ドイツからモナコまで高速バスで移動!
ドイツ在住でモータースポーツをメインに取材する池ノ内みどりさん。愛車のBMW「M240i xDriveカブリオレ」で東奔西走しています。今回はEVレースの世界選手権である「フォーミュラE」取材のため、モナコへ。しかし、愛車ではなくあえて長距離バスで現地入りすることに。海外の長距離バス事情とは?
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ワインディングから海沿いまで美しい景色とともに走れる
ボンジュール! 約1年ぶりに行ってまいりました、世界中のセレブリティが集う国、モナコ共和国。それもモンテカルロを訪れたのは、オーストリアの大学に通っていた頃が最後なので、一体何年ぶりなのでしょうか。
2022年は、ル・マン24時間レースの翌週にイタリア・イモラサーキットでの取材があり、ル・マンから南下してリヨンからプロバンス地方、そして美しいコートダジュールの海岸沿いをドライブ。ニースからモンテカルロのものすごい(笑)峠を駆け抜け、そのままイタリア領へ入って高速道路を使わずに海岸沿いをジェノバまで走ってイモラへと向かうという旅でした。
猛暑だったため、エアコンをガンガンに効かせても日差しで暑さがたまらない、日本と同じような気候。オープンにして走るという当初の予定はあっけなく散り、しばらくはもう勘弁してほしいと思ったものですが、1年経ったらすっかりあの辛さは忘れていました。
高騰するガソリン代などもあり愛車での移動を断念……
今回もオーストリア、スイス、イタリア、フランスのアルプスを越えてモナコまで行くぞ! と随分前からグーグルマップを見ながら、どの峠越えで行こうか楽しみにしていたところでした。
基本的に自走でどこまでも行きたい派の私ですが、モナコまでのざっくりとしたガソリン代や高速料金を計算してみると、どえらい金額になってしまいそうな予感。ヨーロッパは日本よりもガソリンが高騰しており、ドイツでは私の入れるレギュラー(E5)がリッターあたり約1.90ユーロ前後(約285円!)。一時期よりもごくわずかですが、安くはなっているのですが、恐ろしい価格です。
ひとりで好きなときに好きなところへ行く。つまり、気まぐれでわがままなのが私にとってのドライブなので、助手席に誰かを乗せて経費を半分にするという作戦は、束縛されるという意味で助手席の方にも悪いので基本的に考えていません。
今回、モナコへ行くのはフォーミュラEという電気自動車レースの取材のため。レースが開催されるのは、F1のモナコGPと同じコース! 電気自動車でレースなんて……と思われるかもしれませんが、想像以上に迫力満点のレースです。2024年には東京での開催も予定されているので、私はとても楽しみにしています。
モナコの最寄りの大きな空港や駅は、隣国フランスのニースになります。ミュンヘンからの飛行機や電車の格安チケットがないか、毎日何度も検索しましたがどれもこれもかなりの高額とありトホホ。しかも、モナコで宿泊なんて、高額過ぎてムリ!
ん? もしかして高速バスなら行けるのでは? 以前に往復500kmくらいで利用したことのある高速バス「Flix Bus」が、ヨーロッパ各地に路線があることを思い出しました。モナコ行きはなかったものの、ニース行きを見付けて即予約したのです。
定時運行のため高速バスの運転手も苦労している
ドイツ・アウトバーンの普通自動車の通行料は無料ですので、インターチェンジも料金所もありません。しかし、今回通るイタリアやフランスには日本にそっくりな料金所があります。ひとりで運転して外国へ行く際には、全く理解できない言語の国の料金所は恐怖でしかありません。
多くの支払機ではドイツ語や英語に変換できるのですが、そんなにのんびりもしていられず。イタリアやフランスの方はクラクションを何度も鳴らして急かしてくるので、とても焦るのです。今回はそんな恐怖もなく、バスの運転手さんにお任せです。
ところでこの緑色の「Flix Bus」ですが、運転手さんは定刻で運行するために頑張ってくださっているので、かなり頻繁に車線変更を繰り返します。普段アウトバーンでその後ろや横を走っていると正直イラっとすることが多く、実際に自分が乗るまでこのバスにはあまり良い印象はありませんでした。
しかし、自分がいざ乗客として乗っていると、車線変更をするのも仕方がないなという気分に。帰りの便は一番前の席が取れたので景色も他のクルマの運転マナーもよく見られたのですが、まぁ、びっくりするくらいにノロノロ運転のクルマも多いこと。
ドイツではメルセデスやMANのバスが主流なのですが、この「Flix Bus」では数多くの「イルサール(irzar)」が使用されていました。スペインに古くからあるバスメーカーだそうですが、私は初めて知りました。行きのミュンヘンからミラノの便はこのイルサール製のバスに乗りましたが、私の席は後輪のちょうど上、エンジンも近い場所だったので、正直とてもうるさかったです。
また、このイルサールバスは座席間が非常に狭いのもキツかったですね。それに対してミラノからニースの便はメルセデス製のバスで、座席間もゆったりしておりとても快適でした。一睡もできなかったミラノまでがウソのように、その後はよく眠りながらニースに到着。帰りの便もメルセデス製のバスを期待したのですが、残念ながらイルサールバス……。
出発までのわずかな時間でニースの街並みを堪能
フォーミュラEの取材は早朝から夜までかなり大変でクタクタで、閉店間際のスーパーマーケットに駆け込んで夜ご飯を調達するのが精いっぱい。ですが帰国の日は20時発の便を予約していたので、チェックアウト後は荷物を預けてすぐに観光へ。ニースは過去に何度か訪れているので多少土地勘もあり、適当にブラブラできました。
裏通りの地元の方しか行かないようなパン屋さんに寄ってのんびりコーヒーとパン、ケーキを堪能。観光地ではない朝市を散策し、適当にトラムに乗って面白そうな場所で降りているとあっという間に時間が過ぎてしまい、心残りではありますがニース空港のバス乗り場へと向かいました。
1000kmを超えるひとりドライブは確かに疲れますが、それでもやっぱり自分で運転する楽しさや喜びには勝てませんね。来年、もしモナコへ取材に行く機会があれば、やはり自走で行こうと心に誓ったのでした。
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