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元王者フランコ・ジロラミがポール・トゥ・ウイン。FL5型シビックRも1-2達成/TCR EU第3戦

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元王者フランコ・ジロラミがポール・トゥ・ウイン。FL5型シビックRも1-2達成/TCR EU第3戦

 オーストリアのザルツブルクリンクで5月31~6月2日に開催された2024年TCRヨーロッパ・シリーズ第3戦は、予選でイグナシオ・モンテネグロ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)を退けた2022年王者フランコ・ジロラミ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)が、難しいダンプ路面の条件で“アルゼンチン対決”を制しポール・トゥ・ウインを記録。長い赤旗期間を経たレース2では、ルベン・ヴォルトとレベンテ・ロソンツィ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)のホンダ・デュオがワン・ツー・フィニッシュを飾っている。

 前戦ベルギーのゾルダーで開催された第2戦では、今季シングルカー体制に縮小したコムトゥユー・レーシングのTCRイタリア3冠王者ニコラ・バルダン(バルダン・グループ・バイ・コムトゥユー/アウディRS3 LMS 2)が、自身参戦30戦目にしてTCRヨーロッパ初優勝を手にしたが、このザルツブルグの週末は戦績に応じて課される補償重量の影響かアウディが鳴りをひそめると、全セッションを通じて新型クプラ対FL5型ホンダの対決構図となる。

アウディの元イタリア王者がポール・トゥ・ウイン。ダンプ路面でFL5型シビックも初優勝/TCRヨーロッパ第2戦

 初日に実施されたテストセッションでは、フェリペ・フェルナンデス(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)に0.026秒先行したジロラミが首位発進を決めると、土曜2回のFPでも最速の座を堅持。この30分枠では雨天にも祟られ、ただでさえタイヤに厳しいトラックながら、新型クプラが滑りやすい路面でもセットアップの仕上がりの良さを印象付ける。

 迎えた予選も雨量が増すなか、Q1セッションではヴィクトル・ダビドフスキー(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)がインカット防止用タイヤバリアに激突し、赤旗が掲出される場面もありつつ、ポールポジション争いはアルゼンチン出身の新旧ハコ車使いによる一騎打ちに。

 昨季のTCRサウスアメリカ・シリーズのチャンピオン獲得プライズとして、今季より本格的な欧州進出を果たした19歳のモンテネグロに対し、0.103秒速いタイムをマークした32歳のジロラミが、開幕に続く今季2度目の最前列グリッドを射止めた。

 明けた日曜午前9時30分を前にしたオープニングヒートも、滑りやすい路面状況のなか抜群の蹴り出しを披露したジロラミが、フロントロウに並んだモンテネグロを従え最初のシケインに突入。その後、レコードラインのドライアップが進み、一部のドライバーがスリックに履き替えるギャンブルを見せるダンプコンディションのもと、やはり3周目にはスリック組がバリアに突っ込みセーフティカー(SC)が出動する。

■接触で足回りにダメージもヴォルトが逃げ切る

 その2周後にレースが再開されると首位攻防戦が激化し、10周目にはモンテネグロが一時リードを奪うことに成功。しかし数コーナーにわたるサイド・バイ・サイドの争いの末、ともにダメージを負ったクプラとシビックRはペースが落ち、ふたたびジロラミがポジションを取り戻すことに。延長15周を終えてモンテネグロに2秒近いギャップを築いたジロラミが勝利を手にした。

「結果には非常に満足している。素晴らしいマシンを提供してくれたチームとクプラ、そして素晴らしいレースを見せてくれたモンテネグロに祝福を送りたい」と、まずは母国の後輩に賛辞とエールを贈ったレースウイナー。

「ペースは非常に良かったが、ミスを犯してモンテネグロに追い抜かれるチャンスを与えてしまった。でも多くのコーナーでサイド・バイ・サイドで走れて、とても楽しかったよ。お互いに敬意を払っていたが、ターン4でリスクを冒し、外側を回ってポジションを取り戻せたのは良かったね」

 続くレース2はシケインを筆頭にコース各所で接触バトルが多発する肉弾戦の様相となり、リバースグリッドのポールポジションから出たジョバンニ・スカマルディ(SP コンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)はターン1への攻防でフロントロウ発進のヴォルトとホイールをぶつけ合う勝負を繰り広げる。

 ここではシケインカットでトップに復帰したスカマルディだったが、2周目の終盤にはシビックRに先行させる判断を降すと、背後からルベン・フェルナンデス(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)をパスして来た前戦ベルギー勝者ロソンツィにも狙われ、ターン5でインサイドを明け渡すことに。

 これでALMモータースポーツ陣営がワン・ツー体制を築き、FL5型シビックRが隊列を率いる展開となるも、最終コーナーでコースアウトしていたフェルナンデスが続く9周目で大クラッシュを引き起こし、ここでレースは20分間の赤旗中断となる。

 再開後のSC先導でやはり2周が追加された勝負は、首位2台の背後でスカマルディやジロラミ、モンテネグロ、そしてオーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)らの接触上等バトルが繰り広げられるなか、僚友を0.712秒差で引き連れたヴォルトが今季初勝利をワン・ツーで飾る結果となった。

「40kgのバラストを積んでいたからこれ以上言うことはないし、ベストを尽くしたよ」と安堵の表情を見せた勝者ヴォルト。

「スタート(の接触バトル)でステアリングを曲げてしまい、左フロントがかなり振動して本当に苦労した。でもレヴィ(・ロソンツィ)が後ろにいて、ゾルダーで僕がやったように、すべての外乱を受け止めてくれていた。これ以上のことは望めないし、チャンピオンシップに自信がある。(次戦の)スパが本当に楽しみだよ」

 これで早くも折り返しを終えた2024年TCRヨーロッパ・シリーズは、ヴォルトの言葉どおり7月4~6日にベルギーのスパ・フランコルシャンで第4戦を予定している。

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