■SNSで話題! 踏み間違いでパニック…周囲は恐怖状態! このような事故はどんな対応となる?
群馬県館林市にあるカー用品店の駐車場で、高齢男性が運転する軽乗用車が次々と周囲のクルマに衝突する動画がSNSに投稿され、話題になりました。
このような事故の場合、ドライバーに何らかの罰則はあるのでしょうか。
2023年7月15日、群馬県館林市内にあるカー用品店の駐車場で85歳の男性が運転する軽乗用車がいきなり暴走し、駐車中のクルマなどに次々と衝突する事故が発生しました。
SNSに投稿された動画には激しい事故の様子が記録されています。
まず軽乗用車が駐車中の黒いクルマに衝突、そこに店舗従業員2人が駆けつけ必死に軽乗用車を停止させようとしますが、軽乗用車は勢いよくバックし、別の白いクルマに衝突。
その際に軽乗用車の後ろでクルマを止めようとしていた従業員が白いクルマとの間にはさまれそうになりますが、間一髪で回避しています。
さらに軽乗用車は前進し、カー用品店の整備エリアで整備中のクルマに衝突してようやく停止しました。
事故はドライバーの男性がアクセルとブレーキを踏み間違えたことにより発生したとみられており、幸いにもけが人はいないようです。
この事故の動画はSNS上で話題となり、「ドライバーはパニックになっているんだろうけど、見ていて本当に怖い」「店員さんに何事もなくて良かった」などの声のほか、「ある程度の年齢になったら免許を返納した方が良いのでは」との意見も寄せられました。
高齢ドライバーによる同様の事故は全国で発生していますが、このような事故の場合、ドライバーに対する罰則などはあるのでしょうか。
今回の事故はけが人がいないため物損事故扱いであり、衝突して壊れたクルマの修理代など、ドライバーが民事上の損害賠償をおこなう必要があると考えられます。
物損事故であればドライバーに罰則はないものの、警察に事故を届け出なければいけません。
警察への報告義務は道路交通法第72条第1項後段に規定されており、報告をしないと3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合があります。
■敷地内でも道交法適用される? もしけが人が出ていたらどうなる?
ここで「駐車場内の事故に道路交通法が適用されるのか?」という疑問を持つ人がいるかもしれません。
そもそも交通事故とは「道路」で発生したものをいいますが、道路には高速道路や国道、都道府県道など一般的にイメージされるもののほか、「一般交通の用に供するその他の場所」が含まれます。
「一般交通の用に供するその他の場所」とは不特定多数の歩行者やクルマが自由に通行できる場所のことです。
一概には言えないものの、大型ショッピングセンターやスーパーなど多数の歩行者・クルマが通行するような駐車場は道路とみなされるケースが多くなっています。
そのため、今回事故の現場となったカー用品店の駐車場についても「道路」として道路交通法の適用を受ける可能性が高いといえます。
では仮に、アクセルとブレーキの踏み間違いによって死傷者が出ていた場合はどうなっていたでしょうか。
この場合は「刑事・行政・民事」のそれぞれの処分の対象となります。
たとえば事故によって自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪が成立した場合、7年以下の懲役もしくは禁固、または100万円以下の罰金という刑事罰を受ける可能性があります。
さらに行政処分は点数が累積することによって免許の取り消しや停止処分を受けることをいい、人身事故では交通違反の基礎点数に付加点数が加算されます。
付加点数は死亡や重傷、軽傷などの被害の程度と、ドライバーの不注意の程度によって点数が変わり、2点から20点までの点数がプラスされます。
そして民事処分は、治療費や死亡慰謝料など被害者に対する損害賠償のことをいいます。
人身事故を起こすと、状況によっては多大な責任を負う可能性があるのです。
※ ※ ※
今回の事故では幸いにもけが人は出なかったものの、一歩間違えれば周囲の人に大きなけがをさせていたかもしれません。
アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は高齢になるほど増加する傾向があります。
そのため、安全装置が搭載されたクルマを使用する、家族と相談して免許の返納を検討するなど、ドライバー自身が対策をとることが非常に重要です。
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