最もエクストリームなウラカン
執筆:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
【画像】最後のNA V10 ランボルギーニ・ウラカンSTO 競合する488、911、765と比較 全123枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
現在のラインナップで、ランボルギーニのエントリーモデルに位置づけられるウラカン。そのグランドフィナーレを飾るのが、このSTOとなる。輝かしい歴史を刻んだV型10気筒のミドシップは、電動化技術の進展とともに役目を終えようとしている。
モデルの最後だからといって、湿っぽくならないのがイタリア人。極めて鮮烈な見た目を持つモデルとして登場した。サーキットへ焦点を当てた贅肉のはぎ落とされた仕様で、最もエクストリームなウラカンだといって間違いない。
8年間のモデルライフを通じて、ウラカンは興奮に不足することはないモデルだった。最新のSTOは、相当な仕上がりだといっていいだろう。
ちなみに、STOとはスーパー・トロフェオ・オモロガータの頭文字。ランボルギーニが展開する、ワンメイクレース・マシンからヒントを得ている。
それを示すように、カーボンファイバー製のボディパネルを身にまとい、空力的なアップグレードにも余念はない。サスペンションも専用チューニングが施されている。ウラカンのパフォーマンスを追求するうえで、ランボルギーニの心残りはなさそうだ。
ハードコアな性格付けを象徴するように、容姿は極めて鮮烈。軽量なカーボンファイバー製クラムシェル・フロントノーズを備え、アグレッシブなエンジンカバーとリアウイングにも、同じ素材が用いられている。
280km/hで420kgのダウンフォースを生成
フロントガラスは肉薄化され、乾燥重量は1339kgに仕上がっているという。標準的な後輪駆動のウラカンより、50kg以上もダイエットしたことになる。
空力特性も見直され、手動で調整できるリアウイングを最も効く状態にすれば、280km/hで420kgのダウンフォースを生成するという。それでいて空気抵抗は、ウラカン・ペルフォルマンテより最大37%以上も向上させている。
究極のウラカンとして、誇らしい数字だ。サーキットを走らない限り、この数字を実感することはできないかもしれないが。
お読みいただいた方もいるかもしれないが、すでにAUTOCARでは、ウラカンSTOをイタリアのヴァレルンガ・サーキットで試乗済み。余分な贅肉が削られ、エアロキットが目に見えない力でウラカンを支え、大きな感銘を受けている。
ポルシェ911 GT3やマクラーレン765 LTに通じる、モータースポーツ・スピリットを体験させてくれた。サーキットでは、高い評価を得ている。
といっても、ウラカンSTOもナンバーを取得する公道モデル。通行人を驚かせるようなカーボン製ボディで、ラップタイムを0.1秒削ることを1番の目的にしているかもしれないが、実際は一般道を走る時間の方が長いはず。
ランボルギーニですら、サーキットを熱心に走行するオーナーは、全体の3分の1程度に留まるだろうと考えているらしい。まあ、コレクターの手に渡れば、ガレージで眠っている時間の方が長くなるのだと思うけれど。
公道ではレーシングカーが紛れ込んだよう
やはり、STOでも公道での試乗は外せない。英国の劣悪な舗装状態の道路に対してどんな対応を見せてくれるのか、今回は確かめてみたいと思う。
公道で見るウラカンSTOは、正直、場違いにも感じてしまう。巨大なリアウイングと、ルーフ上部に備わるシュノーケルが勇ましい。エンジンは、リアウイング側に設けられたダクトから吸気しているため、シュノーケルの効果は定かではないけれど。
張り出したフロントのスプリッターは、路面ギリギリ。日常の交通に交わると、レーシングカーが紛れ込んだようにしか見えない。
ドット柄のグラフィックは好みが分かれそうだが、そのオプションを選択しなかったとしても、どこを走っても注目を集めるに違いない。アフターマーケット・パーツで着飾ることも不要だろう。
ルーバーが切らたエンジンカバーがリアに載り、車内からの後方視界は絶望的。とはいえ、ドライバーの前方視界は素晴らしい。
インテリアは、アルカンターラで仕立てられたステアリングホイールやダッシュボードと、カーボンが露出したドアパネルなどで構成され、レーシーな雰囲気を作っている。車内のドアノブは、ファブリック製のベルトだ。
インフォテインメント用モニターも備わり、アップル・カープレイにも対応する。現代的な運転環境も忘れてはいない。
この続きは後編にて。
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