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いかにも強そうな名前の「ブレードバッテリー」! BYD自慢の安全性とコスト面で優れるバッテリーは何がどう凄いのか?

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いかにも強そうな名前の「ブレードバッテリー」! BYD自慢の安全性とコスト面で優れるバッテリーは何がどう凄いのか?

 この記事をまとめると

■BYDのEVは「ブレードバッテリー」という独自のバッテリーを採用する

中国製BEVへの警戒感を強めるEUとアメリカ! 中国メーカーが日本を本格的に狙う可能性はあるのか?

■ブレードバッテリーは他ではあまり使われない「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」だ

■安全で安価なのが特長

 ブレードバッテリーってなんだ?

 2023年に日本市場での販売を開始した中国の自動車メーカーBYD。現在のところ、日本市場では電気自動車(BEV)のみの展開となっている。そんなBYDの車両は、他メーカーのBEVとは大きく異なるポイントがある。それが独自技術といえるブレードバッテリーを搭載している点だ。今回はこのBYDのブレードバッテリーについて解説する。

 正極の材料が違う!

 ブレードバッテリーとほかの多くのBEVバッテリーの大きな違いが素材だ。一般的なBEVバッテリーは三元系リチウムイオンバッテリーと呼ばれるもので、ニッケル、コバルト、マンガンの3つの元素を正極に使用している。それに対してBYDのブレードバッテリーは、正極にリン酸鉄を使用したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーとなっている。

 多くのBEVが三元系リチウムイオンバッテリーを採用するのには理由がある。それはエネルギー密度が高いので、低温時に性能の低下が抑えられるからだ。それにエネルギー密度が高いということは、バッテリー容量を増やしやすく、航続距離を伸ばしやすいということにもなる。

 対してリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が低く、低温時に性能が低下する傾向がある。三元系リチウムイオンバッテリーとは真逆だ。このように端的にそれぞれのバッテリーの特徴を書くと、三元系リチウムイオンバッテリーのほうがBEVに適しているように見える。

 BYDのBEVモデルが評価される理由

 ただ、三元系リチウムイオンバッテリーにも欠点がある。それはコストだ。希少金属を使用するため、コストが高くなってしまうのだ。なので、コスト面でいえばリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのほうが優位となる。

 よく、BYDのBEVモデルの高評価なポイントとして価格の安さやコストパフォーマンスの高さが挙げられる。これは、BEVモデルとして、航続距離や機能を考えると安いといった評価と同時に、この高評価の根底には、BYDの車両の肝であるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーからなるブレードバッテリーのコスパのよさも含まれている。

 安いだけじゃない!

 安全性でもメリットがある

 また、リン酸リチウムイオンバッテリーは安全性に優れているといわれている。それはバッテリーの結晶構造が強固なため、熱安定性が高いからだ。このバッテリーならば、一部のBEVモデルで問題視されているバッテリーの熱暴走や発火が起こりにくいといえる。

 安全性への自信からか、BYDはバッテリーに直接釘を刺す「釘刺し実験」の様子をホームページで公開している。この実験で三元系リチウムイオンバッテリーは発火や爆発をしたが、リン酸リチウムイオンバッテリーであるBYDのブレードバッテリーは熱暴走や火災を起こさなかった。

 もちろん、安全に絶対はない。ただ、他社とは異なる材料のバッテリーを用いることで、BYDが安全性に自信をもっていることは事実だろう。

 エネルギー密度はどうやって解決した?

 ここまで、三元系リチウムイオンバッテリーとリン酸リチウムイオンバッテリーのメリットやデメリットを紹介してきた。安全性やコストの面でBYDがリン酸リチウムイオンバッテリーを採用しているのは理解してもらえたと思うが、BEVとしての競争力に関わってくる航続距離、もといバッテリーのエネルギー密度への問題はどうしているのだろうか?

 じつはこの問題への対策こそが、「ブレードバッテリー」に隠されている。じつはBYDはバッテリーの構造をシンプルにして、効率的にバッテリーセルを搭載する構造としている。バッテリーを分解すると、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーセルを刀(ブレード)のように薄く長い形状にして、効率的に敷き詰めていることがわかる。ブレードバッテリーと呼ばれている由来はこの形状にある。

 通常、三元系リチウムイオンバッテリーでは、バッテリーセル、そのバッテリーセルをいくつかまとめた(まとめる数はメーカーによって異なる)バッテリーモジュール、そしてそのモジュールを1台のクルマに搭載する形までまとめたバッテリーパックという3つの構成でバッテリーは作られている。しかし、ブレードバッテリーは安全性の高いリン酸リチウムイオンバッテリーを採用しているからこそ、モジュールなしで軽量コンパクトにバッテリーパックを構成している。

 効率的に多くのバッテリーを敷き詰めることにより、リン酸リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度という課題を克服したのだ。

 まだまだBEVは成長が著しい。BYDのブレードバッテリーはほかとは異なる先進的な技術としてインパクトを与えたのは事実だが、今後の各社のバッテリーに関する技術開発はまだまだ進んでいく。まだ、何が王道で何が正解かわからない。EVの肝となるバッテリーの進化に、引き続き注目したいところだ。

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みんなのコメント

41件
  • kt7********
    『釘差し実験』より、『冠水実験』をしてもらいたい。
    異常気象時に道路両脇の排水桝から逆流してひざ上くらいまで冠水することは多々ある。内燃機関の場合は排気管から浸水しない限りエンジンは動くがBEVの場合車体底面に敷き詰めてあるはずなので、その防水構造と防水性能が気になる。
  • nxxjsx378
    この記者BYDから小遣いもらってるんですかね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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