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BRZが徹底した軽量化を実現。激化するスーパー耐久ST-QクラスのGR86とBRZの戦い

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BRZが徹底した軽量化を実現。激化するスーパー耐久ST-QクラスのGR86とBRZの戦い

 10月15~16日に岡山県の岡山国際サーキットでENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第6戦『スーパー耐久レースin岡山』。スーパー耐久機構が認めた開発車両が参加できるST-Qクラスは2022年、カーボンニュートラルへの挑戦とともに盛り上がりをみせているが、そんななか、次期市販車の開発というミッションも背負い戦っているのが、ORC ROOKIE Racingの28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Concept、そしてTeam SDA Engineeringの61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptの2台だ。今回の岡山では、両車の開発により今シーズンで最も激しい戦いが展開されるかもしれない。

 2022年のスーパー耐久ST-Qクラスに投入された28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptと61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptは、もちろんベースは兄弟車であるトヨタGR86とスバルBRZだ。両車ともカーボンニュートラル燃料を使い、モータースポーツの舞台で実証実験を行うとともに、ともに競い合うことで両社の技術開発を加速させるのが狙いだ。

止まることのないスーパー耐久ST-Qの車両開発。トヨタとスバルが第4戦での進化ポイントを説明

 そんな2台は、3月に行われた第1戦鈴鹿からプロドライバーとメーカー開発ドライバーを組み合わせたドライバーラインアップで競い合い続けてきたが、トヨタ製の1.4リッターターボエンジンを積むORC ROOKIE GR86 CNF Conceptに対し、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptは第2戦富士を前にドアやボンネットをカーボン化するなど、お互いが市販の開発部門、試作部門などが携わり、速さを鍛え上げ続けてきた。

 ただ第3戦SUGOでは、28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptが車両素性の把握のため欠場。第4戦オートポリスには出力向上、ミッション強度アップ、剛性アップなどを実現し復帰したが、トラブルに見舞われストップ。一方の61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptはエアコンの改良やセットアップ改善などを施し、きっちりと完走。ST-Qは順位を争うものではないが、第1戦こそGR86が制したものの、第4戦まではBRZが3勝(1不戦勝)という展開となっていた。

 しかしそんな勢力図が大きく変わったのが9月の第5戦もてぎ。ORC ROOKIE GR86 CNF ConceptはiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)に近いものを投入したほか、レースウイーク中に大きなセットアップ改善を実現。序盤から豊田大輔が井口卓人と好バトルを展開すると、その後は、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptがレースウイーク中に車両へのアイサイト装着が発表されたTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptをリード。18秒差をつけORC ROOKIE GR86 CNF Conceptが先着を果たしてみせた。さらに、顕著だったのが予選でのタイム。今季、予選ではGR86が参戦したレースでは全勝ではあるものの、第5戦ではGR86の蒲生尚弥がBRZの井口に対し、1秒以上の差をつけたのだ。

 迎えた第6戦岡山に向けても、2台ともに開発の手を止めていない。28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptは、ついにドアのカーボン化を実施。また追加ブレースによる剛性アップ、ABSなどの制動コントロールの向上を行い、軽量化とコーナリング性能アップを果たした。また自動ブリッピングやアンチラグのレベルアップを行い、ドライバーが安心して速く走るクルマの実現を目指した。

 当然、これらの改良は10月13日(木)にスタートした特別スポーツ走行からドライバーたちがトライを行い、フィードバックを行っているのだが、ORC ROOKIE Racingのピットでは手ごたえ以上に「BRZが速すぎる」という声が聞こえてきた。実際10月13~14日の走行におけるタイムは超僅差。聞けば「BRZは60kgも軽くしてきたらしい」という。

■もてぎの悔しさを原動力に徹底した軽量化に取り組んだBRZ
 しかもパドックで聞くとBRZはなんと、モータースポーツでの活用を目指し第5戦もてぎから鳴り物入りで投入したアイサイト、さらにこれまでチューニングを行ってきたエアコンも外しているという。スバル研究実験センター長でもあるTeam SDA Engineeringの本井雅人監督に聞くとこれを認めた。その改良の原動力となったのは、やはり第5戦もてぎでの悔しさがあったのだという。

「前回のもてぎでは圧倒的にGR86が速くて、非常に悔しい思いをしました。我々もノートラブルで、本当にうまく走ることができたんです。僕たちの目標は完全に達成することができたのに、あれほど負けてしまった。そこで今回は『何がなんでもクルマを速くしよう』、『勝とう』という目標で挑んでいます。特に予選は今季一度も勝っていないので、『予選で勝てるクルマを作ろう』としています」と本井監督は語った。

「速さは軽さとパワーなので、その点についてはやるしかない。『チーム全員でフルスイングしよう』と盛り上げてきました」

 この目標に向けて、チームは量産車開発の手法を用い、なんと200カ所以上の軽量化リストを作成。アイサイトを外したりというだけではなく、グラム単位での軽量化に取り組んできたのだとか。本井監督も自ら「スーパーGT第7戦オートポリスをテレビ観戦しながら部品を削ってました(笑)」と取り組んできたという。驚きなのは前後の六連星のエンブレムまで変更されているということ。材質を変えてまで徹底した軽量化を行った。

 さらにパワーの面でもハイカムを投入したほか、エキゾーストマニフォールドの長さをヘッドの内側まで追求して性能にこだわってきた。またラム圧の向上によりパワーアップを実現。上がったのは「8馬力」だというが、これも執念でしぼり出した8馬力だ。

 近年のモータースポーツ界ではレギュレーションがあるものの、少しでも軽くし、パワーを追求するのは常道の手段。しかし本井監督は「量産車開発でも、グラム単位での軽量化を行ってお客さまにクルマをお届けしているのはまったく同じなんです。みんなが執念でこうして軽量化にやり切ってくれたことは、エンジニアの育成に当然繋がっていきますし、今後のスバル車全体にも繋がっていって欲しいですね」とTeam SDA Engineeringが参戦に向けて掲げる市販車の開発エンジニアの育成に繋がっていると話す。

「やっぱり、負けると悔しいんですよね。僕はかつて、ランサー・エボリューションとの開発競争のただ中にいたことがあるんです。あの頃も『負けて悔しい!』という思いを味わいました。いまの若手は開発のなかでそういう思いを味わったことがないと思うので、その意味でも良いのではないかと思っています」

 モータースポーツという戦いの場を通じたアジャイルな開発の実現こそ、ST-Qクラスの真骨頂。トヨタ、スバルのエンジニアたちが競い合うORC ROOKIE GR86 CNF ConceptとTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptの対決は、今回の岡山、そして第7戦鈴鹿へその激しさを増していくことになりそうだ。その恩恵を得るのは我々ファン、そして将来の市販車に乗るユーザーになるだろう。

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みんなのコメント

2件
  • 車体はワンオフでほとんどカーボン化
    Egも市販とは全く違う。
    ようするにレーシングカーをハチロクとか呼んでるだけ。
    ワークス車は2億円と言われるのもしゃーない
  • スイフトスポーツの方が戦闘力高いから、86/BRZ乗りは勘違いしないように。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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