現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > リカルド・ゾンタ、涙のポール・トゥ・ウインも届かず。シボレーの28歳が2度目の王座に/SCB最終戦

ここから本文です

リカルド・ゾンタ、涙のポール・トゥ・ウインも届かず。シボレーの28歳が2度目の王座に/SCB最終戦

掲載 1
リカルド・ゾンタ、涙のポール・トゥ・ウインも届かず。シボレーの28歳が2度目の王座に/SCB最終戦

 都合7名のタイトル候補が雌雄を決した2023年SCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”の最終第12戦が、12月15~17日にサンパウロのアウトドローモ・デ・インテルラゴスで開催され、予選の数時間前に困難な瞬間を経験したTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営のリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が逆転王座に望みを掛ける最速タイムを叩き出すと、涙を隠さず「自分の感じている感情を言葉にするのは難しい」と、そのままポール・トゥ・ウインを達成してみせる。

 しかし唯一、自力チャンピオンを決める立場を維持した選手権首位のガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が、その初戦で3位表彰台に上がると、続いて前戦で初優勝を果たしていた42歳のフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)が連勝を飾った今季最終ヒートでは、直接の対立候補となったシリーズ3連覇王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が12位に終わったことで、カサグランデ自身もポイント圏外フィニッシュながら2021年以来となる2度目のチャンピオンに輝く結末となった。

ブラジルも「新時代」だ。新規定導入で2025年よりSCBもSUV化『トヨタ・カローラクロス』参戦へ

 新たに有効ポイント制を導入し、下位4戦切り捨ての結果286ポイントで最終戦に到達した28歳のカサグランデを先頭に、地元サンパウロ出身の39歳セラ以下、史上最年少SCBタイトル記録保持者でもあるフェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)や、“予選最速男”ことチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)、そして自身初のファイナリストになったラファエル鈴木(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)に、王者ルーベンス・バリチェロ(モービルエール・フルタイム/トヨタ・カローラ)と、同じく元F1ドライバーのゾンタという面々がインテルラゴスに乗り込んできた。

 そのレースウイーク開幕に合わせ、シリーズは2025年より導入する新車両規定『Audace SNG01』の規約とコンセプトを一部修正し、世界最大級の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミッタル社製の鋼管パイプフレームを採用した新設計シャシーに、こちらも新開発の直列4気筒2.1リッターのターボエンジンを搭載する車両のベースモデルを「SUVとする」ことをアナウンスした。

 また同規定はファンとの双方向性を重要視していることも特徴で、マシンにはクアルコム社製モバイルCPUのスナップドラゴンによる高速5G対応の通信機能が備えられることも受け、日曜のインテルラゴスではファンやプレスルームを対象に同社が提供するWi-Fi 6EとWi-Fi 7のテクノロジーも試験導入された。

 従来の2.4GHzおよび5GHz周波数帯の通信速度を最適化し、将来的には拡張現実(AR)メガネとマルチカムを併用することで、観客がドライバーの隣に仮想的に座っているかのようにレーシングカー内部から360°ビューが提供される、臨場感あふれるリアルタイム5G伝送も計画されている。

■元フェラーリF1のふたりがポディウムで並ぶ

 そんな未来を予感させる最終決戦の走り出しは、ポイントリーダーのカサグランデがネルソン・ピケJr.(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)らを抑えて順当にトップタイムを刻むと、予選ではラファエル鈴木とカサグランデを凌ぐ安定したパフォーマンスで、ゾンタが今季2度目、SCBキャリア通算7回目のポールポジションを獲得した。

「達成された偉業に対して神に感謝したい。今日は本当にたくさんのことが起こっていたんだ。実は早朝に起きた後、僕の目は完全に腫れていてドライブが可能か不安視されるような状態だった」と、これでボーナスポイント2点を獲得しバリチェロと並ぶランク6位に浮上したゾンタ。

「それにFPではクルマの調整にも失敗し、ポールを手に入れたのは『神の手』としか言いようがない。物事は正しい方向に進んではいなかったが、今はチームが明日の勝利を目指すために最速のクルマを与えてくれたとしか考えられない。誰もが僕を支えてくれる……これだけで僕は強くなれるんだ」

 そんな感情に満ちた酷暑の日曜は、そのまま30分+1周の幕開けをゾンタが制し、今季3勝目(インテルラゴスで2回目)、ストックカーでは通算11勝目を“ライト・トゥ・フラッグ”で飾ってみせる。

 その背後では、今季初表彰台となったフリオ・カンポス(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)を挟み、最終周まで鈴木とのバトルを演じ切ったカサグランデが3位表彰台をもぎ取り、シリーズ“3冠”のセラが5位に終わったことで、最終レース2では逆転チャンピオンに向けセラは勝利が必須となり、その上でカサグランデがノーポイントに沈む必要がある厳しい条件が突きつけられた。

 迎えた決着の最終ヒートはファイナルラップのセーフティカー介入が流れを決定づけ、ここまで義務ピットを引っ張っていたマッサがイエロー掲示直前に作業へ飛び込み、あのF1時代以来となるインテルラゴスで15年ぶりの勝利を手にすることに。さらにマルコス・ゴメス(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)を挟んでバリチェロが3位に入り、表彰台で元フェラーリF1ドライバーが並び立つ演出で、跳ね馬の後輩を祝福した。

 さらにその後方では、無用なリスクを避けるべく保守的な展開で21位チェッカーを受けたカサグランデに対し、セラも12位フィニッシュが精一杯の展開となり、シボレーをドライブするパラナ州出身の28歳が自身2度目のシリーズチャンピオンを手にした。

「もう疲労困憊だ(笑)」とサンパウロ南地区の猛暑にも体力を奪われたと明かした新チャンピオン。「命という贈り物と、ふたたびここでこの挑戦をする機会と能力を与えてくださった神に感謝しなければならない。(初タイトルでは)もっと緊張したが、今回はもちろん緊張しつつ、うまく状況をコントロールすることができた。僕らは2度のチャンピオンだが、ここでは立ち止まらない。さらなる挑戦を目指すさ」

 これで年間22レースのうち24名が表彰台を経験し、うち12名が勝利の美酒を味わったシーズンは、トヨタとシボレーが12勝ずつを分け合う拮抗した勢力図を保ち続ける結果となり、来季2024年3月初旬の開幕戦ゴイアニア、アウトドローモ・インテルナシオナル・デ・アイルトン・セナでも、このパフォーマンス・バランスが維持されることとなりそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
くるまのニュース
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
レスポンス
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
カー・アンド・ドライバー
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
日刊自動車新聞
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
motorsport.com 日本版
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
AutoBild Japan
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
VAGUE
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
Webモーターマガジン
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
WEB CARTOP
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
くるまのニュース
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
バイクのニュース
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
Auto Prove
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
カー・アンド・ドライバー
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
くるまのニュース
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
GQ JAPAN
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
  • mhs********
    元F1ドライバーのブラジリアンの大会?凄いメンツ、そりゃあ人気がありますね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村