平川亮が2024年からマクラーレンF1チームのリザーブドライバーに就任するというニュースは、多くのファンや関係者にとって驚きであった。その発表の余韻冷めやらぬうちに、トヨタ自動車の豊田章男会長がF1日本GPが行なわれる鈴鹿サーキットにやってきて、レーシングドライバー“モリゾウ”としてマクラーレンとのフォトセッションに臨んだことも、パドックにさらなる驚きをもたらした。
日本GPのレースウィークをかき回したこのニュースはやや話題が先行している部分があり、今後平川がリザーブとしてどのようにマクラーレンと関わっていくのかや、マクラーレンとトヨタそれぞれの思惑などに関しては、まだ全貌が見えていないのも確かだ。
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そんな状況の中、motorsport.comはマクラーレンの最高経営責任者(CEO)であるザク・ブラウンを直撃した。
まずブラウンCEOに尋ねたのは、平川をどう評価しているかについて。平川は既にマクラーレンのファクトリーでシミュレータセッションを実施しており、そこでは最終的にレギュラードライバーと遜色ないパフォーマンスを見せたと言われる。
「(平川は)とても優秀なドライバーだ。彼は素晴らしいキャリアを歩んでいて、ル・マンでもトヨタで素晴らしい仕事をしている」と平川を評したブラウンCEO。彼はそれに続いて、こう話したのだ。
「我々のF1マシンで彼をテストすることになっている」
「彼を我々のレースカーに乗せられること、そして(風洞施設の使用で提携していた)トヨタとのパートナーシップが続くことを嬉しく思うよ」
“我々のF1マシン”で平川のテストを実施すると明かしたブラウンCEO。関係者の話を総合すると、これは旧型F1マシンによるテストを指しているようだ。
それでは、平川が最新型のF1マシンに乗る機会は訪れるのか? そう尋ねると、ブラウンCEOはこう答えた。
「今年パト(パトリシオ・オワード)がやることのその先については何も決まっていない。来年のことは来年に決定を下すことになるだろう」
“パトがやること”というのは、まさしく最新F1マシンでのテスト機会のこと。マクラーレンは本来、今シーズンのフリー走行でインディカードライバーのアレックス・パロウを起用する予定でいた。しかしパロウとの契約がこじれたことから、インディカーのアロー・マクラーレンで起用しているパトリシオ・オワードを最終戦アブダビGPのフリー走行とポストシーズンテストで起用することに方向転換したのだ。
また、やはり気になるのはマクラーレンがトヨタドライバーの平川と契約した思惑についてだ。F1チームの代表であるアンドレア・ステラは、マクラーレンが平川起用に興味を示した理由について、「我々が現時点で関心を持っているレースの取り組み方やパフォーマンスという点で、”交流”ができるから」と説明をしていた。その文脈を読み取るに、彼らの言う「関心を持っているレース」は、トヨタが参戦しているWEC(世界耐久選手権)なのではないかと邪推してしまう。
最後に、ブラウンCEOにいたってシンプルな質問を投げかけた。「WECに興味があるか?」と。すると彼は笑顔でこう答えた。
「ああ、我々は常にWECに興味を持っているよ」
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