現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 最新車種の「弱点」突くリレーアタック 装置の販売サイト取り締まりへ 英国

ここから本文です

最新車種の「弱点」突くリレーアタック 装置の販売サイト取り締まりへ 英国

掲載 3
最新車種の「弱点」突くリレーアタック 装置の販売サイト取り締まりへ 英国

リレーアタック装置の禁止へ動く英国

自動車盗難の手口として頻繁に用いられる「リレーアタック」用の装置は、オンラインで公然と宣伝・販売されている。

【画像】許せない!英国で最も盗難被害に遭っているクルマは?【被害件数の多い3車種を写真で見る】 全34枚

英国では近年、自動車の盗難被害が急増しており、そのうちの9割がこうした装置による被害と見られている。11月7日には、国王演説で装置の違法化が提案されるまでになった。

この法案は、リレーアタックなど自動車盗難に用いられる装置の製造、改造、供給、輸入、所持を違法とし、最高5年の懲役刑を科すというもの。英国における自動車盗難発生件数は、2022年に前年比25%増の13万389件を記録している。

英国のカーセキュリティ会社、トラッカー・ネットワークUKの最新データによると、同社が回収した全車両の93%が、所有者のキーが使用されずに盗難に遭っているという。

キーフォブなしでどう盗まれる?

リレーアタックは、1人の窃盗犯が所有者の敷地近くでキーフォブからの信号を捕らえ、受信機を持って車両のそばに立っている共犯者にリレーし、ロックを解除して盗むという手法だ。信号の中継装置はオンラインで100ポンド(約1万8500円)から購入できる。

本誌は、車両を完全制御する装置を販売するウェブサイトを見たことがある。しかし、そうした高度な装置はCAN-BUS(車両のマイクロコントローラーとプロセッサーが相互通信するための配線システム)に接続する必要があり、値段もかなり高価である。

最新世代のフェラーリ、ランボルギーニ、レンジローバーなど、ほとんどの車種に対応する装置が、2500ポンド(約45万円)から3万ポンド(約555万円)で販売されている。

手口はリレーアタックだけじゃない

英国の保険業界が出資する自動車関連NPO法人、サッチャム・リサーチの車両犯罪セキュリティ部門のスティーブ・ランチベリー氏は、CAN-BUSに直接接続することで、キーフォブがなくても、またその信号を中継しなくても、車両ロックを解除したり始動させたりすることができると説明した。車両を制御するのに必要なすべてのデータが、この装置に含まれているという。

しかし、CAN-BUSへのアクセスは必ずしも容易ではない。

「最近の傾向としては、窃盗犯が車両のボディパネルを切り取ってCANにアクセスするケースが見られます。わたし達はメーカーと協議し、ハーネスの経路を迂回させたり、トランクの中に入れたり、ハーネスを分離したりして、装置による完全なアクセスを防ごうとしています」

さらに、サッチャム・リサーチは英国内務省と協力し、装置の販売と流通を規制するレギュレーション作りを進めているという。

どんな製品が売られているのか?

英国の車両追跡・回収会社、AXトラックの調査サービス担当ディレクターであるニール・トーマス氏は、本誌が提供した装置リストに驚きを見せた。

「以前にも、この種の装置を提供するウェブサイトを見たことがありますが、これほど詳細で、多くのメーカーや車種に適したものはありませんでした。”緊急始動用” といった商品説明は正当性を印象づけるためのものですが、お金さえあればきっと売ってくれるでしょう」

他にも、キーフォブをブロックして施錠を防ぐリモートキーシグナル妨害機や、警報音を “数秒で” 無効にする装置などが出回っている。

リレーのように動作し、キーレス車の「緊急エンジン始動」を可能にするというある装置は、「特殊サービスや探偵事務所のみが利用可能」と説明されている。

これについてトーマス氏は、「この装置はクルマを盗むために使われるのでしょうか? 言い方を変えましょう、わたしの知り合いがこのようなものを使ったことがあり、警察との唯一のつながりは独房で過ごしたことです」と話す。

本誌はこの製品を販売しているウェブサイトに問い合わせたが、返答はなかった。

警察の見解は?

全国警察署長協議会(NPCC)の広報担当者は、次のようにコメントしている。

「キーレス・テクノロジーの普及は、残念ながら簡単にアクセスできる装置の開発につながり、犯罪者にとって自動車を盗むことがあまりにも容易になってしまいました」

「我々は、内務省や政府と協力して、このような装置の販売に歯止めをかける方法を検討しています。また、車両を保護するための盗難防止機能やセキュリティ機能について、定期的に自動車メーカーと連携しています」

自動車メーカーの対応は?

英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガー・ランドローバー)は11月、高級車のレンジローバーなどの盗難被害が急増したことを受け、2018年から2022年に製造された車両にセキュリティアップデートを実施すると発表した。

同社のエイドリアン・マーデルCEOは、「2022年の盗難記録は現在よりもはるかに悪かった。エンジニアは、車両の盗難手口に対抗し、回避し、先手を打つために、かなりの数の介入策に取り組んできました」と述べた。

英国の運転免許庁(DVLA)によると、今年3月までの1年間でランドローバーの100台に1台が盗難に遭っており、被害の大きい上位10車種のうち6車種がレンジローバー系統で、最も被害が大きかったのはヴェラールだった。このような盗難率の高さから、ロンドンではレンジローバーはほとんど保険に加入できなくなっている。

こんな記事も読まれています

ホンダ三部社長ブレずに「2040年にBEV+FCV100%、2030年に40%(200万台)」を明言 ホントか…? ホントに出来るのか??
ホンダ三部社長ブレずに「2040年にBEV+FCV100%、2030年に40%(200万台)」を明言 ホントか…? ホントに出来るのか??
ベストカーWeb
5ナンバーサイズの「小型ミニバン」なぜ異様に売れる? トヨタ「シエンタ」&ホンダ「フリード」が絶大な支持を集める理由
5ナンバーサイズの「小型ミニバン」なぜ異様に売れる? トヨタ「シエンタ」&ホンダ「フリード」が絶大な支持を集める理由
くるまのニュース
スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
AUTOCAR JAPAN
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
Auto Messe Web
6/20申込締切 モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~
6/20申込締切 モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~
レスポンス
フェルスタッペン、大荒れのF1イモラ初日ではお馴染み“GP”がレースエンジニアを担当せず。その理由をレッドブルが説明
フェルスタッペン、大荒れのF1イモラ初日ではお馴染み“GP”がレースエンジニアを担当せず。その理由をレッドブルが説明
motorsport.com 日本版
これは便利!ソフト99が特殊構造の繊維を採用した全長57cmのホイールブラシ「奥洗王」を発売
これは便利!ソフト99が特殊構造の繊維を採用した全長57cmのホイールブラシ「奥洗王」を発売
@DIME
プジョーの全EV、モーターなどに最長8年保証…欧州メーカー初
プジョーの全EV、モーターなどに最長8年保証…欧州メーカー初
レスポンス
違反になったりする? 時々見かける愛犬とのツーリング
違反になったりする? 時々見かける愛犬とのツーリング
バイクのニュース
【人とくるまのテクノロジー展2024】ボルグワーナーは車両の性能・効率向上を目的に設計された電動化ソリューションを展示
【人とくるまのテクノロジー展2024】ボルグワーナーは車両の性能・効率向上を目的に設計された電動化ソリューションを展示
Auto Prove
「Hyundai Mobility Lounge富山」がオープン! すべてのヒョンデ車に試乗できるイベントも開催
「Hyundai Mobility Lounge富山」がオープン! すべてのヒョンデ車に試乗できるイベントも開催
THE EV TIMES
VWの新型EVは500万円以下となるか? 中国シャオペンとの共同開発EV、その姿とは
VWの新型EVは500万円以下となるか? 中国シャオペンとの共同開発EV、その姿とは
レスポンス
まるで純正品のクオリティー! パイオニアから三菱「デリカD:5」「デリカミニ」などに適合のトゥイーター取り付けキット登場!
まるで純正品のクオリティー! パイオニアから三菱「デリカD:5」「デリカミニ」などに適合のトゥイーター取り付けキット登場!
くるまのニュース
3つ星シェフの夢のガレージで「ムルティストラーダV4パイクスピーク」を公開! ドゥカティ・ユニカ・プログラムから生まれた特別モデル
3つ星シェフの夢のガレージで「ムルティストラーダV4パイクスピーク」を公開! ドゥカティ・ユニカ・プログラムから生まれた特別モデル
バイクのニュース
2030年に向けたスズキのカーボンニュートラルへの取り組みとは...人とくるまのテクノロジー展 2024予定
2030年に向けたスズキのカーボンニュートラルへの取り組みとは...人とくるまのテクノロジー展 2024予定
レスポンス
エクストレイルとキックスが黒金フェイス!! 特別仕様車が激アツ!! しかも一部改良で充実機能で勝負
エクストレイルとキックスが黒金フェイス!! 特別仕様車が激アツ!! しかも一部改良で充実機能で勝負
ベストカーWeb
スバルがスーパー耐久参戦へ向けた新型車両を公開! WRX S4をベースにしたマシンをスーパー耐久第2戦に展示予定
スバルがスーパー耐久参戦へ向けた新型車両を公開! WRX S4をベースにしたマシンをスーパー耐久第2戦に展示予定
WEB CARTOP
【独占速報】ヤマハXSR900GP試乗「デザインも走りも、バイクが最高にアツかった80年代を思い出す!」
【独占速報】ヤマハXSR900GP試乗「デザインも走りも、バイクが最高にアツかった80年代を思い出す!」
モーサイ

みんなのコメント

3件
  • mak********
    日本も対応を見習ってほしいもんだな。
    完全放置、捜査なし。

    罰則も大したこないし。
  • s_m********
    ハンドルを引っこ抜いてドアに南京錠が一番。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

108.04200.0万円

中古車を検索
レンジローバーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

108.04200.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村