チームスタッフに体調不良者が出たり、中国に続いてベトナムGPも延期の観測が飛ぶなど、F1も確実にコロナウィルスの影響を受けつつある。そんな状況だが、開幕戦オーストラリアGPは予定通り開催される。冬のテストを順調に終えたホンダにとっては、ライバルたちとの力関係を判断する試金石のレースとなる。田辺豊治テクニカルディレクターに、今季の抱負を訊いた。
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──冬のテストは例年より2日少ない6日間でしたが、それでもホンダPU搭載の2チームは合わせて7200km走破しました。準備は万端ですか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺):車体、パワーユニットともに大きなトラブルもなく、順調に周回を重ねられました。多くのデータを解析して、アップデートを繰り返しながらいいテストができたと思っています。
──満足度で言うと、どれくらいですか?
田辺:う~ん、マルですね。
──今季のパワーユニットは馬力、信頼性ともに向上したと聞いています。やり尽くした感がありますか?
田辺:いいえ。パワーユニットメーカーとして、やり尽くしたというところには一生行きません。まだまだやるべきことはたくさんあります。ただ現時点でできることはやって、初戦に臨めると思います。
──去年はシーズン中にアップグレードの必要性もあって、戦略的にペナルティを受けて新しいパワーユニットを投入しました。今季はスケジュールに従って、2回のアップデートに留めるつもりですか?
田辺:去年もそのつもりでしたが、開発が進んだりとか信頼性の問題もあったりして、そうせざるを得なかった。今年は3基のパワーユニット、2回のアップデートで、シーズンを戦う計画です。
──ライバルの仕上がり状況は、車体も含めていかがですか?
田辺:他チームがどんなテストをしているのか、よくわからないです。本当のところは、まずはここでの予選が終わった時点でわかるでしょうね。
──コロナウィルス対策では、特にロジスティックが大変だったと思います。
田辺:ええ。オーストラリア、バーレーンは連戦ですし、フライト自体キャンセルになったりしています。今朝も飛行機を取り直したり、そんな状況です。日本滞在者は14日間入れないという制限を課してる国もありますし、日本からの出張者はリスク対応をしています。
バルセロナテスト以降、出張者はイギリスに残ってそのままここ(オーストラリア)に来たり、日本での開幕直前ミーティングも中止したりという対応を取ってます。状況は日々変わってますので、臨機応変に対応して行くしかないですね。
■タイトル争いは甘くない。どこまで加われるかが挑戦
──今季に向けて、具体的な目標は?
田辺:去年よりいい結果を残したいですね。
──チャンピオンという言葉は出ませんでした。
田辺:それほど甘いものではない。タイトル争いにどこまで加われるか、そこが今年の大きなチャレンジだと思っています。
──テストは順調だったとのことですが、いろいろ課題も出ましたか?
田辺:それも含めて順調だったということですね。テストの目的のひとつとして、いろんな問題点を見つけ出すこともありました。そこも順調だった、課題がいろいろ見つかったということです。
──そこは今週末の開幕戦に向けて、いろいろ対応をしてきたのでしょうか?
田辺:ええ。ハード、ソフト、キャリブレーション、いろいろ手を打って来ました。テスト終盤にもキャリブレーションも含めいろいろ見直すべき点が出て来て、そこはテスト後にさくらR&Dのベンチでテストを重ねて、新しいものを持ってきました。
──相対的な戦闘力は実際にレース走ってみないとわからないと思いますが、当初設定した数値はクリアできている?
田辺:パワーユニットに関しては、ほぼほぼできてますね。信頼性も含めて。
──イタリアは(新型コロナウイルスの)感染者数が激増してますが、アルファタウリのファクトリーには行っていない?
田辺:幸いというか、クルマの仕立てはすでに完了していたので、向こうのファクトリーを訪れる必要はありませんでした。逆に彼らが、イギリスにミーティングには来てますけどね。
──ちょっと気になりますか?
田辺:むずかしいところですね(苦笑)。普段通りですよ。
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