春の行楽シーズンを迎え、密を避けつつ近場へドライブでも、と計画されている方も多いだろう。そんなとき気になるのは渋滞。休日の高速道路は、行楽地へ向かうクルマでいっぱい。ETCの普及やスマートインターの増加によって、以前よりは減りつつあるが、それでも、渋滞が起こりやすい場所は渋滞している。
「交通集中、工事、事故」が、渋滞が発生する3大要因といわれるが、事故や工事は仕方ないとしても、交通集中に関しては納得がいかない、と思うのは筆者だけではないだろう。
クルマは最強の防災グッズ 「もしも」のためのクルマ選びと活用法
道路上にクルマの数が増えれば速度が遅くなる…という理屈はわかるが、完全に停止して1分も2分も動かない…なんていう状況はなぜ起こるのか。先頭は動いてないのか。というか何か対策はないのか。
本稿では、なぜ交通集中で渋滞が起きてしまうのかについて考察するとともに、交通集中による渋滞をできるだけ減らす運転方法についても、考えていく。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:写真AC_海辺のあひる
写真:NEXCO東日本、写真AC
【画像ギャラリー】運転方法で渋滞を防ぐことができる!! 渋滞吸収走行のポイントをギャラリーでチェック!!
交通集中による渋滞は、地理的な要因が大きい
NEXCO東日本によると、2019年に発生した渋滞のうち、約76%が交通集中を原因とする渋滞だったそうだ。このうち約63%は上り坂、およびサグ部(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)で発生しているそう。
上り坂やサグ部では、速度をキープしているつもりでも、クルマは自然に減速をしてしまう。すると、前走車との車間距離が詰まり、後続車がとっさにブレーキを踏み、またその後続車もブレーキを踏む。それらが連鎖することで、渋滞となってしまう。
新しく整備された新東名高速道路などでは、極力起伏ができないようにつくられているようだが、既にある高速道路の起伏を無くして平らにするのは、現実的には難しい。
サグ部とは下り坂から上り坂にさしかかる凹部のこと 坂道で速度が上がったクルマが、上り坂で速度低下し、後続車が連鎖的にブレーキをかけることで渋滞が発生する(画像出典/NEXCO東日本公式サイト)
渋滞発生原因の76%は交通集中であり、事故や工事は併せても21%程度と少ない また渋滞発生箇所は上り坂およびサグ部が63%と多く、インターチェンジ渋滞に比べて4倍近い頻度で起きている(画像出典/NEXCO東日本公式サイト)
「渋滞吸収走行」を身に付けよう!!
「渋滞吸収理論」という言葉を聞いたことがあるだろうか。某漫画の「公道最速理論」に似た響きだが、「渋滞学」を研究している、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授のチームによって提唱され、JAFと共に社会検証実験も行われている。
日本物理学会誌に掲載された西成教授の論文によると、およそ1kmあたり25台以上に増えた状態が「渋滞」であり、車間距離でいえば40メートルにあたる。
この「40メートル」の目安となるのは、片側2車線以上ある道路において、追い越し車線と走行車線を区切っている、白い破線。「車線境界線」といわれるものだが、この車線境界線は、8メートルの白線と12メートルの空白区間で構成されており、合計で20メートル。この組み合わせのふたつ分よりも車間が詰まってきたら渋滞、ということだ。
高速道路にある車線境界線は、8メートルの白線と12メートルの空白区間で構成されており、合計で20メートル(写真:写真AC_オフィスティーケー)
論文のなかで西成教授は「渋滞吸収走行」というものを提唱している。これは、十分に車間距離をとって走行し、交通量が増えてきた時点で速度を抑え、車間を詰めすぎないように走ることだ。
この車間距離が「クッション」の役割をはたし、前のクルマが大きく減速しても、ブレーキを踏むことなく(または踏む頻度を減らし)、速度を保って走行することができる、というもの。ポイントは以下の4つだ。
1.渋滞が近づいてきた、と思ったら、少し速度落として、渋滞への到着時間を遅らせる
2.渋滞に遭遇したら、車間距離を十分に取り(前に入られても良い)、一低速で走行する
3.前方の不用意なブレーキなどによる流れの淀みを自車により吸収し、後続への渋滞を伝搬させないようにする
4.前のクルマが動き出したら遅れずについていく(2~3台前のクルマをみて予測するとよい)
渋滞に遭遇したら、車間距離を十分に取り(前に入られても良い)、一低速で走行する 入られても良いとするマインドが大切(写真:写真AC_ゆるフォト)
安全運転にもなり、燃費の改善にも!!
JAFと共に実施した検証実験でも、この渋滞吸収走行による効果は、実証されている。十分な車間距離は、前方車の急ブレーキや急な割込みにも落ち着いて対処できるため、安全運転にもなり、さらには燃費の改善にもつながる。
この渋滞吸収走行をするクルマが複数台いれば、これまでよりも渋滞の距離を短くできる可能性があるという。ただし、5km以上渋滞がつながると解消は難しくなるそうで、早いうちから渋滞吸収走行を心がけるのがポイントだ。
実はこれ、アリの動きがヒントになっているという。アリは混んでくるとお互い詰めなくなるそうだ。クルマは混んでいても、どんどん車間を詰めて流量を落としてしまうが、アリは詰めないことで流量を維持しているそう。やはり、自然の知恵はすごい。
十分な車間距離は、前方車の急ブレーキや急な割込みにも落ち着いて対処できるため、安全運転にもなり、さらには燃費の改善にもつながる(写真:写真AC_Kioma)
巡り巡って自分にも恩恵があるはず!!
トラックドライバーが、渋滞時に車間を大きくとり、たとえ前に入られても、とろとろと動き続けている様子を見たことがあるだろう。一度停止すると再発進が大変、発進加速の衝撃を防ぎたい、燃費改善など、理由はいろいろであろうが、経験的に、トロトロ運転が渋滞解消には効く、というのを理解していて実践されている、ということもあるだろう。
渋滞吸収走行は、自車がいち早く目的地に到着する裏ワザでない。後続車が少しでも楽になるように行うものだ。この走行に協力するには、前に入られても車間を空け続けるモチベーションが必要となる。
すべてのクルマがこの渋滞吸収走行をすることはなくても、一台でも増えれば、巡り巡って自分にも恩恵がある可能性はあるだろう。この渋滞吸収走行が、ドライバーのマナーとして定着すると、国内の交通事情は、さらに快適なものとなるだろう。
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みんなのコメント
だから渋滞するんだよ。