100%電気自動車 ID.4
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】VW ID.4、テスラ・モデルX、日産アリア、メルセデス・ベンツ EQC【ライバル比較】 全107枚
フォルクスワーゲンは、今月発表が予定されている電動クロスオーバー「ID.4」の新たな公式スケッチを公表した。
最近ドイツのツヴィッカウ工場で生産を開始した100%電気自動車のコンパクトSUVは、ハッチバックの「ID.3」に続きMEB電動プラットフォームを採用する2番目のEVとなる。
ID.4のデザインは、ID.3をベースとしており、VWグループのデザインチーフであるクラウス・ジシオラは「クリーンで流麗でパワフルな」モデルになると語る。
滑らかな表面と、スッキリとしたエッジは「風によって形作られているかのように」見えるデザインを心がけたとのこと。
その言葉通りに、この新しいフル電動SUVは、航続距離を延ばすため、エアロダイナミクスを重点的に開発した。
リア・セクションは流れるようなスタイリングに加え、「大幅に引き込まれた」デザインに。
また、大型のルーフスポイラーを備え、リア・ライトは、車体後方の気流がきれいに分離されるように設計されている。
その結果、空気抵抗を示す効力係数は0.28を達成する。
計画通り生産開始
全世界で販売される見込みのID.4は、ドイツ、米国、中国の工場で生産予定となっており、その第1台目が、ツヴィッカウ工場で先日ラインオフした。
新型コロナウイルス感染症による混乱にもかかわらず、この新しいSUVの生産は、計画通りに開始されている。
同社のeモビリティ部門の取締役であるトーマス・ウルブリッチは「ここ数か月の大きな社会的課題を考えると、ID.4シリーズの生産を開始できたことは大きな成果です」と語る。
ツヴィッカウ工場は以前、パサートの製造拠点だったが、VWは12億ユーロ(1500億円)を投入し、約30万台分のMEBプラットフォーム生産ラインに対応できるよう改築を行った。
中国にあるVWの工場では、試作の生産が始まっており、2022年にはテネシー州チャタヌーガでの製造も開始される予定となっている。
電動SUV ボディサイズとデザイン
ID.4は、今年のニューヨーク・ショーで公開される予定だったが、パンデミックのためショーが延期され、ID.4の発表自体も延期されている。
しかし、型式承認を得るために、同社が中国の行政機関へ提出した書類と画像によって、一足先にそのデザインが明らかにされている。
この文書では、全長4592mm、全幅1852mm、高さ1629mm、ホイールベースが2765mmになると記載されており、中国仕様の出力が204psとなることも明らかにされている。
VWブランドのボスであるラルフ・ブランドシュテッターによると、ID.4はまず、1基の電気モーターによる後輪駆動で販売され、より強力なツインモーターの四輪駆動バージョンが12か月以内に追加される予定となっている。
ID.Crozzのコンセプトと同様に、後輪駆動モデルは、リアマウントされた電気モーターから、最大204ps/31.7kg-mを提供することが期待される。
四輪駆動モデルでは、102ps/14.2kg-mを発揮するフロントマウントのモーターが追加され、システム統合で306ps/45.9kg-mを発揮するようだ。
ハンドリングと快適さが向上
ID.4にはさまざまなバッテリーオプションが用意されており、最大のものは83kWhユニットと噂されている。WLTPテストサイクルで、最長500kmの航続距離を実現するという情報もある。
また、急速充電機能については、125~150kWのシステムで、30分以内にバッテリーを80%まで充電できるという。
まだ明らかにされていないが、ID.4には標準モデルと、ID.5と名付けられると予想されているクーペSUVの、2つのバージョンが登場する可能性もある。
VWグループのヘルベルト・ディースは、2017年のID.Crozzコンセプトの発表の際に「2020年には、VWの完全電動モデルを年間10万台販売することを目指しています」と語っている。
「しかし、これはほんの始まりにすぎません。2025年までには10倍の100万台に達する可能性があるでしょう」と話していた。
ID.4とID.5は、現代のスポーツカーのダイナミックなラインと、オフロードのオールテレーン機能を組み合わせることを目的としている。
VWのベストセラーSUVモデルの、ロング・ホイールベース仕様であるティグアン・オールスペースと、同等のインテリアスペースを提供するとも言われている。
前後重量配分は、大型のバッテリーがフロア内の低い位置に取り付けられ、電気モーターも車軸の前後に収納されため、48:52を実現するという。
同社は、新しいプラットフォームとシャシーによって、「ハンドリングと快適さを大きく向上させる」と自信を示している。
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