トーヨータイヤが開発した乗用車用スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2」を小川フミオが2月の北海道でテストした。印象はいかに?
氷上性能が向上
数年に1回、「しまった!」と、思うときがある。スタッドレスタイヤについてだ。冬を迎える時期になって、そろそろ履き替えようかな……と、思ってショップに行くと、「品切れです」と言われることが多い。実際、発表は早い。トーヨータイヤは、2020年8月1日に、新作「オブザーブGIZ2(ギズツー)」を販売開始した。
いまなら多少の時間的余裕がある。すこしじっくり考えてみたいというひとに、オブザーブGIZ2の印象を紹介しておこう。このスタッドレスは、従来のオブザーブ・ガリットギズに代わる製品として開発されたものだ。
ShinyaHattori_1「最大の特徴は氷上性能を進化させた点です」。私がこのタイヤを試したのは、およそ半年前の北海道だったが、そこでトーヨータイヤの開発者は語った。出かけたのは、北海道・常呂郡佐呂間町にある同社の「サロマテストコース」。トーヨータイヤがウインタータイヤとオールシーズンタイヤの開発に使う場所だ。
コースには、900mの直線路を含む3000mの外周路があり、くわえて、ハンドリング路、氷盤旋回路、圧雪旋回路、氷盤と圧雪のアイスドームなどが設けられている。
オブザーブGIZ2を試したのは、上記のなかから外周路とアイスドームだ。車両は「メインの開発車両に使ってきた」と開発者が教えてくれたトヨタ「プリウス」、トヨタ「カローラ」、それにアウディ「A4」(クワトロ)である。
「スタッドレスタイヤはアイス、スノーだけでなく、刻々と変化する路面に対応しなくてはならない」。資料にそう記されるように、トーヨータイヤがオブザーブGIZ2を開発した理由は、さまざまな場面におけるウインタータイヤとしての性能を上げるのが目的だったという。
安心感が格段に違う
試走から受けた印象は、オブザーブGIZ2の性能の高さだ。最初に感心したのは、ステアリング・ホイールを左右いずれかに動かしたとき、すぐに路面をグリップして車体が反応する点だった。
じっさいにこの性能は、開発者が、力を入れたポイントという。そもそも従来から旋回性を重視して開発されていたタイヤというが、今回はコンパウンド(タイヤの組成)を見直し、より一層の性能向上を目指したそうだ。
グリップ性能が上がっているのは、従来商品と乗り較べるとすぐわかる。テストコースの小さなコーナーをまわっていくとき、従来製品だと、四輪が滑りぎみになる。アクセルペダルにのせた足の力をゆるめれば、ことなきを得るが、雪道での経験が多少なりとも必要となる。
対してオブザーブGIZ2は、4つのタイヤがしっかり路面をとらえていて、挙動が不安定にならない。安心感が格段に違うのだ。
もうひとつ、オブザーブGIZ2に感心したのは氷上を走ったときである。さきに触れたアイスドームとは、太陽光線をシャットアウトしたテスト用の大きな体育館みたいな施設で、水を張って夜間に凍らせ、床面をツルツルにしてある。
オブザーブGIZ2を履いたプリウスは、走り出しから快調で、速度をぐんぐん上げる。そして40km/hに達したところでおもいきりブレーキペダルを踏むと、軌跡をいっさい乱さず、20mほどで停止した。
おなじことを従来製品で試すと、加速は悪くないものの、停止するには35mぐらい要する。路面が凍結した一般道で使うには、この差は大きいだろう。
トーヨータイヤの開発者に訊くと「性能の違いは、従来と比べさらにやわらかい新素材をコンパウンドに混ぜているためです。ゴムの密着率を上げ、時間がたってもやわらかさを保つのが特徴です」と、話す。
性能を裏付けているもうひとつの要素が、新しいトレッドパターン(タイヤのトレッド部に刻まれている、溝や切り込み)である。3本の主溝を非対称パターンにして橫方向に大きい横溝を増やすことで、氷上と雪上の駆動力を上げているのだ。
さらに、タイヤの外側に多方向のエッジを入れて、わだち路での走行性を高める「バットレスエッジ」や、内側と外側のショルダーブロックにジグザグなスリットを入れた「バイティングエッジ」といった新しい技術が使われている。
クルマでもっとも重要な部品のひとつがタイヤだ。そのことはうっかり忘れがちであるが、雪道での体験を、今の時期に思い出しておくのは、けっして無駄なことではない。
次の冬がどんなふうになるかわからないけれど、スタッドレスタイヤの存在をおぼえておいたほうがいいのは間違いない。トーヨータイヤの新製品の試乗会は、それにあらためて気づかせてくれた。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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