コロナ禍前の水準には、ひと伸び足らず
text:上野和秀、AUTOCAR JAPAN編集部
【画像】マクラーレン・アルトゥーラ【細部まで見る】 全76枚
新型コロナウイルス感染症はいったん収まるかに見えたが、再び猛威を振るい始め、都市部では4月25日から3度目となる緊急事態宣言が発令。
当初の予定期間では感染拡大が収まらず、6月20日まで延ばされたのはご存知のことだろう。
宣言下でのセールスとなった5月は、感染の心配がなく“個”で移動できるクルマの有用性と、海外はおろか国内旅行への行きづらさの反動もあり、高価格帯の買い物が伸びる傾向に。その1つとして、クルマが選ばれていると分析されている。
輸入車の新規登録台数を見ると、5月は2万187台を数え、前年同月比で162.3%と大幅な回復になった。
過去の5月と比較してみると、2020年は1万2439台、コロナ前の2019年は2万3273台を登録。2021年5月を2019年の実績と比べると86.7%に留まる。
ひと月前の4月は、2021年を2019年と比べると93.2%だったので、5月は勢いがダウンした形になる。完全復活するには、もう少し時間がかかりそうだ。
それでも、第1回緊急事態宣言下の2020年5月と比べれば、ほとんどのメーカーが大幅回復に転じており、マイナスになったのはアバルト(同94.9%)、ロータス(同60.0%)、フェラーリ(同88.2%)、ランボルギーニ(同63.3%)の4社だけ。
一方で好調なセールスを記録しているのが、クロカン4駆を原点に時代に合わせて進化してきたランドローバーだ。
ランドローバー ラインナップの強み
ランドローバーは、本格クロカン4WDからプレミアム4WDまでの幅広いラインナップが、SUV時代にマッチした結果といえよう。
またレジェンド・ブランドの本物の4駆が、イヴォークなら495万円から、本格オフローダーのディフェンダーは551万円から買えるという身近さも見逃せない。
登録実績を振り返ると、コロナショックの間はマイナスとなったが、2020年10月には盛り返して前年同月比で155.8%を記録し、11月は150.7%と回復した。
2021年は、2月こそ伸び悩んだが3月から再びプラスに転じ、この4月は243.7%とジャンプアップ。5月は602台を登録し、466.7%をマークした。
ランドローバーの日本法人は、この結果について「昨年の5月は1回目の緊急事態宣言が発令されて社会活動が停止したことと、コロナ禍でイギリスでの生産が中断された状況もあり低調に終わりました。そのため今年は前年同期比で見ると数が増えています」と、冷静に分析。
それでもモデル別で見れば、「ディフェンダーの本格的なデリバリーが始まったことにより、好結果を牽引しました」と、ブランド力がぶれない本格オフローダーをラインナップする強みが出た形となる。
同じくイギリス車では、スーパーカーメーカーのマクラーレンが、5月の登録台数で19台と、高価格帯ながら前年同月比135.7%を記録。
さらに、4月~5月に正規ディーラーで実施された新型車「アルトゥーラ」のお披露目ツアーはカスタマーの反応が非常によかったという。
デリバリー開始はまだ先になるから5月の台数には含まれないが、2021年のキーモデルとなるこの軽量ハイブリッド・スーパーカーを、マクラーレン日本法人の正本嘉宏代表はどう見ているのか?
マクラーレン「内燃では得られぬエンゲージメント」
「ハイブリッドの場合は、内燃機関に対してバッテリーとモーターという避けられない重量増があります。これは、マクラーレンが徹底する軽量化とは対極に位置するもの。それらを積んだだけのハイブリッドでは、マクラーレンではなくなってしまいます」
軽量ハイブリッド・スーパーカー(PHEV)を名乗る新モデル「アルトゥーラ」について、正本氏はこう切り出した。
「“環境性能がちょっといいので、エンゲージメントが薄まりました”なんていう製品は出せないのです」
「マクラーレンが出す以上は、モーターの特性、バッテリーの特性をどのように入れ込んで、お客様に新たな価値を提供できるのか? その発想が、なによりもマクラーレン流だと思っています」
「そしてもう1つは、(他社の電動化とは)スターティングポイントが違うということ」
「この10年間にわたり蓄積してきたカーボンモノコックの技術によって、モノコックを徹底的にさらに軽量化して、バッテリーのコンポーネントをしっかり入れられるスペースを作りました。これによって、普通のメーカーでは目をつぶらなければいけない重量増を完全に相殺しています」
「例えば他のメーカーは、“パワーが上がりました、でも重くなりました”という感じ。それがマクラーレンでは重量増を相殺することで、バッテリーとモーターのいい部分をいかようにでも“自由に使う”ことができる」
アルトゥーラの実車を目にした顧客の反応はいいという。
「うちのお客様は、運転に対してこだわりの強い方が多いので、マクラーレン流のハイブリッドとはこうなんだというのを、試乗車が揃った際にはお乗りになって理解して頂くことが大事」
「これまでのオイルくさいマクラーレンとも違う、先進のシステムを使った“発想の新しさ”に興味をもつ方もいらっしゃる。社会的な地位が高いお客様もいますが、次世代のハイブリッド・スーパーカーならご自分の置かれた立場からも選びやすい」と語り、エコという言葉に囚われない電動モデルの登場に自信をうかがわせた。
日本におけるデリバリーが開始された暁には、どのように販売台数を押し上げるか注目される。
5月の登録台数 トップ10は?
最後に、5月の輸入車の登録台数ランキング、トップ10を見ておこう。
5月の最多台数となる4327台を記録したのはメルセデス・ベンツで、前年同月比では160.8%。連続首位記録を75か月に更新した。
2位争いは激化し、BMWの2606台(同152.8%)に対し、息を吹き返したフォルクスワーゲンは2603台(同162.2%)と追い上げ、わずか3台差で決着がついた。
4位にはアウディが1911台(同178.3%)で続く。
5位はボルボが1ランクアップし、1198台(120.3%)を登録。5位が定位置だったBMWミニは60台及ばぬ1138台(同108.8%)でポジションを1つ落とした。
フルラインナップの布陣で快進撃を続けるプジョーが1060台(同206.2%)を登録し7位に上昇。8位はプジョーと入れ替わったジープが977台(同143.7%)で位置する。
9位には、新型ルーテシアのデリバリーが続くルノーが、625台(同199.0%)を登録し先月から1つポジションをアップ。10位には進撃を続けるランドローバーが602台(同466.7%)を登録して先月の13位から3つポジションを上げた。
このトップ10の登録台数をコロナ前となる2019年の5月と比較してみると、プラスに転じたのはランドローバー(254.0%)、プジョー(143.6%)、ルノー(126.8%)、シトロエン(118.8%)と、好調メーカーだけ。
このほかのメーカーのほとんどは2019年比では90%台に留まり、本当の意味での復活にはより長い期間を必要とするように見える。
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