はじめに e-tron Sportbackとは
text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】eトロン・スポーツバック、ベンツEQC、ジャガーIペイス【EVの輸入SUV】 全147枚
9月17日。アウディ ジャパンはアウディ・ブランドとして日本初導入となる電気自動車、「アウディeトロン・スポーツバック」を発売した。
アウディは、2018年9月に電気自動車のSUVモデルである「アウディeトロン」を世界初公開して、クルマの電動化攻勢を開始した。
今から5年後の2025年までに、全世界の主要な市場において20モデル以上のBEV(バッテリー・ビークル)を発売して、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)を含む電動化モデルの販売台数を全体の約40%にするという。
日本市場では、まず今回のeトロン・スポーツバックがBEVの第1弾で、eトロン SUVが次に控えているようだ。
日本市場でも国産、輸入車ともさまざまな電気自動車の導入が始まっているが、まずはアウディ初の電気自動車、eトロン・スポーツバックの概略を紹介していこう。
eトロン・スポーツバック 外観
eトロン・スポーツバックは、最近世界的に流行しているSUVクーペ、つまりスタイリッシュなクーペスタイルを採用したSUVにあたる。
日本仕様のボディサイズは、全長4900×全幅1935×全高1615mm。ホイールベースは2930mmと、欧米ではミドルサイズのクーペSUVとなるが、日本では少し大きく感じられるかもしれない。
車高も高いので、立体駐車場の使用は難しそうだ。車両重量は2560kgと、BEVなのでそこそこ重い。
エクステリアでは、アウディのSUVシリーズである「Qファミリー」をイメージさせる8角形のシングルフレームのフロントグリルを採用。プラチナグレーのフレームや、下部に配した「e-tron」のロゴによって、ほかのQファミリーとは差別化が図られている。
サイドビューは、低く弧を描くルーフラインによってクーペSUVらしいスタイリッシュさを表現。また、前後のブリスターフェンダーがアウディ伝統の4WDシステム、「クワトロ」の力強い走行性能を視覚的に表している。
eトロン・スポーツバック 内装
インテリアは、2930mmというホイールベースによって、乗車定員5名とその荷物を搭載するスペースを確保。室内空間は、アウディのフルサイズ・モデルに匹敵する水準だという。
プロペラシャフトが不要なため、フロアはフラットに。室内長、後席のニールームもフルサイズSUVではセグメント・トップ・クラスの数値となっている。
リアシートはクーペスタイルのためヘッドスペースが少々狭いが、おとな4人がくつろいで乗ることができるだろう。
車内の作りは、最新のアウディ車に共通した、デザインとテクノロジーをシームレスに融合させた上質なものでクオリティの高さを感じさせてくれる。
ラウンジのような広く開放的な空間で目を引く水平基調のダッシュボードの中央には、2つのMMIタッチレスポンスのディスプレイが上下にレイアウトされている。
メーターパネルを全面モニターとしたアウディ・バーチャルコックピットをはじめとするデジタルオペレーション機能が、アウディの先進性を象徴している。
ディスプレイをオフにすると、上部ディスプレイは周囲のブラックパネルに溶け込んでほとんど見えなくなる。また高電圧をイメージさせるオレンジカラーをインテリアにも採用することで、eトロンの個性を際立たせている。
ラゲッジスペース容量は、フル乗車時でも660Lを確保した。
eトロン・スポーツバック パワートレイン&シャシー
eトロン・スポーツバックは前後に2基の電気モーターを搭載し、それぞれが前輪と後輪を駆動する電動4WDとなる。
通常は主にリアのモーターを使用することで走行抵抗を低減し、エネルギー消費を抑える。だが、滑りやすい路面や急加速や、そしてコーナリング時など4WD走行が望ましいとシステムが検知した場合、フロントのモーターも駆動する。
電気モーターのトルクが立ち上がるまでに要する時間は、わずか0.03秒。これは従来のいかなるクワトロ・テクノロジーよりもはるかに鋭い反応時間だ。これによって、瞬時に余すところなくモーターのパワーを路面に伝えることが可能となっている。
モーターのシステム最高出力は、通常時は265kW(360.4ps)だがブーストモード使用時には300kW(408ps)までアップ。0-100km/h加速は、Sモードのブースト時で5.7秒を実現している(通常のDレンジでは6.6秒)。
95kWhのエネルギー容量を誇る駆動用バッテリーによって、一充電あたりの航続可能距離は最大405km(WLTCモード)を達成する。
シャシーには、アルミとスチールを適材適所に配置することで軽量・高剛性を実現する複合ボディ・コンセプトを採用。駆動用バッテリーはボディ下部のホイールベース間に配置することで、低重心化も実現した。
また、サスペンションは前後とも5リンク式を採用。アダプティブ・エアサスペンションを標準装備して、快適な乗り心地とダイナミックな走行性能を高いレベルで両立させている。
eトロン・スポーツバック 装備
eトロン・スポーツバックに搭載されるアウディ初の装備として注目されているのは、バーチャル・エクステリアミラーを設定したこと。
一般的なドアミラーに代えて、小型カメラにより車両側方の視界を確保するもので、レクサスESのデジタルアウターミラーと基本的なシステムは共通だ。
カメラが捉えた映像は、ダッシュパネルとドアとの間に設置されたOLEDディスプレイに表示され、明るさや最適な視角への調整が可能。
標準のドアミラーに比べてミラーハウジングがスリム化することで空気抵抗を低減するため、Cd値は0.26を達成。高速走行時の風切り音も抑えることができる。
今回発表された日本仕様は「ファーストエディション」で、サイレンスパッケージ(アコースティックサイドガラス、プライバシーガラス、バング&オルフセン3Dサウンドシステム、パワークロージングドア)をはじめ、5Vスポークスター・デザインの21インチ・アルミホイール、オレンジのカラードブレーキキャリパーを特別装備。eトロン・スポーツバックの日本導入を記念した限定モデルとなっている。
また、これに前述のバーチャル・エクステリアミラーを追加したモデルを設定している。
eトロン・スポーツバック 充電
日本仕様のeトロン・スポーツバックの充電には、標準装備する家庭用の普通AC(交流200V/標準3kW、オプションで8kW対応)充電器と、主として公共の急速DC(直流)充電器とが対応する。
公共の充電設備としては全国の7800か所に設置されているCHAdeMO規格の急速充電器(出力50kWまで)が利用可能。
eトロン・スポーツバックの95kWh(正味容量は86.5kWh)のバッテリーを空の状態から80%までチャージするための所要時間は、50kWの出力で1時間半。
200Vの家庭用ケーブル/8kW環境での満充電には約11時間が必要となる。
アウディ ジャパンではeトロン・スポーツバックの導入にあわせて、eトロン・チャージングサービスを提供する(1年目のみ月会費の5000円と1分15円の従量料金が無料)。
このサービスに使う充電カードは、全国約7800か所の急速充電器のうち約86%をカバーする日本充電サービス(NCS)加入の充電器で利用可能。
普通充電を含めると、2万1700か所(2020年4月現在)の充電ステーションを利用できる。
eトロン・スポーツバック 日本価格
消費税込みの車両価格は、eトロン・スポーツバック・ファーストエディションが1327万円。
同バーチャル・エクステリアミラー仕様が1346万円となっている。
ステアリング位置は、いずれも右のみ。バーチャル・エクステリアミラー以外のスペックは変わらない。
eトロン・スポーツバックの購入に際しては約40万円の減税メリットを受けられ、これに加えて一般社団法人次世代自動車振興センターが交付する「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」の該当車両のため、40万円の補助金を受け取ることができる。
またアウディ ジャパンでは家庭での普通充電器の設置費用をサポートするほか、自然電力株式会社との提携により、購入者には、自然エネルギー実質100%による電力を提供するプランを用意している(1年間、月額1000円の割引を提供)。
eトロン・スポーツバック 日本仕様スペック
eトロン・スポーツバック・ファーストエディション
税込み日本価格:1327万円
全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm
ホイールベース:2930mm
車両重量:2560kg
乗車定員:5名
航続可能距離:405km(WLTC)
ギアボックス:2ステージプラネタリーギアボックス
最高出力(前):170ps(ブースト時:183ps)
最大トルク(前):25.2kg-m
最高出力(後):190ps(ブースト時:224ps)
最大トルク(後):32.0kg-m
システム最高出力:360ps(ブースト時:408ps)
システム最大トルク:57.2kg-m(ブースト時:67.7kg-m)
駆動方式:電動四輪駆動
最高速度:200km/h(リミッター)
0-100km/h加速:6.6秒(ブースト時:5.7秒)
最低地上高:172mm(リフト時:222mm)
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みんなのコメント
デジタルミラー、すっきりビルトインしたけど、
位置的に見にくいよ。