デザインもいいコンパクト・セダン
積載の多様性はハッチバック(HB)車に及ばないが、独立したトランクルームを持つセダンは、4名乗車の快適性と荷室容量の両立に優れた車体形式でもある。
【画像】Aクラス・セダンと、A/B/Cクラス【デザインを比べる】 全165枚
また、車体後半分の骨格部の構造は、HBよりも剛性・遮音性などで有利。広さとは質の異なる寛ぎを求めた車体形式と言ってもいい。
「Aクラス・セダン」は、その名のとおりにAクラスHBに対してリアオーバーハングを拡大してセダンとしたモデルである。
車体サイズは国産車ではシビックやマツダ3と同等となるが、トランク部の存在感を示すリアデッキ周りのデザインなど「3BOX」の据わりのいい佇まいが印象的だ。
上級セダンに比べればAクラスらしくカジュアルな雰囲気も濃いが、最近のセダンで流行りのファストバック風スタイルに流されていない。
そちらはAクラスの4ドアクーペ版となる「CLAクラス」が受け持つので、Aクラス・セダンは“セダンの本質”で纏めたと理解していいだろう。
改良新型ディーゼル仕様に注目
MCの内容はAクラスHB/Bクラスと共通。車載ITシステムのMBUXや安全&運転支援システムのアップデートなどが施され、ナビにはモニターに映し出された前方風景で進路指示も行えるARナビも採用された。
AMGモデルを除いたバリエーションは、ガソリンの1.3Lターボとディーゼルの2Lターボの2グレードで、ともにFWDのみの設定。試乗モデルはディーゼルの「A 200 dセダン」である。
A 200 d(HB)対比の車重増はわずか10kgとはいえ、最高出力はNA仕様ガソリン車なら1.8L級相応の150psであり、パワーウェイトレシオは10kg/psでしかない。
プレミアムを求めるメルセデス車、あるいは、走りのよさや快適性を求めるセダンとして選ぶには物足りなさを覚える数値だが、心配は無用である。
最高出力に比べて圧倒的な大トルクのディーゼル。最大トルクは、ガソリン車なら3.5L級に匹敵するのだ。
レブリミットはメーター読みで4500rpm強。最近のディーゼルでは標準的であり、8速DCTの変速制御の巧みさもあり、狭い回転レンジを使い小気味よいドライブフィールを示した。
巡航回転数は1500rpm前後。加速では大トルクで強引に巡航ギアを維持する訳でもなく、比較的早いタイミングでダウンシフトを行う。
加速・ハンドリングを分析
加速の立ち上がりから踏み込み量相応のトルクに至るまでの繋がりは滑らかであり、力強さと伸びやかさを上手く両立している。
大トルクの低中回転重視でも程よく「回す心地よさ」が織り込まれていた。
俊足とかスポーティといった付加価値を求めるモデルではなく、ゆったりとして実用性の高いパワーフィールであり、市街地での扱いやすさや高速・山岳路での余裕が特徴。“落ち着き”と“ゆとり”は、セダンのキャラクターにも似合っている。
ハンドリングは、軽快感・切れ味を抑え気味にして操舵に穏やかに追従するタイプ。FWD車としてはロール軸の前下がりは少ない。要するに、タイトターンでも前のめり姿勢になりにくい。
だからといって、サスを硬めて姿勢変化を抑え込んだ印象もない。
同形式のサスを採用するモデルでもしなやかなストローク使いで、なおかつ車軸規制がしっかりしている。回頭とロール、車両全体の旋回力の発生が同時進行していくような感じ。
乗り心地について
FWD車としては後輪に荷重が掛かる感覚が強めで、それも「いい味」を出している。
4輪のグリップバランスが大きく乱れることもなく、乗せたいラインに舵角を入れればいい。
高速直進でもコーナリングでも据わりのいい操縦感覚であり、姿勢やグリップバランスを整えるための修正・補正は必要最小限で済む。
ドライバーには御しやすく、同乗者は“安心感を覚える”操縦特性といえる。
乗り心地は、硬すぎず柔らかすぎず。
路面うねりなどの上下荷重やロール量からすれば締まったアシなのだろうが、サスの動き出しが滑らかつ穏やかなので柔らかく感じられる。
“柔軟さを纏った強靭さ”と評してはちょっと大袈裟のような気もするが、肌触り良く雑味の少ない乗り心地である。
内装・後席をチェック
メーターにも多重表示可能な大型のディスプレイを用いてグラスコクピット感を高めたインパネ周りは、Aクラスに共通した設計。セダンらしさは後席周りが要点になる。
居住性に影響の大きいホイールベースは、メルセデス車のセダンではAクラスの上に位置するCクラス・セダンよりも135mm短い。だが、トウボードから後席ヒップポイントまでの有効室内長はほとんど変わらない。
一回りコンパクトでも居住性はCクラス・セダン相応である。
この辺りはフロントピラーと前車軸の位置関係で一目瞭然だが、横置レイアウトのFWD車のスペース効率のよさによる。
後席の頭上空間に配慮したルーフデザインもあってヘッドルームも問題ない。後席からの見晴らしや閉鎖感はハイトパッケージングのBクラスには及ばないまでも、標準体型の男性が4名乗車で長距離ドライブをするにも不足ないキャビンだ。
なお、後席にはトランクスルーが採用され、箱物積載ではHBに及ばないものの、荷室奥行き拡大で長尺物の積載にも対応できる。コンパクトなセダンだが、実用への気配りの利いた設計だ。
価格が近いA、B、C
「A 200 dセダン」は纏まりのいいモデルだ。纏まりが良すぎて印象が薄いほど。そこがいい。
あざとく何かを主張せずに基本を押さえたウェルバランスはメルセデス車に共通した魅力であり、“セダンの本質”とも合致している。
反面、網羅的に高水準で纏めれば相応に価格も高くなる。実用性基準の単純なコスパ評価や“一点集中型”の投資価値には非効率。メルセデス車に対する質・信頼に基づくウェルバランスだからこそ成り立つ価格であり、納得もできるわけだ。
同パワートレインのA/Bクラスではほぼ同額。選び分けの決め手は実用性と外観などの嗜好的要素。
セダンを選ぶ理由は冒頭で述べたとおりで、大差ないとはいえ「静粛性」や「走り」の質感ではセダンが優位。ある意味で、メルセデス車を選ぶ理由を1番感じられる選択である。
ちなみに、Cクラスベーシック設定となるC 180アバンギャルド(ガソリン車)との対比では、価格は26万円安。走りの質感ではCクラスに分があるが、長距離用途中心にするなら燃費と動力性能に優れた「A 200 dセダン」のほうがバランスの取れた選択といえる。
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