V電源で約5時間。給油口のフタを開けるとコンセントが顔を出す。
気になる航続距離は約50kmとのこと。航続距離はバッテリー容量に依存するため少ないが、動力性能は十分。実際に撮影で運転させてもらったが、モーター駆動ならではのトルク感やゼロスタートからの加速力はかなりのものだった。
この軽快な走りには、車重も大きく関係しているのだろう。なにせ、EV化によってエンジン一式、燃料系一式、排気系一式などのパーツが撤去され、バッテリーを搭載しているにも関わらず車重は680kgを実現しているのだから。
もちろんこのAZ-1は公認車検も取得していて、国土交通省が定めた「新コンバージョンEVのガイドライン」にも準拠。極めて安全性の高いEV仕様というわけだ。
今後、バッテリーの高性能化が進めば大きなモーターを駆動させることも可能だろうし、エンジンパーツの欠品になった旧車復活など技術活用の道は広がっていくはず。コンバートEVはチューニングに新しい方向性を示してくれているのかもしれない。
●取材協力:コウメイ TEL:079-229-1487
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