フェアレディZは1969(昭和44)年の初代登場以来、いつの時代もスポーツカーに憧れるファンの夢をかなえてきた。そして、新たなスポーツドライビングの世界を切り拓く存在であるべく、歴代にわたって先進のメカニズムや装備をいち早く採用した。その足跡を振り返ってみたい。
【画像】歴代フェアレディZを写真で振り返る
新型は何を目指した?「敵は己だ!」 開発責任者が語ったシビックタイプR
■2.4Lエンジン
1971(昭和46)年 初代S30型
初代Zは1969年、2L直6のL20型OHC、同じくS20型DOHCという2つのエンジンラインアップでデビューした。一方、主力市場の北米向けにはL24型2.4L・OHC(グロス値で150馬力・21.0kgm)を搭載。1971年には国内にも導入された。国産スポーツカーで初のオーバー2Lモデルだ。
L24搭載のトップグレード、240ZGは迫力の「エアロダイナノーズ」にオーバーフェンダーを専用装備した。それでも全幅は5ナンバー枠に収まる1690mm(他グレードは1630mm)。タイヤは175HR14サイズで、シリーズ中唯一のラジアルだった。
Zに続く2L超エンジンの国産スポーツ/スペシャルティは、トヨタの初代セリカXX(1978年)。4M-EU型2.6L直6OHCを搭載した。北米名はスープラ。現地で大成功したZの競合車として誕生した。
■Tバールーフ
1980(昭和55)年 2代目S130型
TバールーフはGMが1970年代からシボレー コルベット、ポンティアック トランザムなどに採用。オープンスポーツの魅力を提案する新しいアイテムとして、2代目Zが日本車で初めて採用した。
当時、アメリカは衝突や横転に対する安全基準を強化。ルーフ中央部を細いバー状に残し、タルガトップの前後をつないだかたちのTバールーフは、モノコック構造のフルオープンに対してボディ剛性に有利で、サンルーフよりオープンカーに近い開放感も得られた。日産はのちに、2代目エクサ(1986)やNXクーペ(1990)にも採用。これらも北米市場を主力に企画されたクルマだ。
Tバールーフはボディ構造技術の進化や格納式ハードトップの出現、ルーフ脱着・格納の面倒くささなどによって、現在は姿を消している。
■60タイヤ
1982(昭和57)年 2代目S130型
まだスポーツカーがオカミにとって好ましからざる存在だった当時、2代目Zはターボエンジン搭載がなかなか認可されない憂き目にあっていた。その代わりというわけではないだろうが、ついにL20E-T型2Lターボを搭載したフェアレディ2000Z-Tターボは、日本車初の60偏平タイヤ標準装備という栄誉に浴した。まだ195/70R14でも高性能な部類だった時代。しかもサイズは215/60R15で、超ワイドタイヤと言われた。60タイヤの標準装備で続いたのはトヨタの初代ソアラ(1983)。
■3Lターボエンジン
1983(昭和58)年 3代目 Z31型
フルモデルチェンジでエンジンをV6に一新した3代目は、3Lに日本車で初めてターボをドッキングした。VG30E-T型3L・OHCは230馬力・34.0kgm(グロス値)を発揮。セリカXXの2.8L直6DOHC(175馬力・24.5kgm)を一気に突き放し、スポーツカーファンのド肝を抜いた。
■3ウェイアジャスタブルショックアブソーバー
1983(昭和58)年 3代目 Z31型
減衰力可変の電子制御サスペンションは初代ソアラ(TEMS)に先を越されたが、3代目Zは3ウェイアジャスタブルショックアブソーバーを全車に採用。減衰力の3段階設定(ソフト/ミディアム/ハード)は世界初だ。
■セラミックターボ
1985(昭和60)年 3代目 Z31型
3代目Zは2LエンジンもV6のVG20E-T型(170馬力・22.0kgm、グロス値)に一新したものの、デビュー2年で突如2L直6のDOHCターボを追加。2カ月早く登場した7代目スカイラインのRB20DET型だが、Zは世界初のセラミックターボで武装していた。タービンはニッケル耐熱合金製より約40%軽量で、過給レスポンスの大幅向上と180馬力・23.0kgm(ネット値、以下同)の高性能を実現した。
※3代目はほかにも、パラレルライジング方式のヘッドライト、マイコン制御上下独立自動調整式オートエアコンを世界初採用)
■280馬力
1989(平成元)年 4代目 Z32型
3L・V6エンジンは4代目ZでDOHCツインターボのVG30DETT型に進化した。スペックはそれまで頂点にあった初代シーマや2代目レパードのVG30DET型(255馬力・35.0kgm)を上回り、日本車で初めて280馬力・39.6kgmに到達した。
しかし、北米仕様はさらに強力な300馬力。3Lターボならこの大台もワケなく発揮できたが、国内仕様は運輸省(現・国土交通省)の自工会に対する申し入れによって、上限を280馬力に制限。いわゆる280馬力自主規制は、この4代目Zから始まった。時はバブル景気真っ只中。その後もZクラスのハイパワー車が国内メーカーから登場したが、最高出力は一律280馬力に抑えられた。
280馬力規制は2004年の4代目ホンダ レジェンド(300馬力・36.0kgm)登場で終焉したが、軽自動車の64馬力自主規制は現在も継続中である。
■シンクロレブコントロール
2008(平成20)年 6代目 Z34型
変速時にシフト操作とエンジン回転を自動的に同調させるシンクロレブコントロール。減速では難しいヒール&トゥなしで達人なみのシフトダウンができる機能だ。MTでは先代が世界で初めて採用した。後年、ホンダのレブマッチシステム(先代シビックタイプR)、トヨタのiMT(カローラ系、GRヤリス)が登場。
〈文=戸田治宏〉
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みんなのコメント
亜米利加に日本車の礎を作った
タミヤのプラモデルも作ったなぁ。ミニカーもたくさん買った。
あ、タイヤ/ホイールはよくあるワタナベの8本足より、オリジナルの
175HR14と樹脂製ホイールカバーの方がやっぱりイイな。