2023年も実に色々なレースが行なわれた、F1が22戦、MotoGPが20戦、スーパーGTが8戦にスーパーフォーミュラが9戦、WECが……一体何レース見てきたのだろう……。スプリントを入れれば、100を超えるレースを観戦した、そんな方も少なくないのではなかろうか。お疲れ様でした。来年はもっと増えますよぉ!
そんな数あるレースの中で、読者の皆様の印象に残ったレースはどれなのか? そんなアンケートを行なった。様々なレースに票が投じられたが、本項ではそのベスト5をご紹介する。
■もしも”最強”レッドブルがいなかったら……2023年シーズンのF1はどうなっていた?
なお5位は同率で5レースがランクインしている。
同率5位:F1アブダビGP「角田裕毅が初のラップリードを記録」
2023年のF1最終戦アブダビGPでは、今季のF1を圧倒的な強さで制したマックス・フェルスタッペンとレッドブルが、勢いそのままに完勝。チームとしてはシーズン21勝目を挙げ、2023年を22戦21勝で締め括った。これにより、1988年のマクラーレンが持っていた16戦15勝というシーズン最高勝率を更新する、まさに歴史的なレースとなったわけだ。
そのアブダビGPでレッドブル以外に輝いたのは、アルファタウリの角田裕毅である。予選好調で6番グリッドを獲得。そこから、他車が2ストップ戦略を採る中、果敢に上位を狙い、1ストップでレースを走り切った。その作戦は結局当たりとは言えず、8位でのフィニッシュとなったが、メルセデスやアストンマーティン、マクラーレンらと真っ向勝負を繰り広げ、しかも道中先頭に立つシーンもあった。日本人ドライバーがラップリードを記録したのは、これがF1の歴史上2回目のことである。
しかし当の角田は「ストラテジー(戦略)は成長していない」と実に冷静だった。
同率5位:スーパーGT第4戦富士「富士山麓の気まぐれな天候が、レースを翻弄」
8月の富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第4戦は、稀に見る波瀾の1戦となった。スタート直後はウエットだった路面は序盤で乾いていき、中盤まではドライコンディションでレースが進行。しかしGT300クラスの244号車HACHI-ICHI GR Supra GT、25号車HOPPY Schatz GR Supra GTが立て続けに車両火災に見舞われると、25号車の火災は大規模なものとなり赤旗中断。その間にスコールのようなにわか雨が降り、またもコースは濡れてしまった。
ウエットコンディションでスタートしたレースの残り周回は30周弱。その間に路面は徐々に乾いていったが、ドライアップのスピードは緩やかで、各チームにとってはドライタイヤに交換するか、ウエットタイヤで走り続けるのか非常に悩ましい状況となった。GT300クラスは絶妙なタイミングでドライタイヤに交換した11号車GAINER TANAX GT-Rが優勝、GT500はちょい濡れ路面を得意とするミシュランのウエットタイヤで独走態勢を築いた3号車Niterra MOTUL Zが勝利した。
同率5位:F1サンパウロGP「”ベテラン”アロンソ、根性のオーバーテイクやり返し」
サンパウロGPも、勝利を収めたのはフェルスタッペンだった。しかしここでも見せたのは角田だ。
角田はF1スプリントで好ペースを見せ、6位入賞。決勝ではスターティンググリッドこそ下位だったものの、優れたペースで追い上げていった。ただ、ピットストップを遅らせすぎてしまったことで、9位フィニッシュがやっと。入賞は果たしたものの、残念な9位だったと言える。
そして最大の見せ場が最終ラップだった。レース終盤、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソとレッドブルのセルジオ・ペレスが、激しい3位争いを展開。残り1周というところでペレスがアロンソを抜き、これで勝負あったかと思われたが、ベテランは諦めてはいなかった。
最終ラップ、アロンソはペレスの背後にピタリとつけ、オーバーテイク”仕返し”に成功。ペレスは烈火の如く再びアロンソにプレッシャーをかけるが、逆転には至らず……チェッカーを迎えた。ふたりの最終的な差は0.053秒だった。
同率5位:スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿「宮田初優勝。平川”日本代表”としての意地」
新型車両『SF23』の導入で最も期待されていた接近戦のバトル。それを随所で堪能することができたと言えるのが、鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦だ。
レースが大きく動いたのは、30周のレースの20周目。ポールポジションから粘りのレースを見せ、ピット作業を終えてコースに戻ったばかりだった大湯都史樹と、そこに後ろから迫る野尻智紀がS字で接触。これによりセーフティカーが出され、このタイミングでピットインすることができた宮田莉朋、平川亮は大きく得をすることができた。
レース再開後のトップは坪井翔だったが、フレッシュタイヤの宮田が迫る。坪井はなんとか抑えていたが、残り2周の1コーナーで決着。大外からオーバーテイクした宮田が悲願のスーパーフォーミュラ初優勝を遂げ、そこから王座まで驀進していった。その後方3番手争いも白熱し、リアム・ローソンの狡猾なブロックに業を煮やしていた平川亮が、宮田が坪井を抜いたのとほぼ同じタイミングでオーバーテイク。「日本は甘くねえぞ!」という“名無線”も生まれた。
同率5位:スーパーフォーミュラ開幕戦富士「ローソン、衝撃のデビューウイン」
レッドブルからの刺客、リアム・ローソンがスーパーフォーミュラでのデビューウインを飾ったこのレースは、多くの者に衝撃を与えたと言える。スタートの1コーナーを3番手で抜けたローソンは、大湯都史樹とのバトルの末に2番手に浮上。トップを走るチームメイトの野尻智紀との差を縮めていった。
トップを射程圏に捉えたローソンは、野尻に先んじてピットイン。それをカバーするために野尻も翌周にピットインしたが、アウトラップでローソンにオーバーテイクを許した。参戦初戦のルーキーが、“アンダーカット”を成功させてレースリーダーになったのだ。ローソンはそのままトップチェッカーを受けて優勝。その後も勝利を重ね、野尻、宮田莉朋と三つ巴のタイトル争いを繰り広げた(最終ランキングは2位)。
4位:F1ラスベガスGP「アメリカでの将来を賭けた重要な1戦。低い路面温度が好バトル演出」
初開催となったF1ラスベガスGP。超高級ホテルやカジノが立ち並び、煌びやかなネオンサインや、MGMスフィアに代表されるラスベガスにしか存在し得ない建造物に囲まれたレースは、アメリカ資本・アメリカ人気を象徴するような1戦だった。
初日にはコースのトラブルがあり、FP1はほんの僅かの走行時間で終了。FP2は開始時間が遅れたばかりか、セッションが90分に拡大。終わったのは、現地時刻の早朝4時だった。筆者はDAZNでこのFP2を小倉茂徳さんと解説させていただいたが、途中休憩させていただいたとはいえ4時間のセッション……初めの1時間半は画も変わらず、厳しかった(汗)
ただ決勝は面白かった。路面温度が低かったこともあり、通常ならばタイヤのデグラデーションに悩まされるフェラーリが好調なペースで飛ばし、特にシャルル・ルクレールがレッドブル勢と互角のバトルを繰り広げた。そしてレース最終ラップ、ルクレールがラスベガスのメインストリート”ラスベガス・ストリップ”エンドの90度ターンでペレスのインに飛び込み、鮮やかオーバーテイク! 2位をもぎ取った。
それ以外にも各所でバトルが繰り広げられ、ある意味今季最も面白いF1のレースだったのではという呼び声も高い。
3位:F1アメリカGP「角田裕毅が”プランF”成功!」
最速フェルスタッペンが6番グリッドからスタート。しかしその速さは健在で、先頭に躍り出る格好となった。ただタイヤ戦略を異なる格好としたメルセデスのルイス・ハミルトンが、レース終盤に猛追。マクラーレンのランド・ノリスを抜いて2番手に上がると、首位フェルスタッペンに迫っていった。ただ追い上げ虚しく、結局は2番手でフィニッシュとなった。
しかしもっと虚しいことがレース後に待っていた。ハミルトンのプランクが規定以上に削れていたことが発覚し、失格の裁定が下ったのだ。6番手でフィニッシュしていたルクレールも、同様にプランクが削れていたとして失格となっている。
これで10番手でフィニッシュしていた角田が8位に繰り上がり。角田はこのレース、後続との差を大きく引き離していたことから、最終ラップでファステストラップを狙うアタックを敢行。これも成功し、貴重な1ポイントを手にした。F1でファステストラップを記録するのは、日本人ドライバーとしては3人目の快挙だ。
2位:ル・マン24時間レース「耐久レース復帰の跳ね馬、いきなり24時間を制覇」
2023年のル・マン24時間レースを制したのは、WECの最高峰クラスに”復帰”したばかりのフェラーリだった。
ル・マン6連覇を目指していたトヨタは、2023年のWECでは開幕戦から連勝。その結果、ル・マンを前に”ルールにない”性能調整を科され、厳しい戦いを強いられることになった。フェラーリも、程度の差こそあれ、通常よりは厳しい性能調整を受けることととなった。
予選ではフェラーリがポールポジションを獲得。スタート直後にはトヨタ8号車が先頭に躍り出るも、途中大雨が襲来するなど、レースは荒れた。
7号車のトヨタは、小林可夢偉がドライブしている際に後続車に追突されてしまい、マシンに大ダメージ。ピットに戻ることができず、リタイアとなった。
8号車トヨタと51号車フェラーリが、レース終盤まで激しいバトルを繰り広げた。しかし残り2時間が切ったところで、平川亮が乗り込んだばかりの8号車トヨタがクラッシュ。マシンを修復し、リードラップでコースに戻ったが、それでも当初16秒ほどだった2台の差が、3分以上に広がることとなってしまった。
トヨタはその後猛追するが、フェラーリには届かず。フェラーリがル・マン最高峰クラスで久々の勝利(1965年以来)を手にすることとなった。
1位:F1シンガポールGP「レッドブルがいなければ……それを体現したナイトレース」
他のレースの部分でも散々指摘してきた通り、今季のF1はレッドブルとフェルスタッペンが圧倒的な強さを見せた。そのため、「もしレッドブルがいなかったらどうなっていたのだろうか?」と考えた方も少なくなかったのではないだろうか? 実際、そういうテーマの記事を本サイトでも掲載した。
シンガポールGPは、その”もし”を実際に検証してくれたレースになったと言えよう。
レッドブル勢は初日から苦戦し、予選でもフェルスタッペンが11番手、ペレスが13番手と、Q3に進むことすらできなかった。
決勝ではフェルスタッペンが追い上げを見せたが、優勝争いには加わることができず、終盤はフェラーリのカルロス・サインツJr.、マクラーレンのノリス、メルセデスの2台(ジョージ・ラッセルとハミルトン)の4台による数珠繋ぎの大バトルとなった。中でもメルセデス勢2台は、他が1ストップで走り切る中、2ストップ戦略を選択。サインツJr.とノリスに激しいプレッシャーをかけた。
しかしここはシンガポール。そう簡単には抜けない! 逆にラッセルはプレッシャーをかけることに集中しすぎたか、最終ラップのターン10でアウト側のウォールにヒット。右フロントを壊してコントロールを失い、その先のバリアに突っ込んでレースを終了させてしまうことになった。ラッセルは落胆。「その瞬間は誰ともいたくなかった……最悪の気分だった」とレースを振り返った。
ただレース終盤の4台による優勝争いは、タイヤ戦略の違いもあり、実に見応えのあるものとなり、読者投票の結果でも2023年のベストレースに選出された。
なおこのレースが、2023年唯一レッドブル以外のマシンが勝利したレースだった。
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