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好調au TOM’Sがタイム合算方式初のPP。初陣シビックは3番手を獲得【第1戦GT500予選レポート】

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好調au TOM’Sがタイム合算方式初のPP。初陣シビックは3番手を獲得【第1戦GT500予選レポート】

 いよいよ幕開けのときを迎えた2024年のスーパーGT開幕戦、岡山国際サーキットでのGT500クラス公式予選は、新たに“タイム合算方式”となった新フォーマット初戦を制し、王者au TOM’S GR Supraが今季最初のポールポジションを獲得。エースの坪井翔と新パートナーの山下健太というふたりのドライバー、そしてチームによるエンジニアリングとマシン性能の三位一体で、新時代の最前列を射止めた。

 前日の金曜搬入日から晴天に恵まれ、すでに初夏を思わせる暑さとなった岡山は、翌日の決勝日も含め降雨の可能性はほぼナシとの予報もあり、同地開幕戦復帰以降で初の週末“完全ドライ“条件での勝負が期待された。

2024年スーパーGT第1戦岡山『OKAYAMA GT 300km RACE』走行全車総覧 GT500

 その土曜予選は兼ねてよりアナウンスされてきたとおり、ふたりの選手がアタックした“タイム合算”で決勝グリッドが決定されることになり、2週連続開催となった開幕前の公式テストでも『模擬予選』が実施されるなど、大きな注目を集めてきた。

 GT500クラス参戦15台による争いは、これまでのように上位8台以降のカットラインによる敗退がない代わりに、週末の持ち込みセット数が減らされた影響もありつつ「公式予選において使用できるマーキングタイヤは1セット」と規定され、かつ「このマーキングタイヤで決勝レースをスタートしなければならない」との方針も維持される。

 つまりニュータイヤを履くQ1担当ドライバーは、ブレーキング時のロックによる“フラットスポット”のダメージは厳禁。アタックラップ飛び込みの1コーナーでピークグリップを1発で探り当てる度胸と技術が試され、続くQ2担当はそのユーズドタイヤで温度とグリップをバランスさせ、最大限のパフォーマンスを引き出さなくてはならない難しさに直面する。

 その戦い方はチームによってシーズンを追うごとに理解度が高まっていくものと思われるが、ポールポジション獲得で得られるポイントも昨季の3倍(3点)
となるため、どちらがどちらのセッションに適任か。またセットアップや決勝をも睨んだタイヤ選択は(持ち込みを含め)どう進め、どう考えるべきか。週末の勝負にまた新たな要素が加わることとなった。

■ブリヂストンにスイッチして最初の予選Q1でトップタイム

 土曜の9時30分より開始された公式練習から気温は季節外れの20度を上回り、路面温度もセッション開始の26度からグングン上昇。14時開始のGT300クラス予選Q1A組開始時点で、双方ともに27度/36度という例年のこの時期を考えればどの陣営にとっても想定外のコンディションとなった。

 そして14時34分から10分間のGT500クラスQ1が開始されるも、やはり周回数を極力抑えたい狙いかシグナルグリーンからコースインする車両はなし。開始1分半で19号車WedsSport ADVAN GR Supraを先頭に、ホンダ陣営で注目の新型モデル、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTなどが連なっていく。

 さらに間を置いて今季よりブリヂストンタイヤに換装した3号車と23号車のZ NISMO GT500艦隊、Niterra MOTUL ZとMOTUL AUTECH Zが揃ってピットアウトし、ここ岡山で連覇も記録した14号車ENEOS X PRIME GR Supraを挟み、残り5分で8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが最後のトラックインを果たす。

 ここでオフテストから好調を維持してきた36号車の王者au TOM’S GR Supraの山下健太がまずは1分17秒813としてトップへ。午前に続きタイムボード最上位に着ける。するとここから“打倒チャンピオン”の展開となり、背後の100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの牧野任祐も1分17秒台を記録すると、そのホンダ陣営から今季移籍で38号車KeePer CERUMO GR Supraをドライブする大湯都史樹が、午前の周回数不足を吹き飛ばす1分17秒649で首位に躍り出る。

 そこへすかさず待ったを掛けたのが、こちらも今季よりニッサン陣営のエースカーを託された23号車の千代勝正で、事前にはドライ路面での習熟が足りないと不安を語っていた予測を覆し、1分17秒469のタイムで早速Q1を制覇してみせた。

 一方で、最後のアタックラップではセクター1全体ベストの17秒408を記録し、逆転に賭けていた最終待機組の8号車、ARTA松下信治は最後の最後で悔しい結末に。セクター3の最終コーナーを前に、マイクナイトのアウト側へと堪え切れずはみ出したシビック・タイプR-GTは、コントロールライン通過時点で10番手としたものの四輪脱輪の判定に。これが新フォーマット予選、そして新型車デビュー戦の難しさか、セカンドベストタイム採用で最後尾へ回る結果となった。

■坪井が見せたチャンピオンの貫禄

 GT300でもグループ1“アッパー16”とグループ2“ロワー17”に分かれて実施されたQ2を経て、GT500クラスのQ2が15時24分に幕を開けると、こちらも昨季までの8台ではなく全15台での勝負が繰り広げられる。

 ここでもセッション開始から待機を続けた各陣営は、ユーズドタイヤであることもあってかさらなるステイを決め、最初の1台がコースインしたのはセッション3分経過を目前にしてダンロップタイヤ装着の64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTから。

 続いてヨコハマタイヤ陣営の19号車WedsSport ADVAN GR Supra以下続々と他車も動き出し、残り4分のところでホンダ陣営の17号車Astemo、16号車ARTAもピットを後にする。しかしQ1最後尾タイムとなった8号車ARTAは107パーセントルールを越えられずQ1の結果でピットスタートが決定してしまった模様で、Q2では戦略的な判断も加わって結果的にアタックを行わなかった。8号車ARTAにはさらにフロアなどの車両にダメージがある可能性もありそうだ。

 ここから自身計測3周目に1分18秒台へ入れ基準タイムを計時した3号車NiterraのGT500ルーキー三宅淳詞を先頭に、23号車MOTUL AUTECHのロニー・クインタレッリ、12号車MARELLI IMPUL Zのベルトラン・バゲットと、まずは“Z NISMO”がワン・ツー・スリー体制を築く。

 しかしここから新生GRスープラ軍団が実力を発揮し、38号車KeePer CERUMOの石浦宏明が1分18秒504で合算タイム暫定首位に立つと、直後に39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口雄飛がQ2セッション最速の1分17秒995で逆転。ホンダ陣営のエース、山本尚貴の100号車STANLEYが1分18秒042まで詰めたものの、合算で39号車のタイムに届かない。

 さらに、ここで貫禄のアタックを披露したのが“チャンピオン”の坪井翔で、1分17秒748と文句なしの更新でQ2最速タイムを叩き出し、36号車が下馬評どおりの合算2分35秒561でのポールポジションをさらってみせた。

 改めてこの合算方式による総合力の勝負となった予選グリッド位置は、フロントロウに36号車au、39号車DENSOのトヨタ陣営GRスープラが並び、2列目3番手にデビュー戦でホンダ最上位を手にした100号車STANLEYが続くトップ3となり、ここまでがチャンピオンシップにおいて貴重な予選ポイントを獲得。さらに38号KeePer、14号車のENEOSのGRスープラ勢を挟んで、23号車MOTUL、3号車NiterraのZ NISMOは決勝300kmでの巻き返しを狙うこととなった。

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