2代目GLEを構成する4トップ
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
2代目へと進化したGLEクーペだが、高性能仕様のメルセデスAMG版も早々の発表となった。英国ではGLE 350dとGLE 400d、GLE 350deに加えて、AMG GLE 53もスターティングメンバーとして加わり、強力な4トップを構成する。
ライバルとなるのはアウディSQ8やBMW X6 M50i、ポルシェ・カイエンS クーペなど。先日ロサンゼルス・モーターショーで発表となったAMG GLE 63をフラッグシップに、フィールドを固める構えだ。
新しいGLE 53クーペは、先代よりクルマとしての焦点が絞られ、完成度が高められた印象がある。よりパワフルでレスポンスに優れたマイルド・ハイブリッドを搭載し、滑らかな9速ATが組み合わされている。
ステアリングホイールにはシフパドルが付き、4マティックと呼ばれる4輪駆動システムは、前後のタイヤ間でトルク配分を自在にコントロールが可能。最新版のエアサスペンション、AMGライドコントロールも装備する。
ボディには縦にルーバーが並ぶパンアメリカーナ・グリルを備え、専用デザインの前後バンパーにボンネットのパワードームなど、AMGらしいスタイリングにまとめられている。リアは、太い4本出しのマフラーカッターが、目立つディフューザーを挟む。
ホイールはAMG専用デザインの20インチが標準だが、ふんだんなオプションの1つとして21インチか22インチへインチアップもできる。
435psを生む3.0L直列6気筒ガソリン
車内にはAMG専用デザインのデジタルメーターと、ドライビングモードを選択できるロータリースイッチ付きの、AMGマルチファンクション・ステアリングホイールを装備。カーボンファイバー製のインテリアトリムや、ヘアライン仕上げのステンレス製ペダルやサイドシル・カバーが気持ちを高めてくれる。
SUVらしく運転席は高い位置にあり、スポーティさは薄い。シートやステアリングホイールの位置の調整幅は大きく、自分に丁度いいドライビングポジションを取れる。
ゆったりとしたフロントシートはサイドサポートもしっかりしていて快適。リアシートはサイズがやや小さく、サポート性も良いとは感じられなかった。
ベースとなっているGLEクーペと同様、GLE 53クーペも新しいプラットフォームを骨格としている。ホイールベースは標準のGLEより62mm短いが、GLE 43クーペと比較すると、53クーペの方が19mm長い。
安定性を高めるため、トレッド幅も広げられている。フロントは53mm増しの1681mmで、リアは92mm増しの1720mmだ。先代よりもかなり四方にタイヤが踏ん張ったスタンスを取っている。
GLE 53クーペは、2018年に発表されたCLS 53と同じ、AMG製マイルド・ハイブリッドを搭載。3.0Lの直列6気筒ガソリン・ターボエンジンは435psと52.9kg-mを発生する。スターター・ジェネレーターが21psと25.3kg-mを、加速時などに短時間加勢してくれる。
ちなみに先代のGLE 43の場合、367psと52.9kg-mを発生する3.0L V6エンジンを搭載。7速ATと4マティックの組合せだった。
印象的な力強さが生み出す余裕の走り
スロットルレスポンスを向上させるため、電圧48Vのシステムは小さな電動コンプレッサーも稼働させる。ツインスクロールターボが過給圧を高める前にエンジンへ多くの空気を送り込み、鋭い加速力を与えている。
メルセデスAMG GLE 53クーペを走らせた印象は、ターボエンジンと小さなモーターが生み出す強力なトルクの存在感が大きい。車重は2250kgにも達しているが、鋭い発進加速を実現している。0-100km/h加速を5.3秒でこなすことは間違いなさそうだ。
加えて余裕しゃくしゃくの高速クルージング性能にも感心する。エンジンの柔軟性と滑らかなトランスミッションが、突出して上質な長距離走行の快適さを生み出している。
275/50というファットなタイヤのおかげで、荒れた路面を高速で通過すると耳障りなタイヤノイズが明確に車内に響いてしまう。だとしても、スポーティな味付けの大型SUVとしては、望外的な洗練度といっていい。
さらにGLE 53クーペで際立つのが、磨かれたダイナミクス性能。標準のGLEクーペより操縦性を向上させたことで、クルマとの一体感は大きく高められた。
カーブの続く道でペースを速めても、機敏な身のこなしで、進行方向を巧みに変えていく。大型SUVという分野のベストに並ぶハンドリングだといっていい。
心を打たれるほどのオールラウンダー
新しい4輪駆動システムは常に前輪と後輪へ伝えるトルク量を変化させ、ハイスピードでのコーナリング時でもタイヤはスキール音すら立てない。優れたグリップ力だけでなく、路面を問わないトラクションの高さは、類を見ないもの。
AMGライドコントロールは、優れた姿勢制御だけでなく、先代と比較して乗り心地も明確に改善させている。新次元と呼べる滑らかさを得ており、都市部での走行時の落ち着きは、特筆する価値がある。
過剰すぎないほどのパワフルさを備え、レスポンスに優れたまとまりのある操縦性と、節度ある乗り心地を両立させているGLE 53クーペ。そこへメカニズムの洗練性と、上質で高級感のあるインテリアと優れた居住性も持ち合わせている。
メルセデスAMG GLE 53クーペの価格は安くはないが、心を打たれるほどのオールラウンダーだ。ただし、標準のGLE 53が備えている日常的な実用性の高さだけは、期待しない方がいいけれど。
メルセデスAMG GLE 53 4マティック・クーペのスペック
価格:7万5000ポンド(1050万円)
全長:4900mm
全幅:2003mm
全高:1731mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:10.7km/L
CO2排出量:212g/km
乾燥重量:2250kg
パワートレイン:直列6気筒2995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:435ps/6100rpm
最大トルク:52.9kg-m/1800-5800rpm
ギアボックス:9速オートマティック
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