話題のBEV、トヨタbZ4XとSUBARUソルテラにはそれぞれ異なるプレミアムオーディオシステムが設定されている。
静粛性に優れるBEVにおいて、両車はどんな目的でプレミアムオーディオを搭載しているのか。実際の試乗で音の違いなども含めその狙いを探ってみた。
最新EVは「音」が鍵に!! 車内オーディオ復権の兆しとbZ4X対ソルテラ対決の行方
文/高山正寛、写真/萩原文博
静粛性の高さはカーオーディオに向きなのか?
トヨタbZ4Xのフロントスタイル
元来BEVとカーAVシステムの相性は良いと言われている。当然と言えば当然だが、BEVの場合、エンジンを搭載しないので車内に侵入してくるノイズの量、質とも小さい。ゆえにこれらの影響が少なくなることで音楽を愉しむのには環境としては好ましい。
一方で、エンジン周りからのノイズが無い分、タイヤや風切り音などのノイズが車内に侵入、これが気になってくる。メーカーはこれらに対してもタイヤの選定から始まり、遮音&吸音材、またフロントガラスにも遮音効果に優れる板厚タイプやフィルムをサンドイッチしたものを採用している。
bZ4XとソルテラはトヨタとSUBARUの共同開発で誕生したBEVであることは今更説明の必要はないだろう。デザインの細かな違いや動的性能のチューニング(ちなみにFF車は同じ)、そして装備の面でもいくつかの違いがあるが、基本は両社が開発したBEV専用プラットフォームを活用する。
動的性能の違いに関して今回多くは触れないが、大容量バッテリーをフロア底面に搭載することでSUV的ボディでありながらコーナリング時のボディの傾きや接地感はBEVの大きな利点だ。そしてこのバッテリー自体が遮音材としての役割を果たすと開発陣は教えてくれた。
同時に音の侵入に関しても遮音ガラスや空力デバイスなどを活用して静粛性を高めているという。
前述したようにBEVとカーオーディオの相性は基本的には良い。音は基本、大きさ/音程/音色の三つの要素で成り立っているが、大音量で聴いた時はパワフルで、それなりに良かったのだが、これを小音量で聴くとパッとしない、ということがある。
これは音のS/N比や帯域バランス、スピーカーの能率など、数多くの理由があり、結果として音の輪郭がぼやけてしまい、車内ではつい音量を上げ気味になる。もちろんそれ自体も一つの聴き方だが、長時間の視聴では耳が疲れてしまうケースもある。
これを語り始めると膨大な文字数が必要になってくるので省略するが、BEVの場合、空間自体の静粛性が高いので、それほど音量を上げなくても音楽自体がノイズに隠れることなく、聴きやすくなる。
ただ、それでも低音域と高音域は聞こえにくく、それらを補正するためにシステムにはスピーカーの個数や専用回路、そして車載専用の音響特性を持たせることでバランスの良い音作りをしている。
JBLとハーマンカードンとは
スバルソルテラのフロントスタイル
今回、bZ4Xには「JBL」、ソルテラには「ハーマンカードン」のサウンドシステムが搭載されている。正確に言うとbZ4Xは基本「Zグレードのみ」しか設定が無いので、当然標準装備となる。
一方、ソルテラの「ハーマンカードン」は上位グレードとなる「ET-HS」のみに標準装備。FF/AWDの「ET-SS」はオプションでも選ぶことはできない。
JBL/ハーマンカードンとも車載はもちろん、家庭用(スピーカーやヘッドフォンなどのコンシューマ事業)や業務用(レコーディングスタジオなどのモニタースピーカーなど)の領域でも長い歴史を持つのでブランドの認知度は高いはずだ。
JBLもハーマンカードンも元は別々の企業だったが、現在は米国のハーマン・インターナショナル・インダストリーズの傘下にあり、おのおのが独立したブランドとして世界中で販売されている。日本法人はハーマンインターナショナルで、ちなみにレクサス車に搭載されていることが多い「マークレビンソン」も同ブランドのひとつである。
bZ4Xに搭載される「JBLプレミアムサウンドシステム」だが、その前にJBLブランドとトヨタとの関係は1996年からすでに25年と歴史が長い。
同社の説明によれば当時「伝説となっているコンサートやロックツアーのサウンドを車の中で実現する」という壮大なミッションを掲げてチームを編成したそうだ。
その後、車種に応じて専用のスピーカーの製造や最適配置などのチューンナップを行い、技術を磨き上げてきた経緯がある。
車載だけではないが、昨今のパワーアンプはデジタル化されており、車内の空間特性に合わせたチューニングはアナログアンプ時代に比べより精密に行えるようになっていることは多くの人が知っているはずだ。
デジタル革命によりカーオーディオの世界もすっかり様変わりした。ライフスタイルに合わせたサブスクリプションサービスなどの展開により、音楽を愉しむスタイルも多様化しているが、それでもいい音を聞きたいのは普遍的な欲求と言えるものだ。
今回のJBLのシステムは同ブランドが掲げる「LOUD&CLEAR」に基づくもので、小音量から大音量まで迫力があり、目の前での演奏を想起させるステージ感などを音作りの特徴としている。
基本システムは9スピーカー+専用アンプだが、特徴的なのが、Aピラーに組み込まれた2.5cmのホーンツィーターだ。JBLのロゴがデザインされた部分は独特の形状になっていることがわかる。
これはいわゆる音響レンズと呼ばれる物で、音を拡散させる効果により拡がりのあるステージ感を実現するのに役立っているそうだ。
またラゲージルームに設置されたサブウーファーは22.4cmのサイズで、これを専用エンクロージャー(ケース)に組み込み設置している。
一方、ソルテラに搭載されるハーマンカードンはbZ4Xとは根本的に異なるシステムとなっている。
bZ4Xが9スピーカーだったのに対し、ソルテラは11スピーカーの構成、bZ4Xのようにフロントに音響レンズは設置しない代わりにリアドアにコアキシャルタイプのスピーカーを搭載する。
コアキシャルとはひとつのユニットの中に複数のユニットを搭載する構造で、日本語で言えば「同軸」の意味だ。
bZ4Xがこの位置に15cmのフルレンジタイプを搭載し、全域をカバーするのに対し、ソルテラは2つのスピーカーを同軸配置、さらに音響レンズを搭載し指向性を持たせることでさらに拡がりのある音を実現している。
また昨今の出回っている圧縮音源により元の音から失われたデータをリアルタイムに解析し補正する「Clari-Fi」や省エネや環境性能を重視した「GreenEdge」アンプテクノロジーも採用している。
bZ4Xとソルテラ、どちらがいい音なのか?
bZ4Xのインテリア
結論から先に言うと「どちらも素晴らしい」。ただこれではオチが無いのできちんと説明すると、それぞれの音作りの方向性が異なる。
JBLがパワフル系だとしたら、ハーマンカードンはピュア系。ズシンとくる低音は少なめだが、全域に亘ってバランスが良い。言い換えると長い時間聴いていても聴き疲れがしない。
冒頭に述べたようにハーマン社が用意してくれた音源(ジャズ、ポップス、クラシックなど約30楽曲)を聴き比べて感じたのは、JBLがキレの良さやエネルギー感を押し出すのに対し、ハーマンカードンはそれぞれの楽器やボーカルの輪郭を余ること無く聴かせてくれる点だ。
あくまでも個人的な感想にはなるが、ジャズやライブ、ロックなどはJBLの方が好ましい。目の前でアーティストのパワーを感じるJBLのエネルギッシュサウンドは気分が上がる。一方、クラシックや女性ボーカルの「音の艶」などの再生力、そして楽曲を選ばないオールマイティな音作りではハーマンカードンの方が良いと感じた。また後席での楽曲の聴きやすさ、音の拡がりや奥行き感の点でもハーマンカードンの方が60歳を超えた筆者の耳には心地良い。
この部分は好みの部分ではあるので、もし今後ディーラーにデモカーが配備され、音楽を聴ける状況が発生したならばできるだけ高音質の音源(スマホやUSBなど)を持って視聴するのがいいだろう。ちなみに両車ともCDドライブは非搭載なので間違ってCDを持っていかないように注意してほしい。
BEVが車載ピュアオーディオ復権の起爆剤になる
ソルテラのインテリア
ハーマン社の調査によれば「音楽はドライブの一部としてどの位重要なのか?」という質問に対し、約7割が必要と答えている。これ自体も好みの問題ではあるが、いずれにせよ、BEVという静粛性の高さは音楽を愉しむためのパーソナルな空間としても好ましいことは間違いない。また昨今、スマホを含めたライフスタイルシーンでもTMS(完全ワイヤレスイヤフォン)を使い、高音質のハイレゾ音源を楽しむ人も増えている。
今後BEVに対しては従来以上にエンターテインメント空間としての期待もかかっている。ピュアオーディオだけでなく、立体音響の再生なども試験的に行われているが、bZ4Xとソルテラのシステムが起爆剤になってより車内でピュアな音楽が楽しめる環境は増えていくことだろう。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
自動車は安全のために周囲の騒音を車内に取り込まなければならない。緊急車両、警笛、踏切だけでなく、路面の荒れ具合や雨の強さや水はねの大きさ、追越車線の車両の接近など、運転中に騒音から得ている情報はたくさんある。
オーディオの僅かなノイズなんて、気にする必要がなぜあるのか?
2t 近い物体がハイスピードで移動してるんだ、ちゃんと運転に集中してくれ。
そんな事ばかりやってるから、走行中にタイヤが外れるような初歩的な設計ミスやるんだよ