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俳優・飯島寛騎の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.13 ホンダNS400R

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俳優・飯島寛騎の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.13 ホンダNS400R

1970年~80年代に発売された国産旧車が、“絶版車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と注目する絶版旧車の魅力を、俳優の飯島寛騎と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回はあの人気バイクマンガに登場したマシンとしてマニアックな人気を誇る、かなりレアなモデル、ホンダ「NS400R」に注目。

WGP500チャンピオンマシン直系のレーサーレプリカ

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河西啓介(以下、カワニシ):飯島寛騎くん、はじめまして。寛騎くんは2016~17年に放映された『仮面ライダーエグゼイド』の主役として俳優デビューしたんですよね。役者としてのスタートが“ライダー”ですから、バイクとは縁がありそうですね。

飯島寛騎(以下、飯島):子どもの頃から、バイクは大好きだったんです。父がカワサキ、ホンダ、ヤマハ、スズキと、国産全メーカーのモデルを乗り継ぐようなバイク好きで、影響は受けましたね。18歳で普通二輪免許を取って、今は大型免許も持っています。

カワニシ:なんと、カワサキZ500FXを所有しているそうですね。まさに絶版旧車として人気のモデル。20代の若さでFXを選ぶなんて、50代の僕としては嬉しいなぁ。

飯島:やはり父の影響かもしれないけど、1970、80年代のバイクが好きなんですよ。“バイクらしい”というか、堂々とした感じが。

カワニシ:今回はそんな絶版旧車に乗ったり、見たりして語ろうという企画です。やって来たのは1970~90年代の絶版車を幅広く展示しているショップとしては日本最大級の「バイク王つくば絶版車館」。数百台におよぶ在庫車の中で、乗らせてもらうのはホンダNS400R です。

飯島:おお、いわゆる“レーサーレプリカ”ですね。僕、こういうタイプに乗るのは初めてです。楽しみだなあ。

カワニシ:NSR400Rは、1983~84年の二輪ロードレース世界選手権500ccクラスで、2年連続メーカーチャンピオンを獲得したホンダのレーシングマシン「NS500」の技術を継承して1984年に登場。スリムでコンパクトな水冷90度V型3気筒エンジンを搭載し、パワフルな4気筒エンジンを統制するヤマハRZV500やスズキRG400/500Γに対して運動性で勝負するというコンセプトは、ワークスNSRと同様のものでした。

飯島:僕、じつは2ストロークのバイクに乗るのも初めてで……。4ストローク・エンジンとはかなり違うんですよね?

カワニシ:低回転域ではトルクが細く、回転を上げて「パワーバンド」と言われるゾーンに入るとパワーとトルクがドーンと二次曲線的に立ち上がる、というのが2ストの特徴。だから上手く走らせるにはちょっと慣れが必要なのですが、NS400Rの場合は当時の2スト・レプリカのなかでは比較的マイルドなキャラクターなので、慎重に走らせれば大丈夫ですよ。早速乗ってみましょう。

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カワニシ:後ろから付いていきましたが、寛騎くん、運転上手いですね。乗り慣れているという感じでした。さすが仮面ライダー。

飯島:エグゼイドに出てくるバイクはオフロード車だったけど、NS400Rも仮面ライダーのマシンにぴったりかもしれないですね。このカラーリングもカッコいいなぁ。

カワニシ:これは当時、HRCワークスマシンのスポンサーで現在は消滅した英国の煙草とビールのブランド、「ロスマンズ」カラーです。グラフィックから「Rothmans」のロゴまで忠実に“レプリカ”しているのが、あの頃のバイク小僧にはたまらなかったんです。

飯島:こういうレーシーなバイクは革ツナギが似合うんだろうけど、逆にバイクが派手だから、今日みたいな色は抑えめでカジュアルなファッションで乗るのもいいと思うんですよ。若い人が乗ったらカッコいいと思います。

カワニシ:2スト400ccというと“ジャジャ馬”というイメージかもしれないけど、NS400Rはホンダらしいというか、わりと優等生的にしつけられているんです。この個体はノーマルマフラーで排気音も抑えられているし、排気煙も気にならない。さらっと街乗りできそうだし、ツーリングにも行けそう。

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カワニシ:確かにそうですね。ただし当時レプリカに夢中になった若者にとっては、やはり車検のない250ccの維持費が安かったこと、400/500ccはパワーがあり過ぎて、公道では手に負えないイメージだったことから、NS400Rも販売面では振るわず、一代限りで生産終了となったんです。

飯島:そうなんですね……。でもそういう意味では、希少性は高いということですかね。この個体はほとんどノーマル状態だし、程度もいいから、価値がありそうですね。

カワニシ:いい状態で中古市場に出ているのは数台でしょうね。相場的には、200万円前後というところでしょうか。ただしNS400Rって、じつはあることから、マニアックな人気があるモデルなんです。

飯島:えー、なんだろう……。

カワニシ:80年代に大ヒットしたバイク漫画『バリバリ伝説』。その主人公の巨摩郡(こま・ぐん)が作品中で乗っていた愛車がNS400Rだったんです。グンが通う大学裏の山道で行われたバトルで、4ストが有利な中低速カーブが連続するコースにも関わらず、グンの駆るNS400Rが圧倒的な差をつけて勝ってしまうというシーンがあって。だから僕ら、当時のバイク少年たちはNS400Rを見ると自然に、「グンのバイクだ~」と思ってしまうという。

飯島:アラフィフあるある、なんですね。じゃあ、間違いなくウチの父も読んでいたはずだなぁ。今度「グンのバイク乗ったよ!」って自慢しようっと(笑)。

飯島寛騎(いいじまひろき)1996年8月16日生まれ。北海道出身。2016年『仮面ライダーエグゼイド』にてテレビドラマ初出演・初主演を務め、俳優デビュー。近年の主な出演ドラマに「僕らの食卓」(W主演・2023)、「シンデレラ・コンプレックス」(W主演・2024)、「御社の乱れ正します!」(2024)など。2024年10月18日からは、主演を務めた「ぼくとぼくが好きな彼と、君と。」がBUMPで全話配信中。

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Vol.1 ホンダCBX400F
Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)
Vol.3 カワサキ500SSマッハIII
Vol.4 カワサキ650-RS W3
Vol.5 ヤマハ RD400デイトナ・スペシャル
Vol.6 スズキGT380
Vol.7 ホンダ ドリームCB750 FOUR
Vol.8 カワサキ900 スーパー4 Z1ウエマツ30周年モデル
Vol.9 カワサキSS350マッハII
Vol.10 ホンダドリームCB400フォア
Vol.11 ヤマハRZ250
Vol.12 ホンダCBR400F

文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・バイク王つくば絶版車館

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